堆肥の熱
【本文】
調理場の野菜くずと落ち葉を使い、堆肥試験を始めた。だが二日後、容器温度が六十五度を超えた。
生ごみを入れすぎ、空気が足りない。鉄平が攪拌機を付けようとするが、文は小容器を三つに分け、比率と切り返し回数を変える。
作業表には、担当者、代行者、使用した水と電力、翌日の確認時刻を記す。働けない者の配給を減らさず、農業班だけへ補助食や権限を集めない。
肉、薬品、血獣汚染物、患者区画の廃棄物は入れない。清掃粘体にも分解させず、通常の微生物が働く時間を測る。
農業区画へ入る者は靴底を洗い、地上土と血獣粒子を混同しない。採取物には場所と時刻を付け、正体不明の土や水を広い区画へ一度に入れない。
世界の声の予測は参考記録として保存するが、地上の測定と一致するまで在庫や安全判定には使わない。失敗した区画も消さず、原因を次の畝へ渡す。
ごみが土へ戻るまでにも、設備では縮められない発酵と安全確認があった。
成果を食料日数へ加えるのは、収穫し、重量と安全を確認してからとした。育っている途中の命を、帳簿だけで先に食べない。
温度が下がらない容器は蓋を開け放たず、ガスを外部管へ逃がす。発酵臭を血獣異常と誤認しないよう、生活区画と警戒班へ場所を知らせた。完成判定は色や匂いだけにせず、温度が外気へ戻り、未分解物が減り、病原検査を通ることとした。
その日の終わりには、働いた人数だけでなく、休んだ人数、枯れた苗、使わなかった資材も記録した。何も増えなかった一日を失敗として隠せば、収穫予測だけが現実より先へ進む。
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