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NEET 家族で散歩する

ステラを娘に迎えて数日が経った。


最初は町の雰囲気に戸惑っていたステラは、俺とセリナの3人で散歩をしているうちに、町の雰囲気に慣れてくれた。


今では朝起きるとすぐに出掛けたがるようになってくれたので、久々に町の外に出て散歩を楽しんだ。


当初ステラは俺が抱っこしていたんだけど、見慣れない町の外の景色に興味を持つと「パパ…だっこいや!」と言って俺から離れた。

その言葉に落ち込む俺を尻目にステラは周囲を駆け回ると言った。


「これは「くさ」だよ!」

そう言って俺とセリナを見ると走り出した。

俺達はそう言って笑うステラを見守っていると、松ぼっくりを拾って言った。


「ママ!これは「まちゅぼくり」だよ!」


そう言って笑顔を見せるステラにセリナは確信すると言った。


「ステラ!あなたは天才です!」

そう言って抱きしめると、ステラはセリナに笑顔を見せた。

そんな2人の様子を見ていた俺はステラに聞いてみた。


「ステラは学校って分かるかな?」

そう聞くと、セリナの腕の中から俺に顔を向けて言った。


「わちは、がっこうわからない」

ステラはそう答えたので、俺は出来るだけ分かりやすく説明した。


「学校は、ステラがまだ知らない事を教えてくれる場所だよ。そこではステラと同じくらいの子ども達がお勉強してるんだ!ステラは行ってみたいかな?」

そう聞くとステラが言った。


「パパとママはわちといっしょ?」

そう言って首を傾げるステラの問いかけに答えた。


「パパとママはもうお勉強したから、ステラと一緒にお勉強はできないんだよ?」

そう答えるとセリナの胸に顔を埋めると言った。


「やだ!パパとママがいないならやだ!」

学校に行く事を嫌がったので、俺はステラの頭をそっと撫でると謝った。


「ごめんね…聞いてみただけなんだ。ステラが嫌なら学校なんて行かなくてもいいからね」

俺がそう言うと、ステラは小さな声で言った。


「パパ…ほんと?」

…俺は即答した。


「本当だよ!学校なんて行きたくなったら行けばいいんだ!」

そう答えると、セリナから離れたステラは俺の足にしがみついて言った。


「ステラはやさしいがパパだいすき!」

俺はステラを抱っこするとおでこにキスして言った。


「パパもステラが大好きだよ!」

すると俺の様子を見たセリナもステラの頬にキスして言った。


「ママもステラの事が大好きですよ!」

その言葉を聞いたステラは嬉しそうに「うん!」と答えると、3人で散歩を続けた。



その最中、俺は考えていた。

学校には無理に行く必要はないけど…同世代の友達を作る事は必要な事じゃないかな…?


かつての俺には居なかったけど…「今」はベルやジーク、シアやメイという頼もしい存在が俺を支えてくれている。

だからステラにも互いに頼れる友達を作って欲しかった。


どうしたものかなぁ…。

そんな事を考えていると、バッタを見つけたステラがしゃがみこんで言った。


「ぴょんぴょんかわいいね!」

ぴょんぴょん?バッタの事だろうか?

そう言って眺めるステラの為に捕まえようと手を伸ばしたら、ステラが言った。


「ぴょんぴょんさわったらだめだよ!」

俺にそう言って再びバッタを眺めるステラの姿を、セリナと見ていたら後ろから声が掛かった。


「こんにちは。うちの子も一緒に見ていいですか?」

振り返ったら若い夫婦と、バッタを眺めるステラと同じくらいの女の子がいた。


「こんにちは。もちろん構いませんよ!」

俺がそう答えると、女の子は母親から手を離してステラの隣にしゃがみこんだ。

するとステラが女の子にモジモジしながら言った。


「ぴょんぴょんかわいいね?」

すると女の子も「うん!」と答えると、2人で飛び跳ねるバッタを追いかけ始めた。


その様子を見守っていると、夫婦との会話が始まった。

お互いに簡単な自己紹介をすると、娘…フローラの父であるトーマスが言った。


「トーヤさんはステラちゃんを学校に通わせる予定ですか?」

その問いかけに俺は言った。


「今のところは考えていません。フローラちゃんは入学するんですか?」

そう聞くとトーマスは表情を曇らせた。すると奥さん…ダリアが代わりに答えてくれた。


「出来れば通わせてあげたいんですけど…学費が払えるか分からないんです…」


「町に学校が出来るのはありがたい話なのですが、あれだけ立派な学校だと…きっと学費もかなり高額になるんじゃないかとみんな噂しています」

2人の話を聞いた俺は即答した。


「町の子供の学費は無料ですよ?領主さんから聞きましたから間違いないです」

もちろんそんな話は聞いていない。


…しかしあの領主の事だ。

町のために建てた学校に、学費がないから通えないなんて話を許すはずがない。

何か良案を考えてるはずだ…多分。


すると俺の話を聞いたトーマスが食いついてきた。


「トーヤさん…今の話は本当ですか?それなら非常に助かるのですが!」


「隣の街まで通わせると、学費より下宿費が高くなってしまいますし、仕事があるので会いに行けない…だから今の話が事実なら本当に嬉しいのですが…」

トーマスの話を聞いて、問題点と解決策を領主に提案する事を決めた俺は言った。


「近いうちに領主が入学説明会を開くみたいなので、詳細はその場で確認すると良いかもしれませんね!」

そんな話をしていると、バッタを追いかけ回して疲れた2人が戻ってきた。


俺はステラを抱っこするとすぐにスヤスヤ眠りについたので、トーマス夫妻に挨拶してセリナと部屋に戻った。


そしてベッドにステラを降ろすと、セリナに言って俺は久々に領主の屋敷へと向かった。


いつも読んで下さり

ありがとうございます!


皆様のおかげで250ポイントを

突破出来ました!


これからも

よろしくお願い申し上げます!


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