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NEET 結婚記念日を祝う その2

「ガダッ!」


2人きりの店内に突然大きな物音がした。

まさかコソ泥?

俺達は顔を見合わせると音がした方を見た。するとそこには気まずそうに俺たちを見る店長…いやお義父さんが立っていた。


「ちょっとお父さん!?何で居るのさっ!」

そう言って詰め寄るエルダにお義父さんが言った。


「何でもなにもここ僕の店だよ?」

お義父さんは正論で返すが、それに納得がいかなかったエルダはプンスカしながら2階に上がっていった。


俺はお義父さんと2人きりの店内で……意を決して話しかけた。


「あの……お義父さん。エルダさんを私に……」

俺が言い切る前にお義父さんが口を開いた。


「トーヤさん……いやトーヤ。娘を頼む!」

唖然とする俺にお義父さんは話し始めた。


「いやぁ良かった。実は僕、娘の浮いた話ひとつ聞いたことがなくてね。もしかしてこのまま貰い手もなくエルダは淋しく生きていくんじゃないかって、正直不安だったんだ。」


「親が言うのもアレだけど見た目はそこそこ可愛い。先に逝った妻に似て愛嬌もある。なのに何故か相手が見つから……」

熱く語るお義父さんの頭部に突如レンガが直撃した。もちろん投げたのは……エルダだった。


お義父さんはフラフラしながら立ち上がるとエルダに

「何をするんだ!?反抗期か?」と聞いた。


エルダは「お義父さんこそなんて話をしてんのさっ!?」と言い返した。


そんなエルダを見てお義父さんは目を細めながら言った。


「よく考えなさい。エルダ!親として僕は断言する。この先トーヤほどの男がお前を貰ってくれるなんて……ない!」

絶句するエルダにお義父さんは話を続けた。


「だから僕は考えた……そうだ!情に訴えよう……とね。」

いやいやお義父さん……そんな事しなくても、エルダは貰い受けましたよ。

そう伝えるとお義父さんは上機嫌に言った。


「そうだ!今日はパーティーを開こう!うん。それがいい!」

そう言って店を飛び出していった。


「ごめんね?あんなお父さんで……」

恥ずかしそうに言うエルダの頭を撫でると「娘思いの、いいお義父さんだよ」と答えた。

その言葉にエルダは照れながら笑顔を見せた。


するとそこにお茶会を終えたセリナとノワールがやってきた。セリナの姿を見つけたエルダは駆け寄ると指輪を見せた。


セリナも嬉しそうに指輪を見せると、ノワールは俺の所まで来ると椅子に座って言った。


「何か食べましょ?」

その言葉にエルダがキッチンへ向かうと調理を始めた。


そして出来立ての料理を持ってきたエルダにノワールは「よろしく」と挨拶して料理を食べ始めた。


その後しばらく4人で雑談を続けていると次第に上が騒がしくなってきた。

するとお義父さんが降りてくると言った。


「さぁ!みんなが待ってる!パーティーだよ!」

……すっかり忘れていた。

俺はセリナとノワールに説明するとみんなで上の店に向かった。


すると店には見知らぬ人が沢山いた。

どうやら、お義父さんは隣近所など手当たり次第に声を掛けたみたいだ。

お義父さんは手を叩くと場に静寂が戻った。そして静かになったところでお義父さんが話を始めた。


「皆さん!集まってくれてありがとうございます!今日は一人娘のエルダが見事!結婚相手を見つけてきた事を祝うパーティーです!」

その言葉に場が騒ついた。


「馬鹿なっ!?約束が破られただとっ!?」


「ちょっと待て?聞いてないぞ!?」


「嘘…だろ!?」


俺の耳に一部の男どもがあげた嘆きの声が聞こえたけど……多くは祝福の声だった。

そんな中、お義父さんは話を続けた。


「そして彼が我が息子となる……トーヤです!」

そう言って俺を指差すと場の視線が俺に集中し、会場が再び騒つき始めた。


「あいつ……美人嫁に飽き足らず……エルダちゃんまで……」


「食堂に咲く可憐な蒲公英を摘み取ったのは貴様か!?」


「今夜は新月……暗い夜道は気をつけろよ?」


「まさかMKMのエルダが……今夜は久々に会議だな……」


……エルダ……自分が気付いてないだけで大人気じゃん。しかし「MKM」って何だ?

……そんな疑問をよそにお義父さんはグラスを手に持つと言った。


「それでは娘の幸せを願って……乾杯!!」

その言葉に皆がそれぞれ食事や酒を楽しみ始めた。時折殺気を感じたが終始楽しい時間だった。


パーティーも終わりを迎えると、エルダは酔いつぶれたお義父さんを担いで言った。


「今日はありがと!じゃ、またね」

そう言って2階へと上がっていった。

何だ?

部屋には来ないのか。仕方がないので俺達は3人で部屋に戻るとベッドに横になった。



その頃、エルダは自分の部屋で1人ドキドキしていた。

結婚したとはいえ、いきなり部屋に行って……その……抱かれるなんて恥ずかしい!

しかもそれをセリナとノワールに見られながらなんて……まだ無理!


エルダは顔を真っ赤にして布団に潜り込んだけど……なかなか寝付くことが出来なかった。


ブクマが増えてる!?16件⁈

ありがとうございます!



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