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姉妹レンタル  作者: なんなん


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逆流する時間!七色の扉の向こう側

### 1.時間が逆さまに流れる世界


七色の橋を渡り終えたユウマたちの前には、空に浮かぶ巨大な扉があった。


赤、青、緑、黄、紫、橙、白。


七つの光が扉の表面をゆっくりと巡っている。


そして、その扉の下には、一人の少女が立っていた。


「やっと来てくれたんだね!」


少女は嬉しそうに手を振った。


ユウマが尋ねる。


「君は誰なんだ?」


「私はティア。この世界の時間を見守る一族の末裔だよ」


ティアはそう名乗ると、真剣な表情になった。


「お願い。私たちの世界を助けて!」


アヤが首をかしげた。


「時間が逆向きに流れているって、どういうこと?」


「見れば分かると思う」


ティアが七色の扉に手を触れた。


すると、扉が静かに開いた。


その向こうに広がっていた光景に、全員が息をのんだ。


空から落ちた雨粒が、地面から空へと昇っている。


散った花びらが枝に戻り、枯れた花がつぼみに変わっていく。


割れた陶器がひとりでに組み上がり、元の姿へ戻っていた。


「すごい……」


ナナが目を丸くする。


ハルは時計を取り出した。


「見て! 時計の針まで逆回転している!」


ソラが空を見上げた。


「でも、僕たちの時間は普通に進んでいるみたいだね」


エリオが答える。


「僕たちは始原の世界から来た。七色の橋の力が、僕たち自身の時間を守っているんだろう」


ティアはうなずいた。


「そう。でも、この世界の人たちは違うの」


「どうなるんだ?」


ユウマが尋ねる。


「昨日が一昨日になって、一昨日がその前の日になる。そして、いつか……この世界が生まれる前まで戻ってしまう」


その言葉に、全員の表情が険しくなった。


### 2.昨日へ戻る街


ティアに案内され、一行は時計の街クロノリアへ向かった。


街には無数の時計塔が建ち並んでいた。


しかし、すべての時計が逆方向に動いている。


広場では、奇妙な出来事が起こっていた。


一人のパン屋が、焼き上がったパンを窯へ戻している。


次の瞬間、パンは生地へと変わった。


さらに生地は小麦粉へと戻っていく。


「こんなの、おかしいよ!」


ミオが驚いた。


そのとき、一人の老人がティアを見つけて駆け寄ってきた。


「ティア! 大変じゃ! 東の時計塔が消えた!」


「消えた?」


レイが尋ねる。


老人は震える指で東を示した。


そこには時計塔の土台しか残っていなかった。


「昨日までは確かにあったんじゃ! いや……今の『昨日』とは、いつのことだったか……」


老人は混乱したように頭を抱えた。


フィリアが静かに言った。


「時間だけじゃない。人々の記憶も、過去へ巻き戻されているのね」


ルミが老人に尋ねる。


「この街で、最初に異変が起きた場所は分かりますか?」


「中央の大時計じゃ。三日前、あの時計が七回鳴った直後から……」


「三日前?」


カナタが考え込んだ。


「この世界では、もう三日前よりも昔に戻っているのかもしれない」


ティアが答えた。


「そう。私たちだけが異変を覚えているの。時間を見守る一族には、記憶を守る力があるから」


エリオは中央にそびえる巨大な時計塔を見つめた。


「原因は、あそこにありそうだ」


### 3.逆回転する大時計


中央時計塔の内部には、巨大な歯車が何百枚も組み合わされていた。


すべての歯車が逆方向へ回転している。


アステルが装置を調べた。


「これは普通の時計じゃない。世界全体の時間を調整する装置だ」


ノアが壁の文字を読み上げる。


「『時の心臓は、未来へ進む者の願いによって動く』……」


その瞬間だった。


ゴゴゴゴゴッ!


時計塔全体が激しく揺れた。


床から青白い光が噴き上がる。


そして、巨大な歯車の中心に、人影が現れた。


銀色の髪を持つ少年だった。


少年は静かに言った。


「帰ってください」


ユウマが一歩前へ出る。


「君は誰だ?」


「僕はクロノ。この世界の時間を守る者です」


ティアが驚いた。


「クロノ様! どうして時間を逆向きにしているのですか!」


クロノは悲しそうに目を伏せた。


「未来へ進めば、この世界は滅びる」


「えっ?」


「だから、過去へ戻すしかないんです」


アヤが問いかけた。


「未来に何があるの?」


クロノは答えなかった。


代わりに、彼の背後に巨大な時計の文字盤が浮かび上がった。


そこには、ひび割れた世界が映し出されていた。


空が崩れ、街が光の中へ消えていく光景だった。


「これは……」


ナナが言葉を失う。


「僕が見た未来です」


クロノは続けた。


「この世界の時間が終わる瞬間を、僕は見てしまった」


### 4.未来を恐れる守護者


「だから時間を巻き戻したの?」


ミオが尋ねた。


クロノはうなずく。


「未来へ進まなければ、あの出来事は起きません」


その言葉を聞いたエリオは、静かに前へ進み出た。


「君の気持ちは分かるよ」


クロノが顔を上げる。


「あなたは?」


「エリオ。僕も、大切なものを失うのが怖くて、世界を一つにしようとしたことがある」


エリオは白い指輪と黒い指輪の光を見つめた。


「でも、未来を決めつけてしまえば、そこに生きる人たちの選択まで奪ってしまう」


クロノは首を振った。


「それでも、滅びるよりは……!」


「その未来は、本当に必ず起きるの?」


レイの問いに、クロノの動きが止まった。


フィリアも続けた。


「始原の世界には、選ばれなかった未来の記録があったわ。未来は一つだけとは限らない」


「そんなはずは……」


クロノが戸惑う。


すると、ユウマの手元にある八番目の紋章が光り始めた。


白い指輪と黒い指輪が重なり合った、不思議な紋章。


その光が、クロノの背後の文字盤へ届いた。


パリンッ!


文字盤の表面に小さなひびが入る。


そして、滅びの未来の隣に、別の光景が浮かび上がった。


そこには、平和なクロノリアの街が映っていた。


「そんな……!」


クロノが目を見開く。


「別の未来が……ある?」


ユウマはうなずいた。


「あるんだ。まだ選ばれていない未来が」


### 5.七色の扉の秘密


しかし、その直後だった。


ゴォォォォッ!


時計塔の地下から黒い光が噴き上がった。


逆回転していた歯車が、さらに速く動き始める。


「まずい!」


アステルが叫んだ。


「時間の逆流が加速している!」


ティアが慌てて窓の外を見た。


街の建物が次々と古い姿へ変わっていく。


新しい家が消え、古い石造りの建物が現れる。


「クロノ様! 止めてください!」


「止めようとしているんです!」


クロノが必死に両手を広げた。


しかし、歯車は止まらなかった。


「僕が逆流を始めたのは確かです。でも、今はもう制御できない!」


ノアが地下へ続く階段を発見した。


「みんな、こっちだ!」


一行は急いで階段を下りた。


地下の最深部には、巨大な七色の扉があった。


空に浮かんでいた扉と、まったく同じ形をしている。


ただし、こちらの扉は黒い鎖で封じられていた。


カナタが驚く。


「どうして同じ扉が二つも?」


ティアが答えた。


「空の扉は世界の入口。地下の扉は……時間の始まりへ続く入口なの」


ルミが鎖に触れようとすると、エリオが制止した。


「待って。この鎖には、誰かの願いが込められている」


鎖の表面に、文字が浮かび上がった。


『未来を失いたくない者よ。過去へ戻れ。すべてを始まる前に戻せば、悲しみも生まれない』


エリオは眉をひそめた。


「この考え方……黒い指輪が生まれたときの恐れに似ている」


しかし、鎖から感じられる力は黒い指輪そのものではなかった。


もっと古く、もっと深い場所から届く力だった。


そのとき、地下の扉の向こうから声が響いた。


「ようやく来たか。未来を選ぼうとする者たちよ」


全員が身構えた。


「誰だ!」


ユウマが叫ぶ。


声は静かに答えた。


「私は、この世界で最初に時間を止めようとした者」


七色の扉に、一つの巨大な時計の紋章が浮かび上がる。


「お前たちが未来へ進むというのなら、まずは過去に隠された真実を知るがいい」


すると、扉がゆっくりと開き始めた。


その向こうには、無数の時計が浮かぶ、果てしない空間が広がっていた。


そして中央には、針のない巨大な時計が一つ。


ティアが震える声でつぶやいた。


「まさか……伝説の『時の原点』……!」


ユウマは仲間たちを振り返った。


「行こう。時間を元に戻す方法を見つけるんだ!」


仲間たちは力強くうなずいた。


こうしてユウマたちは、過去と未来の境界を越え、時間そのものの秘密が眠る世界へ足を踏み入れた。


だが、彼らはまだ知らなかった。


時の原点には、七人の創造者さえ知らなかった、世界の歴史が封じられていることを。


次回「時の原点! 針のない時計に刻まれた秘密」


時間の始まりへ足を踏み入れたユウマたち。そこで発見したのは、世界が生まれる前に記された謎の記録だった。果たして、時間の逆流を止める鍵は見つかるのか!?

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