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第1話 召喚された猫耳メイド

物語書くの初めてなので手加減をっ(なんの手加減だよっ)

夜の旧校舎。

誰も使わなくなった理科室に、一人の少女がチョークで大きな魔法陣を描いていた。

「異世界より来たれ、知の賢者よ!」

半分は遊び。半分は本気。

どうせ何も起こらない。

そう思って最後の一文字を書き終えた瞬間だった。

眩い光が教室を包み込み、風もないのにカーテンが大きく揺れる。

「え……?」

光が収まると、魔法陣の中央には一人の人物が立っていた。

腰まで届く銀色の髪。

白い肌に、宝石のような蒼い瞳。

華奢な体つきと、どこか幻想的な雰囲気。

そして頭には、小さな猫耳。

「……ふにぇ?」

少し高めの声が、静かな理科室に響く。

少女は思わず息を呑んだ。

「か、かわいい……。」

どう見ても、自分と同じくらいの年齢の女の子にしか見えない。

むしろ、普通の女の子よりもずっと綺麗だった。

少女は慌てて駆け寄る。

「だ、大丈夫!? ケガしてない!?」

銀髪の人物は、きょとんと首を傾げる。

「はいっ、大丈夫ですよ?」

その柔らかな笑顔に、少女はほっと胸をなで下ろした。

「よかったぁ……。」

――数分後。――

少し落ち着いたところで、その人物は胸を張った。

「では、改めまして!」

「帝国の情報庫とはこの私、鈴野真弥参上っ!」


「……情報庫?」


「猫耳メイドの男の娘!」

「情報量が多すぎてヤバそうって顔してますね?」

「ちなみに、すずは大公家ですっ☆」


「…………え?」

少女の思考が停止する。

「……今、なんて?」


「だから、すずは男の娘です!」


「…………」

数秒の沈黙。

そして――

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

「えっと……。」

少女は少し慌てながら、自分の胸に手を当てた。

「私の名前は、野原 心春です。」

「高校二年生で、ここの図書委員をしています。」

少し恥ずかしそうに笑う。

「本が好きで……知らないことを知るのが好きです。」

「だから、その……異世界とか、魔法とかも、本当にあるのかなって思っていました。」

「魔法は……誰かを助けられる力だと思ってたから。」

ちらりと魔法陣を見る。

「……まあ、まさか本当に召喚できるとは思ってなかったけど。」

苦笑いを浮かべる。

「あと、その……私は特別な力とかはありません。」

「勇者でも、魔法使いでもありません。」

「でも……」

心春は真弥を見る。

「困っている人がいたら、助けたいです。」

「それだけは、誰にも負けないと思っています。」

少し間を置いて、小さく頭を下げた。

「よろしくお願いします、鈴野真弥さん。」

「……あ。」

何かに気付いたように顔を上げる。

「でも、今は大変な状況だと思うので……真弥くんって呼んでもいいですか?」

「大公とか、偉い人とか、そういうのは……まだ分からないから。」

「今ここにいるあなたは、困っている人だから。」

その言葉に、真弥は静かに目を見開いた。

その瞬間。

真弥の胸の奥で、何かが揺れた。

大公としてでもない。

半神としてでもない。

ただの「鈴野真弥」として見られた。

いつものように笑おうとした。

いつものように冗談で返そうとした。

けれど――

「…っ///」

言葉が出なかった。

「……」

数秒の沈黙。

そして――

「……え?」

心春は首を傾げる。

「えっと……?」

真弥は慌てたように両手を振った。

「いやいやいや!」

「ちょっと待って!?」

「そんな真面目な顔して自己紹介されましたら、こっちのキャラ設定が崩れちゃいます……にゃん!」

心春はぽかんとする。

「キャラ設定……?」

「そうです! すずはもっとこう……!」

真弥は胸を張る。

「情報過多で相手を混乱させる系の猫耳メイド男の娘として登場したはずなのです!」

「なんでそんな真っ直ぐな言葉を投げかけるのですか?!?」

心春は少し考えてから答える。

「……だって、困っている人を助けるのは普通のことだから。」

「……」

真弥は固まった。

「……ずるいです。」

真弥は小さく呟いた。

「そんなことを言われたら……」

いつものように笑う。

いつものように冗談で流す。

けれど、その笑顔はいつもとは少し違った。

「すず……普通の人になりたくなっちゃいます。」

心春は首を傾げる。

「……?」

真弥は慌てて手を振った。

「い、今のは忘れてください!」

「すずは最強の猫耳メイドの男の娘なので!」

「大丈夫ですにゃ!」

そう言って、真弥は笑顔を浮かべた。

すると突然、理科室をきょろきょろと見回し始める。

「……おお。」


「どうしました?」


「この世界の理科室ですか?」


「え? う、うん。」

「興味深いですっ!」

真弥は目を輝かせながら棚へ駆け寄った。

「試験管!」

「ビーカー!」

「ガラス器具がこれほど大量に……!」

「しかも規格が統一されている!?」

「素晴らしいです!」

「なんということでしょう!」

心春は慌てて追いかける。

「ちょ、ちょっと!」

「ガラス製品だから走っちゃ危ないよ!」


「なるほど! 危険物管理も徹底されているのですね!」

真弥はメモ帳を取り出す。

「えっ、メモするの!?」


「もちろんです!」

『現代世界での理科教育。実験器具の規格化が進んでいる。教育環境は良好。』

「書いてる……。」

真弥は今度は黒板の前へ移動した。

「これは黒板ですね!」


「チョークで文字を書く……。」

さらさらと数式を書き始める。

「えっ?」

心春が近づくと、黒板いっぱいに見たこともない文字や図形が並んでいた。

「な、何これ……?」


「帝国で使われている魔法理論の基礎式です!」

「もちろん、この世界では魔力がありませんので動きませんが!」

「安心してください!」

「百年ほど研究すれば動かせます!」


「安心できないよ!?」

真弥は満足そうに頷く。

「うーん。」

「やっぱり──」

「知らないことを知るのは最高ですね!」

その笑顔は、先ほどまでの寂しさを感じさせないほど、生き生きとしていた。

心春は思わず笑ってしまう。

「……変な人。」


「よく言われますっ!」

「褒め言葉として受け取っておきますね!」

黒板いっぱいに魔法式を書いた後、

真弥は黒板を見上げ、満足そうに頷いた。

「……あ。」

「この世界にも、まだ知らないことがたくさんありますね。」

「楽しみです。」

真弥の瞳に、一瞬だけ深い影が落ちた

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