NEET 3人目の花嫁爆誕
翌朝
目を覚ますと2人は俺より先に起きていた。
様子をみると……何か話してるみたいだ。
体を起こした俺は2人に声をかけるとセリナが嬉しそうに言った。
「旦那様!今日はノワールさんの家に行ってきます!」
嬉しそうなセリナの言葉にノワールは微笑むと言った。
「セリナとお茶するの。」
そう言って微笑むノワールとセリナに俺は声を掛けた。
「へぇ。セリナ!ゆっくり楽しんでね?ノワール。セリナを頼んだよ?」
そう言うと2人は揃って頷いた。
そして準備を終えるとノワールがセリナを連れて転移していった。
俺は2人を見送ると着替えを済ませて宿を後にした。
今日はエルダと大切な約束があったから、さっそく目からウロコ亭を目指して歩き始めた。
その道中で俺はあることを思い出して頭を抱えた。そしてしばらく考えると……俺は目的地を変更した。
そして俺は目的地に到着した。やどかりのから不動産だ!中に入るとゼーレンさんに声を掛けた。
「お久しぶりです。ゼーレンさん」
「トーヤ様!ご無沙汰しております。本日はどのようなご用件でしょうか?」
俺は簡単に挨拶を済ませると……馬車を借りたいと伝えた。
ゼーレンさんは快諾してくれたので早速馬車に乗り込むと……俺は最初の行き先に「目からウロコ亭」をお願いした。
それを確認した御者は馬車を目的地へ向けて進み始めた。
……
私は窓の外をソワソワしながら眺めていた。
ヴァレさんが会いに来てくれる!そう考えるとより一層胸が高鳴った。
しばらくすると前に見た馬車がわたしの目に留まった……そういえば前に見た時はセリナと一緒だったなぁ。
その馬車は店の前を通り過ぎ……
え?止まった?
私は馬車を凝視しているとドアが開き中からヴァレさんが降りてきた。
慌てて店の外に出ると私を見つけたヴァレさんが近付いてきた。
そして私の手を取ると2人で馬車に乗り込んだ。
無言のまま進み続ける馬車。
どうしよう……言葉が出てこない。ちらっとヴァレさんを見ると窓の外を眺めていた。
私がその横顔に見惚れていると、不意に此方を見たヴァレさんと目が合った。
慌てて目を逸らした私に彼が言った。
「なぁエルダ。ゆっくりでいい……ちゃんと聞くから」
その言葉に……気持ちが溢れた。
「私……ヴァレさんのことが……好きです。」
彼は黙って聞いていた。
「多分ずっと好きだったの。でもヴァレさんにはセリナがいて……だから諦めなきゃって。そう思ってた。」
「なのにヴァレさん別の人も奥さんにしちゃった。しかもあんなに綺麗な人を……。」
こんなのただの八つ当たりだ。なのに気持ちが…言葉が溢れた。
「私、ヴァレさんへの想いを必死に押し込めてたのに……ノワールさんの話を聞いて我慢できなくなっちゃった」
「私ね……2人が羨ましい。私にはセリナみたいな可憐さもノワールさんみたいな美しさもない。ヴァレさんに振り向いて貰えるようなもの……何も持ってない」
「ねぇ私の手を見て?ほら、ぼろぼろでしょ?」
私は手のひらをヴァレさんに見せて自嘲する。
「この耳もそう。変でしょ?ヴァレさんと初めて会った時びっくりしてたよね?」
ヴァレさんは、変わらず静かに聞いていた。
「分かってるの。だから……せめて……友達でも構わないから傍にいさせて欲しい」
私はそういうと……涙が溢れた。
そんな私にハンカチを差し出すとヴァレさんが口を開いた。
……
話を聞き終えた俺は、エルダにゆっくりと話した。
「エルダ。君には確かに2人のような美しさはないと思う。だけど2人にはないものをエルダはたくさん持ってるよ。」
今度はエルダが涙を拭いながら俺の話を静かに聞く。
「まずはその耳だ!エルダは変と言ってたけど俺の故郷では「猫耳」として崇めらててある意味では伝説の存在なんだ」
その言葉に目を丸くするエルダ。
「俺も本物を見たのが初めてで……つい興奮、いや驚いてしまったんだ。」
「それにエルダ。君は可愛い。セリナよりもノワールよりもだ。」
エルダは顔を真っ赤にして俯いたが俺は構わず話を続ける。
「エルダ……一度しか聞かないからよく考えて答えて」
エルダはその言葉に、顔を上げると頷いた。
「俺と一緒になるか?」
エルダは最初キョトンとしていたけど意味に気付くと顔を真っ赤に染めた。
そして溢れる涙を拭いながら何度も頷いた。
時を同じくして馬車が停まったので、俺はエルダの手を取ると馬車を降りた。
そして俺達が降りたことを確認すると馬車は走り去っていった。
名残惜しそうに馬車を見送るエルダの手を引いて「そこ」に足を踏み入れた。
そこは目からウロコ亭だった。
エルダは駆け足で階段を降りるとドアを開けて言った。
「いらっしゃいませ!お一人ですか?どうぞ!」
俺はエルダの案内で席に着くとランチセットを頼んだ。
少し待つとランチが2人分。俺達は雑談しながら食事を進めた。
食べ終わるとエルダに言った。
「美味しかったよ。代金は……」
そう言ってエルダの左手を掴むと薬指に指輪をはめ込んだ。
昨日その光景をカウンター越しに見ていたエルダはすぐに意味を理解した。
「エルダ。これからはずっと一緒だ」
「……はい!」
店内にエルダの元気な返事が響いた。




