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時間逆行、年上彼女、君の運命を救うと決めた。  作者: 星野サダメ


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2 図書館での再会

後でルビを付けますが、登場人物の名前を少し書いておきます。

倉持大樹 クラモチタイジュ

白木楓 シラキカエデ

倉持美樹 クラモチミキ

 2 図書館での再会


 父が見ていた経済番組を一緒に見終えてから、自室に戻る。

 改めて自室を見回すと、目に入る全てが懐かしい物たちばかりだ。

 本棚に並べてあった漫画の一冊を手に取って眺める。

 この漫画は2025年になっても週刊誌での連載やアニメが続いている海賊たちの物語だ。

 処分をした記憶はないので、もしかしたら2025年の実家にまだあるのかもしれない。

 ペラペラとページをめくりながら漫画を眺めていると、この2000年、10歳の俺本来の記憶と言うのか、感情と言うのかそんな何とも言えない感覚が内に沸いてきた。

 どうやら今現在、10歳の俺の記憶もはっきりとわかるらしい。

 これは助かる……。

 どうやら夏休みの宿題はほとんどが終わっており、読書感想文だけが残っているようだ。

 今から投資のことを調べに図書館へ行くつもりだったので、簡単に読める手ごろな児童書も探そう。

 そうして10歳の俺の記憶を頼りに未使用のノートや筆記用具、読書感想文用の原稿用紙などを準備した。

 さて……、最後に心は35歳の俺が10歳児の服を着ることに抵抗はあるが、観念して着替えを終える……。


 自室を出て、両親に出掛けることを伝えて玄関から外へ出た。

 今は8月、残暑の厳しい季節だ。

 だが、あまり暑くはない?


 夏らしい暑さは感じるが、2025年の酷暑と比べたなら、明らかに気温が低い。

 こんなに違うのか……。

 地球温暖化問題は切実のようだ……。

 それから自転車に乗って約15分ほど走る。

 街の様子は、やはり懐かしく思うが25年たっても残っている建物なども多くあるようだ。

 そんな風景を眺めていると、すぐに図書館へ辿り着いたので自転車を止めて館内へ入る。

 館内は、クーラーがしっかり効いていた。

 やはりいくら気温が低いと言っても今は夏なので、このクーラーの涼しさがありがたい。


 さて……、経済関係の本を探す前に少し寄る場所がある。

 それはパソコンスペースだ。

 実家のリビングにもパソコンは置いてあるのだが、今の俺の投資に関する知識は子供でもわかるニュース程度だと申告しているので、あまりおかしな検索ワードを履歴に残したくなかった。

 ならば履歴を消去したらよいとも思うが、今度はなぜ消したのかを疑問に持たれるので、消去もあまり良い手ではない。

 そういうことなので、図書館のパソコンを使って、しっかり調べることにしたのだった。


 基本的に図書館に設置してあるパソコンは館内にある書籍の検索用なのだが、多少の制限はある物のインターネットも見ることができる。

 そういうわけで、早速この時代からネット取引を盛んに取り扱っている証券会社の情報を調べ始めた。


 結果、専門用語の解説やネット取引で必須知識と言えるチャートの見方、この時代の手数料などもおおよそがわかった。

 それらを持参したノートにまとめて書き込む。


 これだけに多少の時間を使ってしまったが、許容範囲だ。

 次に本命とも言える経済関係の書籍コーナーへ向かう。

 棚には難しい経済の専門書から胡散臭そうな自己啓発本のような本が並び、その中に株式投資に関する書籍をいくつか見つけることができた。

 まずは『ネコでもわかる株式投資入門』と言うタイトルの本を眺める。

 可愛らしいネコのイラストが合間に登場する入門書と言った感じだが、ネット取引を前提にした書き方がされているようでとてもわかりやすい。

 とは言え、これがネコに理解できるかは疑問だが、良い内容なのは間違いない。

 続いて本格的な投資に関する本をいくつか眺めて、わかりやすい物を選ぶ。


 父は俺がそれなりに勉強したなら、資金を出しても良いと言った。

 だが、父は大手商社に勤務するそれなりの職位に就いている人物なのだ。

 我が家は父の稼ぎだけで、十分な生活ができているし、母は専業主婦ができている。


 だからこそ、父は息子に甘いと言っても、それなりのプレゼンテーションをしなければ、勉強をしたとは認めないだろう。


 ネットにある情報をまとめただけでは絶対に納得しない。

 だからこそ、専門書をしっかり読んで、この時代の投資のことを理解し、それを父に示さなければならないのだ。


 読むことは後で出来るので、読書感想文のための児童書を探す。

 ありがたいことに特設コーナーが作られており、そこで『銀河鉄道の夜』を見つけた。

 これなら改めて読まなくても感想文が書けるほどに好きな物語だ。

 手早く終わらせるなら丁度良い。


 そうして『銀河鉄道の夜』を手に取ったところで、声を掛けられた。


「タイちゃん?」

 聞き覚えのある声……、でも記憶に残る声は、もう少し女性らしい声だったか……。

 振り返って返事をする。

「楓姉ちゃん? 」

 振り返ると、俺より少し背が高く、ツインテールに紙を結んだ美少女がそこにいた。

 大きな瞳、小さな口、鼻筋の通ったバランスの良い顔立ち、間違いなく将来は美女と呼ばれることになる少女だろう。


 彼女の名は、白木楓、俺より1つ年上なので今は小学5年生のはずだ。

 そして、俺の初恋の人でもある。

 気が付いた時には恋心を抱いていたが、なぜ彼女のことを想うようになったのかは、はっきりと覚えてはいない。

 おそらくただ幼馴染として、ずっと近くにいたから、優しくしてくれたから、そんな理由だったのだろう。

 だが、それはもう少し先、俺が中学生になってからの話で今は仲の良い近所の兄弟分と言った関係だ。


「うん、そうだよ。図書館で合うって珍しいね、タイちゃんも読書感想文なの?」

「これで書こうと思う」


 手にしている『銀河鉄道の夜』を見せる。

「あ、その本、うちにもある……、実は私も読書感想文まだなのだよね……。タイちゃんと同じにしようかな」

「なら、一緒に書く?」

「うーん、読書感想文は苦手だけど、さすがに5年生の私が4年生のタイちゃんと一緒に書くのはどうなんだろう?」

「苦手ならコツを教えるよ」

「コツかぁ。美樹姉から教えてもらったの?」

 美樹と言うのは、俺の姉の名で、楓姉は、姉になついているところがあった。


「うーん、違うけど、テレビで見たコツだよ」

 嘘はついていない……。

 未来のテレビでぼんやりとそんな話題を見た記憶があるのは事実だ……。


「そっか。それじゃ早速だし今から教えてもらう。うちへ行こう!」

「え、わかった。それじゃ行こう」


 株式投資の件は急いで入りうわけではない。

 この少しだけ強引な幼馴染は、案外気を使う人だと知っている。

 今の俺のおかしな状況に何かを感じたのかもしれない……。


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