NEET 領主に相談する
領主の屋敷に着いた俺は、顔馴染みとなった門番に挨拶するとさっそく中に入った。
そして執務室のドアをノックして部屋に入ると、俺の来訪に驚く領主に言った。
「お久しぶりです。相談があって来たんだけど…少し話を聞いてくれませんか?」
領主は立ち上がると、俺に椅子に手を向けて言った。
「トーヤ殿の相談ならいつでも歓迎する!」
椅子に座ると俺は早速話を始めた。
「学校の件なんだけど…町に住む子ども達の学費を無償に欲しいんです」
俺の提案に領主は言った。
「無論そのつもりだ!町の為に建設したのだから。だが何故そんな話をするのだ?」
そう言って首を傾げる領主に言った。
「どうやら町の住民達は学費を気にしているみたいなんです。立派な学校だから、学費もそれなりに高いんじゃないかって…」
その言葉を聞いた領主は言った。
「そうか!だから募集の告示を出しても領民から応募が来なかったのか…」
「トーヤ殿から借りた資金のお陰で大国にも勝る学校が完成したから、皆も喜んでくれると安易に考えていた。しかし学費を気にしているとは想像もしなかった…」
そう話す領主に俺は提案した。
「その事なんですが…町で入学説明会を開きませんか?ちゃんと説明すれば安心して子どもを入学させて貰えると思います」
そう提案すると領主は即決した。
「それは名案だ!すぐに説明会の準備を進めよう」
そう言って段取りを考え始める領主に言った。
「あと…俺が融資した資金は全額を町に寄付するから、残った分は領主さんの裁量で好きに使ってください」
俺がそう言って帰ろうとすると、領主が表情を変えて言った。
「トーヤ殿…気持ちは嬉しいのだが、それはいけない。必ずお返しするか……」
俺は領主の言葉を遮って話を始めた。
「領主さん…個人ではなく「町」に寄付するんです。学校は町の子ども達に必要な場所だと再認識しました」
「それに資金は「とある国」から奪ったもので、俺の金じゃないです。だから気にせず好きに使って下さい」
俺がそう答えると領主が言った。
「トーヤ殿…ありがたく頂戴する!」
そう言って立ち上がると、領主は少し考えて俺に聞いた。
「以前から気になっていたが…トーヤ殿はいったい何者なんだ?国軍の騒ぎをトーヤ殿が単独で解決した時…何があったか説明してくれないか?」
俺は椅子に座ると領主の疑問に答えた。
「俺が1人で国軍を殲滅しました。理由は分かりませんが、それが「魔王」になる為に必要な事だったからです」
俺がそう答えると、領主は動揺しながら言った。
「冗談…と言うわけではなさそうだな。しかし「魔王」とは世界を滅ぼす存在と認識していたが…」
その言葉に俺はざっくり説明した。
・魔界や魔神、魔族が実在している事
・魔王は人界の眷族を守護する存在である事。
・俺は望んで魔王になったわけではないし、魔王とし て特に何もしていない事。
俺のざっくりとした説明を聞き終えると領主が聞いた。
「つまり魔界…いや魔王は我々を守る存在という事か?」
その疑問に俺は答えた。
「そうです。ただ…広い人界の全てを守護する事は出来ませんでした。先日お任せした獣人達は「奴隷」として人間に扱われていて、その事に気付いた俺と仲間によって獣人達の救出と「報復」は済ませましたが…」
そう答えると、領主は驚きながら聞いた。
「そういう事情があったとは……ちなみに報復とは何をしたのだ?」
「奴隷として扱った都市は、仲間が降らせた流星群が直撃して滅亡しました。それと人界で獣人を奴隷としたり、差別した人間は「とある方の力」で断罪されました」
その話を聞いた領主が言った。
「少し前の大地震はそれが理由だったのか…魔王が我々の為に力を振るってくれていたとは驚いたが、トーヤ殿の話を聞いて納得したぞ!」
領主はそう言って頷くと言った。
「話してくれて感謝する。魔王といえどトーヤ殿は我の良き友人だ。これからもよろしく頼むぞ!」
そう言って笑顔を向ける領主に挨拶を済ますと、屋敷を出た俺は部屋に戻った。
すると部屋ではステラとセリナがスヤスヤ仲良く眠っていたので、俺は椅子に座ると2人の寝顔を眺めた。
しばらく眺めていると、ステラが目をこすりながら起きあがると言った。
「パパおきたよ。わちをだっこして」
そう言って両手を広げるステラを抱っこすると、セリナも目を覚まして言った。
「旦那様おかえりなさい。ステラの寝顔を見ていたら私も眠ってしまいました」
そう言って起き上がると、抱っこされるステラの頬にキスした。
ステラは俺とセリナにぴょんぴょんの夢を見た事を話すと、ポツリと呟いた。
「またふろーらとあそびたいな」
そう言って寂しそうにするステラに俺は聞いた。
「ステラ…学校に行けばフローラちゃんと遊べるよ?」
その言葉を聞いたステラは言った。
「でも…がっこうにはパパとママがいないからヤ!」
そう言って俺の胸に顔を隠すと何も言わなくなった。
俺はセリナと目を合わせると、少しの間2人で笑った。
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