15 勇士の再会
「それでは二回戦の前半戦を開始します。参加する方は後に続いて移動をお願いします」
男のスタッフがそう言った。十六人のプレイヤーたちが、ぞろぞろと動き出す。
「さっきの話の続きだけど。結局尭史はどういうマリガンをするの?」
(トップ操作のおかげで、二ターン目以降の手札はどうとでもなるからな。Fm用の多色カードを集めることに専念する)
「多色って、『不平等統制』とか?」
(わかってんじゃん。あとは、対月居の二本目で最初に出した『若葉風を運ぶもの』もそうだ。こういう複数色のカードは、Fmとしてアンステディするとシンボルにある色を一つ選んでコストにできる。だから序盤にFmにできると、その後の展開がスムーズになる)
『若葉風を運ぶもの』(2)(白)(緑)
プログレ――精霊
(能力なし)
BP1500 / HR1 / RV(同種族)
(特に『若葉風を運ぶもの』とその同型は、Fmにした際のデメリットがないから使い勝手が良い。その代わり、戦闘用のプログレとしてはすごく非力だけど)
「そういうものを揃えておいて、色拘束? ってのを克服しておくわけね」
(飲み込みが早くて助かるよ)
十六人は会場に到着し、各々指定された座席に着く。
(ま、二回戦における目下の懸念は、早崎がオレのデッキを知っているかどうかの方なんだけど)
「そういえばそうね。相手だけがこっちの情報を掴んでる可能性もあるわけか」
尭史は答えず、着席する。向かいにはすでに早崎がいた。
静かに、深く、お辞儀をする。
「よろしくお願いします」
挨拶しても口は開かなかった。力強い眼差しで、ただ睨んでいる。
不貞不貞しいヤツだ、と尭史は思った。
「それでは各テーブルごとに対戦準備をお願いします」
スタッフの一声で、プレイヤー達は一斉に自らのデッキを手に取る。
そして思い思いにシャッフルしていく。
それが終わると、プレイシートの手前に裏向きのFFを配置する。右上にデッキ、そのさらに右にサイドボード。二人ずつコイントスを行い、先攻後攻を決める。
その後互いに六枚のカードをドローし、マリガンの選択を行う。それが済んだら、審判の指示があるまで待機する。
「それでは各テーブル準備が済んだようですので、二回戦を開始して下さい」
総責任者の指示が飛んだ。
開始の瞬間。
プレイヤー達は自分のFFを、その背景ストーリーにちなんだ口上とともに表向きにするのが通例だった。
「「サエナイ因子を斬り変えてあげるわ!」」
(お、本物が言うと迫力が違うな)
「でしょーーーー!! もっと褒め、……て?」
「ん」
「え」
騎士のドヤ顔は、一瞬で真顔に変わった。
青年もまた、目を点にした。
それはもちろん、早崎がかけ声を出さなかったからではない。
二人とも、早崎のFFに、驚いたからだった。
「ちょっと。あのカード、昔のお父さんじゃない!」
(そうか、それもそうだな。オレにとっては古いレアカードだけど、ローナにとっては)
「聖染騎士団第一世代の剣豪にして、私の剣の師。そして私の父親よ!」
『軍旗背負いの剣豪、オルギン・メイル』
フォアフロント――人間 / 聖染騎士
ゲームの最初のあなたのターンの開始時、あなたは10点のダメージを受けてもよい。
発揮10(魔力カウンターが10個あるとき、常時能力として発動する); 種族に騎士か荒くれ者を一つ以上含むあなたのプログレは、すべてBP+500 / HR+1 される。
解放25; ターン終了時まで、あなたのプログレははすべてBP2000 / HR+3 される。
LP30
「まだ私が生まれる前の姿じゃないの? 下手すればお母さんとも親しくなっていないわ」
(無理もねえよ。ありゃ、S.N.o.W.第一弾のカードだ。オレが中学生の時に出た小さな大会で、相手の大学生にこのカードを使われてボコボコにされたのを今でも覚えてる)
「よくそんなこと覚えてるわね、って感心する場面かしら」
(どうだろう。正直、いろんな意味で予想外だ。反応に窮するよ)
そこまで伝えると、尭史は手を動かす。
「ドロースキップ、メイン。『心悪しき教示者』をプットラグ、エンド」
『心悪しき教示者』(2)(白)(黒)
プログレ――人間 / クレリック
(能力なし)
BP1500 / HR1 / RV(種族にクレリックを含む)
「なんだかんだで多色を置けてるじゃない」
(まあ、ね。手札には『虚空漂着』もあるし、対緑単アグロだったら満点の滑り出しだったんだけど)
『虚空漂着』(白)
スプレー
白ではないプログレを一体選び、それを追放する。それのコントローラーは、自分のデッキの一番上のカードをステディ状態でFmにしてもよい。
「けど?」
(オルギンがFFってことは、あまり良い手ではなかったかもしれないな)
「ドロー。プットラグ『調和の象徴、テミィツ』。『オルギンの弟子』を召喚」
手番を渡された早崎は、ごく普通に話しながらプレイ。
それはそれで、尭史にとってはやや意外ではあった。
けれど些細なことであるのも、また事実だった。
問題は、召喚されたプログレにある。その硬さに、尭史は眉をひそめた。
『オルギンの弟子』(白)
プログレ――人間 / 聖染騎士
あなたのFFのカード名に「オルギン」が含まれる場合、このカードのBP+1500 / HR+1 する。
BP1000 / HR1 / RV(種族に聖染騎士を含む)
(やっぱりな。相手は騎士シナジーの、白主体アグロだ。おかげで『虚空漂着』で除去できない)
「これがマリガンの選択ミスってことなのね。大丈夫なの?」
ジェローナの声色には、どうしても心配が含まれた。
それは彼女の記憶の中で、父親に勝った試しがなかったからかも知れなかった。
(問題ねえよ)
一方の尭史は。
ジェローナの憂いを吹き飛ばすように、断言した。
(おまえの力で、全ての攻めを受けきってやる。だからノッケから働いてもらうぜ、ローナ!)
本作の英文には、作者自身によるトンデモ意訳がかけられています。
例えば"My sword will tear your helix"の直訳は
「私の剣はあなたの螺旋を引き裂くでしょう」こんなとこです。
そういうわけなんで、「本作を参考に回答したら英語のテストの点数悪かった」等の苦情は受け付けません。あらかじめご了承ください。




