表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真田隆盛記 ~おゆきの戦国日記(ぶろぐ)~  作者: とむ熊 しのぶ
湖上の告白編
PR
83/268

077 佐助 その5

おゆきvs佐助の初対戦勝者はいかに?


佐助は少し俯いた。


「そして、同年の者達が忍びとして独り立ちして行くのを、ただ恨めしく眺めて生きろというのか・・。」


そんな事言ってないんだけどなぁ。こいつ意外とちっちぇなぁ・・。


「何言っているの。貴方は忍びに成るのよ!だってそう決めてるんでしょ?」


ちょっと堂々巡りになって来た様な気がするが、この間におゆきちゃん頭脳はフル回転で佐助を説得する術を探っている。


「だからどうやって・・。」


どうやって?あれ?どやったら忍びに成れるんだっけ?改めて考えると謎だ。もしかしてここ大事なところ?私はそこではたっと思いつく。ちょっと自信が無かったのだが、気が付いたら私はその言葉を発していた。


「私が貴方を忍びにするわ!」


佐助が流石にはぁ?何言ってのお前?という顔をした。勿論、私が佐助を忍びとして鍛えるなんて出来るわけがない。でも私が言っているのそういう事では無い。


「今日から貴方は忍びよ!私がそう決めたわ!判るでしょ?!」


佐助がわけ判らんと言う表情をする。何で判らないんだこのスカポンタンは?しっかりしろお前の人生だろ!


「だから貴方は私の忍者になるのよ!郷の忍者?郷の為?そんな事で人生を掛けるなんてつまらないわ。貴方の才能も見抜けない様な者達の為に指一本動かしてやる必要なんて無いわ!ましてや命を投げ出す何てありえない!だから、貴方は今日から私の為だけに忍者になりなさい!」


彼が呆然としているのがわかる。勿論全てを納得している訳では無いだろう。だが、自分がやろうとしていた事、なろうとしていた物が如何に空虚で馬鹿馬鹿しいかは多少なりとも理解できたんじゃないだろうか?今はそれでいい。だが私は念の為止めを刺しに掛かった。


「わかった?!今日たった今この瞬間から、貴方は私のもの!私の為だけに生き、私の為だけに忍者に成りなさい!」


佐助は相変わらず呆然としているが、なんだか憑き物が落ちた様な顔もしている。私はそれを感じ取りまずはホッとした。


だが、急に佐助の表情が厳しくなる。あれ?なんかしくった?と思ったのだが、それは私の勘違いだった。


「まて。おゆき。その話は後だ。」


佐助は視線を当たりに移す。いつの間にか、地面が真っ白になっていた。風も強く、雪が横殴りに吹雪いている。


これは不味い。このままじゃ二人とも明日には冷凍死体だ!


「佐助!早く火を起こしましょう!!」


私はランタンを掲げて言った。


「駄目だ!これだけの吹雪で火等起こせるわけが無い。風と雪であっという間に消えてしまう。何処かに篭もれる穴倉を探そう。」


佐助が私からランタンを引ったくり、いつの間にか私の鞄から抜き取った松明に火を移す。一挙に灯りの範囲が広がり、見渡す限り一面雪に覆われ始めているのが判る。本当に不味い・・。


佐助は私にランタンを返すと「絶対に火を消すな」と命じる。私はコクコクと頷く。


佐助は松明を翳しながら辺りを見回し当たりをつけて歩き出そうとするが、私は佐助との口論で少しゼイゼイが出始めていたので、少し待ってと佐助を止める。「つらいのか?背負うか?という佐助の申し出を私は断り、師匠に習った呼吸法で息を整えた。


「もう大丈夫」


と言って、佐助を促す。佐助は私を気遣うように、ゆっくり歩き出した。判り難いだけで、本当に優しい子なのである。


佐助が当たりを付けた所に、小さな祠の様な穴を見つけた。小柄な我々二人が入るには十分である。いいんじゃない?ここ。と私が穴に潜り込もうとすると其れを止める佐助。


佐助が松明を翳し覗き込む。途端に佐助の眉間に皺がよる。え?駄目だった?兆度言い様に思うけど・・?。


「しょうがいない・・。今は一分一秒が惜しい。ここにしよう。」


何がしょうがないのか良く判らないが、私を穴に押し込む佐助。流石に立ち上がる程の広さは無く、私は這って中に進ん。奥の方は意外と広そうだ。


だが入った瞬間私も顔を顰めた。すごい獣臭いんですけど!!


「熊の巣だ」


え?!それって不味いんじゃないの?!これだけの臭いって事は、まだこの巣を使ってるんじゃ??もしかしたら帰ってくるかも知れないって事?


「判らん。賭けだ。どっちみち最早俺たちの体力じゃこれ以上別の場所を探し回るのは無理だ。中に入って待っててくれ。ちょっと準備をする。」


そう言うと佐助は腰から鉈を抜き、一旦洞穴を離れていった。洞穴は外に比べればまだましだが、腰の辺りからシンシンと冷気が伝わってくる。少し濡れてる様な気もする。私は鞄から地図を取り出しくしゃくしゃにしてから下敷いた。思い入れの有る地図だが背に腹は変えられない。父にまたねだろう。


佐助がかなり沢山の木の枝を抱えて戻ってきた。長いものは二メートルを超えそうなものまで有る。その内短いものは洞穴に放り込み、自分の荷物から派手な布を取り出して、先の長い木の枝の先にくくり付けている。


何をしているのだろうと洞穴か首だけひょいと出して覗くと、括り付けた木の枝を、洞穴の直ぐ近くに穴を掘って立てている。更に根本に雪を被せてぱんぱんと固め、枝を少し揺すって少々の風や吹雪では倒れない事を確認している。


陣取りごっこか?熊にこの洞穴の領有権でも主張しているのだろうか?


次回佐助の逆襲が始まる?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ