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DARKSPHERE〜戦士たちの鎮魂歌〜  作者: 高見 燈
第5章 アルティミシア大戦の始まり
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第19話 再会

 私はナディア魔道学士館に降り立ち、そこでカルラ派とそれに対抗する魔道士達に出会った。と言っても必然、私が自らその争い渦中に飛び降りたのだから。

 カルラ派は“紺碧の風”と言うチームでその象徴なのか魔法衣(ローブ)も紺碧色だ。対する“紅い翼”は名称通りに“真紅の魔法衣”を着た者達だった。何方も皆、若く私よりも歳下だろう。幼さ残る顔付きをしているから。

 私は紅い翼の恐らくリーダー的少年魔道士グンジを見た。先程、“共に来てくれる”と言ってくれた少年でもある。同時に対抗派閥の紺碧の風の少年、少女魔道士達も同意してくれた。恐らくでしかないが、彼等のリーダー格である“レスト”と言う少年魔道士が頷いたからだろう。まだ若いのにしっかりしている、指揮系統が。それに“同志”でもあるのだろう、視ているとレストと彼等に主従関係を感じない。誰もが納得し頷いたのだ。

 「グンジ、この塔の結界を………」

 と、、、話掛けた時に聞こえた。空からその怒りの声はーー。

 「瑠火っ!なに勝手に降りてんだっ!俺様を放置とか有り得んぞっ!?」

 (あ………。)

私はその声の主がルシエルだと直ぐに解った、俺様などと言う傲慢者はルシエルしか居ないから。

 その声がしたと思ったら直ぐに彼は降り立った。

 ドォォォンッ……と、、颯爽と降り立っただけで震動が走るーー地に。そう、彼はデカい。兎に角。なので今ですら崩壊しそうなこの塔の地に勇ましく着地したから、崩れ掛けてる地面は直ぐにピキィ……と、何やら嫌な音を立てた。足元を見れば螺旋描く様に亀裂が走り出していた。

 「わっ!バカ狼っ!!」

私は即座に怒鳴ってたけど、、、亀裂はあっとゆう間にまるで蜘蛛の巣みたいに拡がり、螺旋階段であるこの場所は見事に崩落したのだったーー。

 「うわぁっ!」

 「きゃぁぁっ!」

地面が崩落し足場の無くなった魔道士達は一瞬にしてパニック状態になっていた。驚きの声を上げながら落石と共に落ちるハメになったのだから。

 「あ………ごめん。」

ルシエルが悄気げた顔で声を出したけどもう遅い。魔道士達は地面が崩壊し揃って落下したのだ。

 「おバカも大概にしろっ!!」

 私は落ちながらも怒鳴り両翼を広げ、一度羽ばたかせてから両翼を折畳みくるりと反転した。落下して行く者達の元に急降下で頭から突っ込んだ。

 「ルシエル!瑠火を追えっ!つか、お前はもーちょい力加減覚えてくんね??」

 「うるさいっ!そう思うならお前が!瑠火をしっかり掴んで離さなければ良かったんだ!」

 「あ’’っ!?ヤんのかコラ?ヤんのかっ!?」

 と、、、天上から愁弥(しゅうや)とルシエルの怒鳴り合いが響いてたけど、

 (あー、うるさい!それどころじゃない!バカ者共がっ!)

 と、思う私だった。

何故なら、階段のあった場所が崩落し直ぐにでも下層に到着かと思ったのだが、ルシエルの重みで螺旋階段を尽く崩壊させていた。元より崩落仕掛けていた塔で地盤は相当に脆くなっていたのだ、そこにルシエルと言う巨体が勢い良く降りて圧を掛けた事で塔は外部からの圧力で崩壊を始め、更に内部までも巻込み階段を崩壊させたのだ。その為、、、目の前は長い底の見えぬ空洞になっていた。

 「マズい!この人数を私は捕獲し護れない!!ルシエル!」

真っ暗な空洞となってしまった塔の内部を落下していく魔道士たちーー。私は目の前に居る少女の腕を掴みながらそう叫んでいた。

 「あ……ありがとうございますっ!」

少女の両耳には真紅のピアスが垂れ下がっていた、ローブも真紅。この娘はどうやら紅い翼の魔道士の様だ。

 「いや?掴まれ。」

 「はいっ!」

ホッとした様な顔と、不安と恐怖に満ちた表情を混在させながら、彼女は私の身体にしがみつき胸元に頭を埋めていた。ぎゅっ。と、、、可細い両腕は私の腰に巻き付いていた。

 「すまぬ、怖い思いをさせて。」

私は言いながらその少女の背中を支えたくて、抱き締めてやりたくて腰元のフォルスターに双剣の片剣を挿した。空いた右腕でしっかりと彼女の背中を抱き締めた。

 怖かったのか……私がそうすると少女は胸元に顔を埋めながら言った。

 「いえ……ありがとうございます………。」

それしか言わなかったけど、その所作とちょっと震えてる声の返しに私は少し強く彼女の背中を抱き締めていた。

 安堵させたくて。

 「瑠火っ!俺様は悪くないからな!お前が勝手に飛び降りたからだ!!」

 背後からそんな吠える様な黒い狼犬の声が聞こえた。

 イラっとした。

 「このクソ狼っ!お前の身体を突き落して地面に広がるクッションにしてやろうか?」

 そう怒鳴った。

 コイツの身体を地に伏れさせて寝かせれば、この大人数を受け止められるだけの弾力性ある絨毯が出来上がると、、、私は脳内構図もしていた。

 「はぁ??俺様を何だと思ってんだ!このアホ姫っ!自己中!クソばかは瑠火だっ!!」

 と、、、まるで幼い子供みたいに吠える黒狼犬に私は、、、ちょっと冷静になった。

 「後で幾らでも文句は聞いてやる、今は兎に角、お前のその無駄にデカい身体使ってあの者たちを救えっ!」

 と、ルシエルに言ったのであった。

 「無駄??ムダって何だ!?瑠火が悪い!俺様は悪くないっ!」

 「うるさいっ!さっさと行け!バカ狼っ!」

私がそう怒鳴った後で……背後から温かな光を感じた。それは柔らかく私の背中から照らす様な光だった。

 「え?」

振り向くと、ルシエルの隣で蒼い光を放ちながら降下している闘いの女神レイネリスの姿が見えた。更に彼女の全身はいつもの様に蒼く発光してるが、とても強く光っていた。

 「レイネリス?」

私はその温かな光の正体が彼女から解き放たれているものだと知った。何故ならいつもは自身の周りにしか放たれてないその蒼い光が、この空間を覆い包む様に大きく放っていたから。

 「全く………、緊急事態でも喧嘩する貴女達の関係性と思考回路の幼稚さに呆れます。」

 彼女は私と同じ様に頭から突っ込むカタチで降下している。が、その得体の知れない強い光を放っていてとても眩い。眩しさで目が自然と細まる程に。

 「レイちゃん?」

ルシエルの背中に乗ってる愁弥も驚いた様な顔を覗かせていた。

 「私が救いましょう、私はコレでも“女神”なので。他者を救う“神力(テオス)”は備えている。本体は死滅していても“魂”はこうして遺っている、それは私を頼る者、私を呼ぶ者が存在するから。私は“呼応”し力を放てる。その源である愁弥が存在している限り、私は神力(テオス)を使える。」

 「…………!」

私はそれを聞き、ハッとした。

 (“神剣”……、レイネリスの神器。そうだった……彼女の魂は神剣に宿ってる、つまりそれを使う愁弥が居るからレイネリスはこうして存在する。彼女が愁弥に固執するのは存在意義。自身の魂を護り、更に必要とする存在だから。ああ……そう言うことか。)

 是迄の女神レイネリスの言動、愁弥に対する妙に執着している感じ……その謎が解けた気がした。彼女にとって愁弥は自分の魂の器である神器を扱い、彼女の力を必要とする者。レイネリスはその声に反応し存在する事が出来ている。実体は既に無いが魂だけは未だココに居る。だから愁弥が必要で助けるのだ、彼が居なくなれば彼女も完全に消滅するから。

 ふと、私の脳裏にある仮説は産まれた。

 (そうなると……愁弥が力を持てば、レイネリスも強力化するのか?彼の成長と共に……。)

 が、レイネリスから強い蒼い光が放たれたのを知り考え事は中断した。

 パァァァッ……。

と、神々しい程に目映い蒼い光が空洞の中を覆い包み込む、それはまるで空を覆うオーロラの様だった。蒼い光は空洞全体を覆い落下する私達、魔道士達を包み込んだ。

 柔らかな陽射しに当たっている様な感覚だった。

 「え??」

でも、直ぐに私の身体が何か別の力で浮上させられてる様な感覚に陥った。

 「何?」

 急降下で落下していたのに、その力は治まりまるで空を浮いている様な感覚になったのだ。空気圧すら感じない、落ちる時に感じる圧迫感すらも。ふわふわとした感覚に包まれ浮いている感じだった。どうやらその不思議な感覚を覚えたのは私だけでは無い様子で、目の前で落下していた筈の魔道士達の身体もふわり、ふわりと浮き始め声を上げていたのだ。

 「わ!?何ですかコレっ!?」

 「え?魔法ですか!?こんな浮遊の術は知りませんけどっ!?」

 急降下していた魔道士達の身体は突然と浮き空洞の中でふわふわと浮いている。そして私も。翼など要らぬ程に身体は軽く浮いていたのだ。それもゆっくりと降下するーー。

 「レイネリス……この力は?」

私は見上げた。

 すると、蒼い光に包まれた女神はゆっくりと私の傍に降りて来た。ふわり。と、静かに何の空気抵抗も感じて無い様子で。

 ふふっ。と、レイネリスは少し笑った。

 「驚きました?神は何も“殺戮目的の力”だけを振り翳している訳じゃないのですよ、ああ……コレは貴女への皮肉なので御勘弁を。」

 私はちょっと動揺したけど、、、隣に浮いたレイネリスを見て言った。

 「人を偏見の塊みたいに言うな。」

ふふっ。と、レイネリスは笑う。何処か愉快そうに。だが直ぐに真剣な顔をして言った。

 「いえ?我等とて同じ。“脅威”だった……貴女達一族は。それは認めます、“未知なる者”は存在するだけで疎まれるものです。恐ろしいから。でも知ろうとしない事、それが1番恐ろしい。我等一族は貴女達を知る事を始めず“利用”する事を先に始めた。だから狂ったのです、大きな戦争を起す事になったのですよ。」

 「…………。」

私は何も言えなかった。レイネリスの言葉がとても重くて。思考が固まってしまったのだ。

 でも、、、私にしがみついている少女が言葉を放った。

 「そう言うことなのですね?“聖神戦争”の始まりと……月雲の民達の迫害と言う悲しい歴史の背景は。」

 え?と、私とレイネリスは同時で……ちょっと動揺してる様な眼をしてる少女を見て聞き返していた。

 あ。と、少女は直ぐに真剣な表情になった。

 「ごめんなさい、あたし達“紅い翼”は“魔法に代わる力”を求めていた流れで“月雲(つくも)の民”に辿り着いたので。文献や伝承が知識力です、でもそこに書いてあるのは少し……腑に落ちない事もあって、“真実”とは?と、、、皆で話しそこを追求するには“援助”が必要で、それでカルラ様に直訴していたんです。つまり……世界に足を運ばなければならない旅になるので、資金が必要だったんです。」

 その少女は私とレイネリスを見上げながら話をしてくれた、何処か震えた声で。

 「そうか……それでカルラに断られ続けて対抗派閥に?」

私が聞くと少女は言った。

 「はい、“学門に必要な援助”だと訴えたのですが……、月雲の民の名を出すなり激昂されて……話を聞いて戴けませんでした。しかもあたし達の存在を“要らぬ者達”と学士館に通達する徹底振りでした。」

 ふむ。と、レイネリスは軽く頷いた。

 「なるほど。偉大な魔道士カルラはその時既に闇に因われていたのかもしれぬな?瑠火。」

 ああ。と、私は頷いた。

 「かも。でも、何故……彼女は月雲の民をそこ迄警戒していたのか……、それが私には解らない。私達はこの魔道学士館に関わっていたのか?」

 レイネリスは、ああ。と、少しだけ言いずらそうな顔をしたが言った。

 「カルラが死に至る時に弟子との対話があった、そこで聞いたのだが……どうにもお前と何か繋がってる様な口振りだった、まるで“守護の盾(ガーディアン)”と言う様な口振りだったな。それが真実かどうかは解らぬ、ハッキリと物申した所を聞いてはおらぬから。」

 「え??魔道士カルラが守護の盾(ガーディアン)?」

私は驚いて聞き返した、が、レイネリスは困った様な顔をした。

 「だからその様な口振りだったと申している、主張していた訳ではない。だが……そなたに何か“怨”を抱いている様子でもあった、それはソナタではなく月雲の民にかもしれぬが。」

 と、、、レイネリスが言った時だった。

 「瑠火さんっ!?」

 下層からその声は聞こえたのだ。

 !!

ハッとして私は直ぐに見降ろしたーー。いつの間にか、下層に降りて来ていたらしくその地には、白銀の魔法衣(ローブ)、ピンクのロッド、そしてピンクの髪をした少女が居たのだ。

 それが……私が救いたかった者だと認識し、声を発していた。

 「ミントっ!」

彼女の足元には、両耳をピンっと立てながら前足を腹の前で折曲げながらぴょん、ぴょんと跳ね上がる者も居た。

 銀色の毛に覆われたリスに似た姿をした幻獣で兎の様な長い両耳を持つ者だ。

 ミントの傍を離れない“幻獣の申し子カリン”だった。

 「カリン!」

 私が言うと直ぐに、は??と、愁弥の声が聞こえた。気がつけばルシエルもふわふわと浮いた様な感じで私の横に居た。

 その背に跨がる愁弥の姿も直ぐ近くだった。

 「おー、無事だったんか?アイツら!」

愁弥は嬉しそうな顔をしながら、2人の姿を眺めていた。

 私はそんな愁弥に和まされながらミントとカリンの元に降りて行くのだった。

 魔道士達を引き連れて。 

  

   

    

  

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