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DARKSPHERE〜戦士たちの鎮魂歌〜  作者: 高見 燈
第5章 アルティミシア大戦の始まり
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第23話 深海の皇王の目的

 地揺れは止んだ。

ぴたっと。だが、目の前で大きな翼広げる白鷺に似たアクアブルーの幻獣の低い声が変わりに響いた。

 「我の名は“深海の皇王(デューサ)”、魔道士たちよ。約束の時が過ぎている、生贄を。」

 その声は腹に直接響く様な低く重たいものだった。

 更に深海の様なダークブルーの光を放つ両眼が私達を見据えていた。威嚇する様に鳥頭を低く掲げるのも威圧感がある。完全に私達を敵視してる様子だった。

 私は双剣握りながら言った。

 「お前と契約していた魔道士カルラは死んだ!この者達は何も知らぬ弟子達、故にお前との契約とは関係ないっ!」

 怒鳴る様にそう言ったのだけど、、、バサッ、バサッと巨体はアクアブルーの両翼を大きく羽撃かせて鳥頭を上げた。

 全身がアクアブルーの水が流動する半透明の生命体だ。なのにその眼だけは深い蒼をしていて別色。半透明だからと言って骨などが透けて視える訳ではない。流水が体内を駆け巡り、顔、頭、翼、鳥足などを物体化させている。なので半透明だけど鳥の姿をした幻獣だと認識出来るのだ。

 ふははっ。

と、、、デューサは大きな嘴を開きまるで馬鹿にする様に笑った。

 「何を言うかと思えば。“月雲(つくも)の民”よ、、、。」

彼は大きな両翼を折畳み、頭を低くしダークブルーの両眼で私を見据えた。

 「カルラが死のうが関係ない、(われ)が契約したのは“ナディア魔道学士館”。この地が没さぬのであれば契約は続行、無論、お前が代わりでも我は構わんぞ?月雲の姫よ、生贄を。この地を存続させたいのなら。」

 バサッ、バサッ。

と、、、デューサは大きな両翼を羽撃かせる。

 私は彼を睨みつけた。

 「ふざけるなよ?そんな契約する訳ないだろう?そもそも、動力の為の生贄として生命を欲するお前の思考が解らない!」

 私が言うとデューサは、フン。と、鼻で笑い飛ばした。

 「絶海の孤島……、それも人間が立ち入らぬ聖域に踏み込んだのが人間のカルラだ。己の欲望と野望の為にな。だから我等は問うた、その覚悟はあるのか?と。我等の聖域を侵し入り込むだけの覚悟があるのか?と。だが、カルラは“献上”を提案した、魔力持つ者達の魂を生贄にすると。そこには幻獣も含まれた。」

 デューサは私達を見据えて更に言った。

 「我等は“海王神アプサリュートの擁護者(トゥーデ)”。」

 「え?」

私が聞き返すと、彼は言う。

 「月雲の姫、、、“守護の盾(ガーディアン)”と同義。言い方、名称は違えど我等は同じ。我等の主は既に死に絶え生身は無いが“魂”はある。そして“意志”も。」

 デューサが言うと私の腰元に提げている布袋が、ポゥと蒼い光を放った。え?と、私はそれを見て驚いたが隣に居る愁弥が言った。

 「オイ待て………、その中ってアレだよな?“神器”……。」

 「!」

私は愁弥の言葉を受けて直ぐに双剣をフォルスターに突き刺し、腰元に提げてる布袋を掴み開いた。

 ポゥ。と、中で光っている。

その光放つモノを掴み取り出した。

 「……アプサリュートの“羅針盤(コンパス)”………。」

掌に乗る程度の羅針盤は蒼い光を放っていた。愁弥はそれを見ながら言った。

 「は?まさか……呼応ってやつ?」

 「有り得るかも。」

私達はデューサに目を向けた。

 彼は大きな両翼を、バサッ、バサッと羽撃かせながら言った。

「それはアプサリュート様の神器。そして神器とは神の器。」

 ブワッ……と、彼は浮く。

大きな両翼をバサリ、バサリと羽撃かせながら。

 「魂は宿る……、“生還には魔力”を。我れが生贄と称し“魔道士達の魂”を集めていたのは動力とは名ばかり、そんなモノ無くても動力など幾らでも産み出せるからな。カルラはそれに気付かず己の欲望に夢中だった、最高権力者が聞いて呆れる。だから利用させて貰った。」

 フッ。と、デューサは小馬鹿にした様に笑った。

「我等が求めるはアプサリュート様を生還させる為の魔力。だがまだ足りぬ。故に次はお主らがその力を献上しろ。」

 深い海の色の様な眼が私達を睨みつけていた。私は光る羅針盤を布袋に押し込んだ。

 バッ。

とーー、さっき腰元のフォルスターに突き刺した双剣を抜き握る。

 「海王神アプサリュートを復活させる為に人間達を生贄に?」

私が言うとデューサは鳥頭を少し下げ、ダークブルーの眼で睨みつけてきた。

 「ああ、そうだが?それが何だ?戦争の始まり、結末に何も問おうとは思わぬ。が、我等の主がその犠牲者となったのなら話は別だ。我等は主を取り戻したい。その為に必要な力を主を犠牲にした者達から返して貰う事に何の罪がある?我等は奪還してるだけ。」

 (…………奪還…………。)

私はその言葉に前に氷憐が言っていたのを思い出した。彼も、動機は奪還と言った。

 (………私が知らぬだけで、この世界は怨念の渦に包まれている。そしてそこには揺るぎない想いも………。この者の言ってる事も至極正当。何故なら………彼も私と同じ。失った者を取り戻す事が出来るならそれに縋っているだけ。)

 私は単に怒りを向ける事が出来なくなっていた。同じだから。でも、そんな私の弱気を払拭する声は響くーー。

 「あ?ふざけんなよ?だからってその時とは無関係な他者の生命を略奪、犠牲にするのが許される訳ねーだろ。狂ってんだよ、てめーらは。過去を許せねー気持ちは解るが、それを今、現在を生きてる者達に矛先向けて搾取すんのは違げぇだろ。」

 愁弥だった。

じっ。と、、、ダークブルーの眼でそんな彼をデューサは見据えた。

 「……………。」

デューサは少し愁弥を見据えてから、チッ。と舌打ちした。

 「“神国ミューズの戦士”か、忌々しい。闘神ゼクノスに認められたからと生意気な。」

 ん??と、私と愁弥は顔を見合わせた。愁弥は、あー……と、苦笑いした。

 「すっげ久々の反応。」

 「確かに。」

私は頷いた。

 “神国ミューズ”そこを統治する闘神ゼクノスから贈られる戦士の象徴。それを彼は持っている。闘神ゼクノスから授かったモノではなく、愁弥が異世界で1000円で購入したモノだ。

 ブラッドさんはそれを見て本物だと言っていた。それは黄金の獅子のネックレスで、彼はそれを首元に掛けているのでこの世界の者達は、それを見て愁弥が戦士だと疑わない。

 だからデューサの反応も至極当然なのだ。

愁弥はデューサを見て言った。

 「悪いけど俺は戦士じゃねーよ、その闘神ゼクノスとやらにも会ったことねぇしな。」

 「は??なら何故その象徴を持っておる!?」

デューサは声を荒げた。

 さぁ?と、愁弥は首を傾げた。

 「知らね。まー、何かの切欠なんじゃねーの?」

 「は?舐めてんのか?お前。」

ギロリ。と、睨むデューサに愁弥は、フッ。と、何か挑発的な笑みを浮かべた。

 更に腰元の神剣を抜き握った。

 「舐めてはねーがヤル気はそこそこか?ちょいお前にはイラっとしてんで。」

 愁弥の神剣が蒼く光る。ハッ。として私は振り向いたが、、、そこに居た筈の闘いの女神レイネリスの姿は無かった。

 (神剣に宿ったのか。)

まるで愁弥の闘志とシンクロしてるみたいにレイネリスは、自身の神器である神剣に戻り力を放っていたのだ。それがこの蒼き光の正体である。

 「いい度胸だ小僧!来いっ!」

バサッと、デューサは大きく両翼を広げた。

 だっ!

愁弥は蒼く光る神剣を握り駆け出していた。

 「愁弥!」

私は驚き叫んだが、彼は大きな両翼を広げた幻獣……デューサに真っ向から突き進んでいた。

 突進し神剣を突き出し……デューサの腹部にその刃を穿こうとしたが、デューサは両翼を咄嗟に折畳みその腹部をガードする様に翼で覆った。

 ガキィィンっ!!

まるで鋼の盾の様なデューサの両翼と、愁弥の神剣の刃がぶつかり強硬な音を立てた。

 愁弥は直ぐに剣を引き両手で握り、だんっ!と、地を蹴り上げ飛び上がった。

 蒼く光る神剣を振り翳しながら叫んだ。

 「“神空覇王(キルディアス)”!!」

  ザシュッ!!

 それは上段斬りなのだが真空を切り裂く様な斬撃で、しかもレイネリスの力なのかは定かではないが、神剣の斬撃とは他に2連の斬撃も伴いデューサの頭をかち割る様に神剣が切り裂き、更にその両脇から2つの斬撃が降る。

 それらは彼の両肩を真っ二つに切り裂く様に振り降ろされた。

 ウギャァァッ!! 

流水を血飛沫の様に上げながらデューサは奇声の様な悲鳴を上げた。

 愁弥は剣を振り降ろしながら着地すると、悲鳴を上げながら両翼を広げたデューサの前で地を蹴り上げ飛ぶ。

 跳び上がりながらの斬り上げ。

 「“天空翔破(スティルハザード)”!!」

蒼く光る刃がデューサの腹部に突き刺さり切断する様に彼は上昇しながら、斬り上げた。

 ズバァァァッ!!

斬撃で切り裂かれるデューサの身体……。真っ二つに割かれた身体から飛び出るのは彼の胎内で浮かぶ黒い浮玉たち。それは噴射の如く飛び出て来た。

 「……………!」

私は驚くばかりだったけど、愁弥は空に浮いたままで叫んだ。

 「レイちゃん!!」

 ポゥ! 

その声に呼応する様に神剣が目映く光り、そこから闘いの女神レイネリスは姿を現した。

 蒼き発光体は大きく神々しく、、、キトン姿で私達の前に浮かび上がる。

 ボト……ボト…。

全身から血の様に水を垂流し地に落とすデューサを前にしてレイネリスは右手を振り上げた。

 「逝きなさい。“冥門(ダークプリズン)”へ。貴方は犯してはならぬ罪を犯した。許されぬ大罪をね。」

 レイネリスの右手が蒼く光を放ち始めると、デューサは全身から流血の如く水を垂流しながら、フフフ……と力無く笑う。

 「結局……何も出来ず堕ちるのか………。」

レイネリスは言った。

 「何か出来ると思っているのも烏滸がましい。知れ。お前は自ら主を穢したと。」

 「!!」

デューサの眼が驚いた様に見開いたのも束の間だった。

 レイネリスは蒼く光る右手を振り降ろした。

 「“末路(キルス)“。」

蒼き光がまるで槍の如く無数にデューサの全身に突き刺さった。

 ドスッ!ドスッ!ドスッ!

それらは突き刺さると鈍い音を立てる。そして、ギィヤァアァ!!と、、断末魔の様なデューサの悲鳴が轟く。

 レイネリスは串刺し状態のデューサを見て言う。

 「海王神アプサリュートはお前と言う過つ者を産み出してしまった。今頃、嘆いているだろうよ。お前は永遠に償え、闇と拷問の世界で。」

 冷たい言葉の後で……、カッ!と、デューサの身体は閃光を放ち破裂したのだ。

 「!!」

その爆風を浴びながら涼し気な顔のレイネリスを見て私はちょっと、、、冷や汗滲んでいた。

 (………なるほど。女神の裏側を見た気がする。)

 

 深海の皇王デューサは愁弥、レイネリスによって破壊されたのだった。    

    

  

  

      

   

   

  

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