まだやり残した事が……
村に戻るとグレイが男達に槍を持たせて訓練しているところだった。
「いいか、獣に対応できる反射神経と仲間内での連携が重要になってくる!」
「ハッ!!」
グレイの言葉に敬礼する村の男達。
自分の部下にでもする気なのか、この男は……。
「グレイ、また訓練か?」
「ルーカス様、おかえりなさいませ!」
凄い速さでルーカスの隣を陣取ったぞ、この男。
「皆にどのような獣がきても、対抗できるようにしておこうと思いまして」
嘘だろ、猪でさえ数人で倒したばかりだというのに……鬼畜すぎる。
「グレイ、それは無茶だ。最近訓練を受けた者達には酷すぎる」
「そうでしょうか、結構いい線いくと思いますが……」
「グレイ様! 次は何をすればよろしいでしょうか!」
「さっきの続きだ! 槍で突く訓練を」
……駄目だ。すでに皆、洗脳されてグレイ信者になってしまっている。
フレイまで取り込まれている。
まあ、ついて行きたくなるのは分かる。口は悪いがな。
あのメンバーで狼が来ても、追い払うくらいはしそうだ。
ルーカスもそう思ったのだろう。呆れたように溜め息をついた。
「今回の獣の正体がわかった。村に降りてきた理由も、だ」
「本当ですか?」
「ああ、要約するとーー」
「……なるほど、それで作業時間の短縮と改善をしてもらったと……では、狼はもう来ないのですね」
グレイの眉が少しだけ下がった。そこは残念がるところじゃないだろ!
「……ですが、御父上がそれを承諾するとは思えませんが……」
「なんとかする。この村の今の当主は私だからな。
ミリア嬢、すぐに帰りましょう」
「……まだやることがある」
「やること……? もう全て解決したでしょう?」
いや、まだ残っているんだ。重大な問題が……。
「ちょっと殴り込みに行ってくる! 詳しくはルーシィ達に聞いてくれ、じゃ」
「おいっ……! ミリア嬢!!」
ルーカスに止められる前に、あたしの足はラスボスの家へと向かっていた。




