収穫ポイント
【本文】
世界の声が《推定収穫量二百食》を表示し、食料在庫へ加算するよう勧めた。
まだ芋は土の中に存在しない。千鶴は推定値を在庫表へ入れず、農業予測の欄へ鉛筆で記す。
作業表には、担当者、代行者、使用した水と電力、翌日の確認時刻を記す。働けない者の配給を減らさず、農業班だけへ補助食や権限を集めない。
ポイントを払えば成長を二倍にできる提案も、土壌消耗、種芋の次代、味や病害の説明がないため保留する。
農業区画へ入る者は靴底を洗い、地上土と血獣粒子を混同しない。採取物には場所と時刻を付け、正体不明の土や水を広い区画へ一度に入れない。
世界の声の予測は参考記録として保存するが、地上の測定と一致するまで在庫や安全判定には使わない。失敗した区画も消さず、原因を次の畝へ渡す。
未来の収穫を今日食べた数字に変えないことが、配給の信用を守った。
成果を食料日数へ加えるのは、収穫し、重量と安全を確認してからとした。育っている途中の命を、帳簿だけで先に食べない。
表示された二百食は、理想条件で全株が育った場合の値かも不明だった。文は株数、地上の平均収量、現在の病株率から別の幅を計算する。最小ゼロ、中央値六十、最大百二十食。数字の違いを隠さず、世界の声の根拠不明値と並べた。
その日の終わりには、働いた人数だけでなく、休んだ人数、枯れた苗、使わなかった資材も記録した。何も増えなかった一日を失敗として隠せば、収穫予測だけが現実より先へ進む。
代表会議は最大値を広報に使わず、配給表には収穫ゼロの条件を維持した。推定値が下がっても責任者を罰しない。
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