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33 形勢逆転

 なお爛々(らんらん)と輝く尭史の目。

(この状況を引っくり返す気でいるのかい、鮎川クン?)

 予想外の顔色に、馬渡はむしろ愉快さを覚えた。

(なら、やってみればいいじゃん。この衆人環視の中で、イカサマも何もないだろうしね!)

 (てのひら)を上に、四本指を立てる。

 かかってこい。


(ご挨拶だな。決めに行くぜ、ローナ!)

「上等っ!」

(三枚操作だ。順番間違ってくれんなよ――!)


 馬渡がエンドフェイズを宣言する。

 尭史はすかさず、前のターンに引いておいた一枚を叩きつけた。

「ターン終了時、『肥大化した群れ』を顕現します!」



『肥大化した群れ』(4)(緑)

スプレー

 あなたの山札を一番上から、点数で見たコスト3以下のプログレが出るまで公開する。そのコストに1を足した値に等しい点数のコストを持つプログレが出るまで、続けて公開する。この二体をバトルエリアに出す。公開した残りのカードをあなたのデッキの一番下に望む順番で置く。



「一体目。デッキトップは『リズ・ギルエンサ』」



『リズ・ギルエンサ』(白)(緑)

プログレ(ネームド)――獣人

 Fmになるときアンステディされる。

 リズ・ギルエンサを生け贄に捧げる: プログレ1体を対象とする。このターン、それが死亡したとき、バトルエリアに戻す。

BP4000 / HR2 / RV (なし)



「『リズ』は2コスなので、3コスの生物を参照します……、『白髭の二丁拳銃』ですね」



『白髭の二丁拳銃』(青)(黒)(1)

プログレ――人間、戦士

 Fmになるときアンステディされる。

 いずれかのプレイヤーが、Fmでコストを支払わずに、トークンではないプログレを場に出したとき、そのプレイヤーは自身のプログレを1体選んで破壊する(RVシンボルによる復活は対象としない)。

BP6000 / HR3 / RV(種族: 戦士)



(今更小型を並べてなんになる。攻撃してきたら象・トークンでブロックすればいい。それでなくともぼくのライフは17点。HRが足りないじゃんか)

 そんな馬渡の思考は、しかし次なる尭史のドローで水泡に帰した。


「ではオレのターン、ドロー。『抹消』をプラグ。Fmをすべて消費(Tapped Out)してこのカードを召喚します」



『夜半の暁担い、ヴィシャス』(黒)(赤)(6)

プログレ(レジェンダリー)――ソウル

 このカードはFmであっても、有色のコストを支払えない。

 鋭敏、連撃

 あなたがコントロールするプログレが攻撃したとき、または墓地に送られたとき、対戦相手一人を選ぶ。このカードはそのプレイヤーに3点のダメージを与える。

 このカードを生け贄に捧げる: 各対戦相手に3点のダメージを与える。

BP13000 / HR7 / RV (ソウル)



「投了じゃんか!」

 叩きつけられた一枚を見て。

 ほとんど反射的に、馬渡はそう言った。

 反面観客席からは疑問の声が挙がる。


「何が起きたのでしょうかっ!? 馬渡選手が唐突に敗北を宣言ッ!! 我々に見えていないものが、二人には見えているのかァ~~~~ッ!?」

 馬渡の判断を理解できないプレイヤーが少なくなかった。

 生放送の都合から、最後まで続けるよう審判が頼み込む。彼はそれを快く承諾した。


 尭史が説明を引き継ぐ。

「まず、このまま戦闘に入ります。そして『ヴィシャス』でアタック。効果で馬渡さんに3点ダメージ」

「これは象・トークンでブロックするじゃん」

「続けて『白髭』を攻撃者に指定。ヴィシャスの効果が誘発して、さらに3点ダメージ」

「とりあえずもう一体の象でブロックするじゃん」


「問題はここからですね。ダメージ前ステップに、『リズ』の効果を発動。『ヴィシャス』が死んでも復活できるようにします。『リズ』が墓地に送られるので更に3点」

「ここまでで9点喰らう。そしたら『ヴィシャス』の第二効果使われるじゃん?」

「はい。第一効果と合わせて6点ダメージです。ここで『リズ』の効果がトリガーして、『ヴィシャス』が復活」

「するとFmでコストを支払わずに、トークンではないプログレが場に出た扱いになるので、『白髭』の能力がトリガー。『白髭』自身を選んで破壊すると、また『ヴィシャス』の能力で3点喰らう。これで18点になるから、ぼくの負けってわけじゃん」


 観客席から感嘆と拍手が溢れる。実況もやはり騒いだ。

「素晴らしいッ! 鮎川選手の豪運もさることながら、一連の流れを瞬間的に判断した両名のスキルが感嘆モノだァー! 流石本戦出場者といったトコロっ!」


「ちなみに生き返った『ヴィシャス』はまた攻撃することができる。それも合わせると、更に23点のダメージを受けうるわけだから……、これはもう、ぼくの完敗じゃん」

 馬渡は大袈裟に肩をすくめた。


 テーブルまで届く大きな拍手の中で、ジェローナは言う。

「やったじゃない! これでカウントは一対一ね」

(ああ。次もこの調子でいければいいけど)


 自分を落ち着かせるように目を閉じる。

(初手次第だな。一本目のような悪手を引いてしまえば……そのときは)

 その先はあえて言わずにおいた。


(そのときは、どうするの?)

 フッと止んだ拍手の後で、ジェローナが固唾を飲んだ。

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