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世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


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檻を閉じる町

【本文】

 残り表示が零になる一時間前、四回目の循環運転を行った。

 排水二重弁、井戸逆流槽、三つの防振帯、分けられた牛群、第三迷宮の空槽。四本の血管は完全に切らず、監視可能な流量へ絞られている。

 二十三秒の運転を三回。封鎖率は七十一、八十四、九十六%へ上がった。

 世界の声は《冠位出現》を宣言する。試験場の黒膜が膨らみ、角の影が立ち上がる。

 しかし動物は列を作らず、井戸の粒子も増えない。影は檻の外へ体を作れず、排水槽の中で崩れた。

 保守音声が告げる。

《地上補助槽、暫定再封鎖。点検周期七日》

 討伐報酬も魔石も出ない。中央隊は核を持ち帰れなかった。

 代わりに空槽三つが使用不能、燃料は七日分、体育館食料三日、旧小学校四日、地域網十九日。モモはまだ小さい。ガンゼも休眠へ入った。

 岩田の捜索札は川下で沈黙したままだった。

 町は血獣を倒していない。壊れた檻を閉じ、七日ごとに直し続ける仕事を引き受けた。

 それが最初の血獣災害で得た、戦利品のない勝利だった。

 暫定再封鎖の表示が出ても、全班をすぐ試験場へ入れなかった。黒膜の収縮、排水圧、井戸粒子、動物の耳動を六時間観察し、再上昇がないことを確認する。中央隊は撤収せず橋南側で待機し、倉橋は核破壊命令の再照会を送った。町側は勝利の配給を増やさず、作業員へ消費分の補助食と二十四時間の休息を与える。亡くなった者の葬送と岩田の捜索も翌日の予定から消さない。封鎖は祝って終わる事件ではなく、七日後に再び点検する生活仕事になった。

 封鎖率九十六%は完全ではない。残る四%の経路を、次回点検まで音響札と水質検査で監視する。

(次話へ)

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