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6日目、戦利品

戦闘シーンの表現が雑になっちゃいました、ごめんなさい!

あとで付けたしするかもです

まったく・・・・・一緒にまさか行動することになるとはな。

俺はチラリと後ろにいる中学生たちを見る。


一度は俺が見捨てようとしたメンバー。

さっき、科岡という生徒は「僕らを見捨てても文句は無い」と言った。

俺はそれにわずかながら驚いた。


彼らはまだ完全な親離れもできていない年齢なのだ。置いて行かれるのはすごく辛いだろう。だが俺がお前らを置いていくと言ったとき、誰一人として「連れて行け」と泣いたりわめいたりしなかった。もしそうするようなら、いつか足手まといになると判断し、置いて行ってただろう。

だが、それをしない彼らはきちんと覚悟のできている人間だった。

なぜか彼らなら大丈夫な気がしてしまった。


そう思ってしまった理由は、単なる気まぐれなのか、同情からなのか分からない。


まったく・・・・・・不思議なもんだ。


そんな思いが頭の中でぐるぐると回っている俺に、すぐ後ろを歩いている未来が少し距離を縮めて声をかけてきた。


「ねえ、たかしくん」


中学生に聞こえないような少し控えめのボリュームの声に、前方の警戒を見ながら返事をする。


「なんだ?」

「みんなもう3日もお風呂入ってないの。私も汗とかの匂いが気になってて・・・・・今日はどこかお風呂のある建物で寝泊まりしたいんだけど、どこかいい場所無いかな?」


ああ、そうか。

ゾンビとなり体の機能が停止した今の俺は、汗も皮膚の汚れも出ないために風呂に入るという行為は無意味だが、人間である未来や科岡たちからすれば身体を清潔にしたいというのは当然の欲求だろう。

戦闘などでかいた汗を吸収した服のまま何日も風呂に入らずにいたら、気持ち悪くなるのは当然だ。


俺たちはあの溝田橋交差点から306号線を北へと歩き出したばかりで、もうすぐ王子3丁目の交差点を斜め右に曲がろうとしているところだ。

俺は交差点のど真ん中で足を止めて、数秒後に導き出した答えを出す。


「2日目に通った王子駅覚えてるか?」

「うん」

「あの京浜東北線の停車駅から線路を北へ進めば湘南新宿ラインとか埼京線も含める、ほぼ全列車が止まる赤羽駅がある。そこならすぐ近くにホテルがいくつかあるが、そこでいいか?」

「うん」


中学生たちに今日泊まる場所を赤羽のホテルにするかを訊きに行き、その問いに全員の顔がパッと明るくなり、一斉に首を縦に振る。

それを見た先頭を歩く俺は斜め左方向の455線道路へと進路を変えて、再び歩き出す。

しかし、2分としないうちにまたも立ち止まる。

それは女子の中では一番背の高い––-俺よりは低いが–––水島飛鳥が突然声をあげ、俺たちが進む先にいるそれを指差したからだ。


「ねえ、あれ自衛隊じゃない?」


街中ではかなり異質な格好だと思える迷彩服を身にまとっている人物が1人、道路のど真ん中に突っ立っている。


確かに、あの服は陸上自衛隊のだろう。

しかし、それを着ているのは生きている自衛隊員ではない。

こうべは垂れ、目の焦点は合っておらず、まるでドラッグで頭がイカれた犯罪者のようにフラフラと歩いている。

その姿は間違いなく、獲物にんげんを求めて彷徨さまようゾンビだ。


そんな死者となった自衛隊員に用は無い。水島が声を上げた理由わけは、隊員が身に付けている装備だ。

まず一番目に留まるのが、89式小銃と呼ばれる口径5.56ミリの国産アサルトライフルだ。

1分間に650~850発もの小口径高速弾を発射可能な陸上自衛隊の主力小銃。

そのな貴重なモノをぶら下げているゾンビを放っておくわけが無い。



俺たちは装備を奪取だっしゅするため、すぐさま戦闘を開始した。


遠距離攻撃が可能な武器を持ち合わせていない俺たちに89式小銃の銃口を向けられてしまえば、ほぼ勝ち目はない。

しかし、今の自衛隊員には89式を撃つどころか構えることもできない、ただのゾンビ。

奇怪な咆哮を上げながら、俺たちへ一直線に襲い掛かってくる。

それを女子4人が鞄を使ってブロック。

そして香田と科岡が鉄パイプをフルスイングし、両足の関節を砕く。

ドシャッと後ろ向きに倒れたそいつの首に俺がナイフを深く刺す。


国民を守るために果敢かかんに戦ったであろう戦士は、まるで肩の荷を下ろすかのように静かに眠った。

彼がしっかり成仏できるよう俺以外の全員が武器をしまって、合掌する。


「んじゃ、始めるか」


そう言って俺たちは装備を片っ端から外しだした。


「おっ、こりゃいいな」


呟いた俺の手には30発入りの弾倉マガジン

彼の防弾チョッキにはそれが5つと、89式に装填中の弾倉には残弾10発の計160発。

さらにふくらはぎに装着したホルスターには陸自では9ミリ拳銃と呼んでいる、国内でライセンス生産された9ミリパラベラム弾を発射するSIG SAUER P220。予備の弾は無いものの、最大装填数の10発が入っていた。

予想以上の弾数だ。これだけでも収穫は大きい。

これだけ弾が残っているということは、そう離れていない地点から出動してきた可能性が高い。


「もしかしたらこの近くにある十条駐屯地の隊員かもしれないな」

「駐屯地・・・・?」


小学生と勘違いされそうな容姿の片瀬がロリっ子ボイスで呟くと、頭の上にクエッションマークを点滅させる。ほかのメンバーも同様に首をかしげている。

どうやら俺以外の全員が駐屯地の意味が分からないようだ。


「・・・・陸上自衛隊の基地は『基地』じゃなくて『駐屯地ちゅうとんち』って呼んでるんだ。覚えとけ」

「そうなんですか。で、その駐屯地はこの近くにあるんですか?」

「ああ、俺たちが今歩いている455線道路をもう少し先に進めば見えるはずだ。それより、戦利品をどう分配するんだ?」


科岡に意見を求めると、腕を組んで顎に手を当て、悩みだす。


「うーん、そうですね」

************



3分の間に装備をどう分けるか全員で話し合った結果――――、

89式小銃に取り付け可能な多用途銃剣を俺。

89式小銃を科岡。

半長靴とを香田。

9ミリ拳銃を未来。

防弾チョッキを水島。

携帯救急キットなどの小さな物を相沢。

88式鉄帽ヘルメットを全員の中で一番小柄で―――、まるで小学生のような片瀬胡桃。

と、それぞれに1つずつ分けることになった。

それが終了するとすぐさま移動を再開する。


「89式の撃ち方分かるか?」


歩きながら89式をジッと見つめる科岡に声をかけると、まさかという表情で俺を見る。


「そんなの分かるわけないですよ」

「そりゃそうだ。じゃあ1度だけしか説明しねえから、頭の中に叩きこんでおけよ」

「は、はい」


俺は「寄越せ」と言って科岡が差し出した89式をひったくるように取り、だるさをおさえながら説明しだす。


「どんな銃でも、弾を撃つにはまず安全装置を解除しなきゃならねえ。ここにっちぇえレバーがあるだろ」


そう言いながら、引き金の上にあるつまみを指差す。


「はい」

「これを『ア』って書いてある方向から、反時計回りに回せば『レ』、『3』、『タ』の順に切り替えられる。アはロック状態。レは連発フルオート。3はスリー・ショット・バーストっていう、1回引き金を引くと3発まで出る状態。タは単発セミオートを意味してる。OK?」

「はい」

「これであとは上に出っ張ってるリアサイトとフロントサイトっていう照準と敵が水平に並ぶように構えて撃つだけだ。それとフルオートで引き金を引き続けたら15秒もしないうちに弾倉がからになるから気をつけろ」

「わかりました」


そう返事しながら頷くと、小銃は再び俺の手から科岡へと戻る。


「新しい弾倉への装填リロードとかのやり方はあとで教える」

「はい」


俺は少し不安そうに答えた科岡を一瞥いちべつすると続いて、今度は未来に9ミリ拳銃の使い方を教え始めた。

*****************



「・・・・・ってところだ。とりあえず今必要な操作はこれだけだ。何か質問あるか?」


説明が終わり、銃を握る2人に尋ねると、横に並ぶ科岡が恐る恐る手を挙げる。


「どした」

「なんで九ヶ浜さんは銃の操作方法を知ってるんですか?まだ高校生ですよね?」

「・・・・別に、ゲームで覚えただけだ」

「ゲームで?」


また説明が長くなりそうで嫌になるが、質問タイムを設けたのは自分だ。なのに答えないというのは失礼極まりない。さっさと観念して口を開く。


「FPSってジャンルのゲームは知ってるか?」

「いえ、分からないです」

「・・・・まあ日本じゃ、大抵のやつらはRPGゲームくらいしかプレイしねえから知らないのも仕方ねえか」


RPGという言葉ワードに反応した残りの4人が会話に乱入しだす。


「あ、RPGゲームなら自分も周りの皆もやってます」

「私もやってるー!」

「俺もだ。モンスター狩りは楽しいよな」

「私は・・・・・やってないです」

「じゃあ、いつかあたしと一緒にやろうぜ、胡桃くるみ!」

「は、はい」

「いいや、俺のほうがお前より上手く教えられるぞ」

「なにをー!」


人が説明してるときに邪魔すんなよ・・・・・、とため息を出したくなるが抑える。


「・・・・で、それとは別のジャンル―――First-Person Shooter、略してFPS。プレイヤー視点で遊ぶ射撃ゲームとかを指してる。アメリカとかで人気なんだ」


「FPSってRPGと何が違うんですか?」


「MMORPGだと始めた時期とかどれだけやり込んだかでプレイヤーの強さが変わってくるだろ?」

「はい」

「だがFPSはRPGと違って、基本的にレベルやスキルが無く、プレイヤー本人の戦術的思考、行動――――要するに腕前が勝敗を分ける。だから、プレイ時期とかレベルとか関係なく遊べるのが特徴だ」


「で、話を戻すが、俺はFPSやRPG、レース系とかのゲームをやり込んでてな。俺がやっていたFPSゲームに自衛隊の89式小銃があって、それでプレイしているうちに操作を覚えたんだよ」


FPSゲームで上位ランカーにもなったことのある重度のゲーマーだった俺は、今じゃ89式のみならず、様々なメーカーの銃の操作方法や性能を何も見ないでスラスラいえるようになったのをこいつらに披露しても、どうせ廃人だなんだと言われるだろうから秘密にしておこう、と思っていると何故か科岡が感心したように呟く。


「なんか・・・・すごいですね」

「・・・・・・はあ?」


一瞬、予想していなかった言葉に間抜けな声を出してしまうが、手を振りながらすぐに否定する。


「別にすごくもねェだろ。ゲームがどんだけ上手くても現実リアルには何の影響も与えねえんだし」

「でもそのゲームをやっていたおかげで、こうして武器の扱い方が分かるんですから、それがなかったら誰が持っても『宝の持ち腐れ』でしたよ」

「・・・・・そうかねぇ」


なんかしっくりこない感じに、無意識にポリポリと頭をく。


そんなことを話しているうちに十条駐屯地に到着した。


しかし、十条駐屯地内は武器から食料、車両、隊員まで全てが消えていて、文字通りのもぬけのからだった。

残っていたのは、建物の外壁にあった『生存者は埼玉スタジアムへ!』という張り紙と、武器以外の予備装備だけだった。


「スタジアム内に何十万人って避難者がいるんだろうな。ここを放棄して、そいつ等の護衛に行ったワケだ」

「じゃあ、僕たちもスタジアムへ移動するべきですかね?」

「そこからヘリとかで安全区域へ移動できるのなら、それでもいいんだがな」


俺と科岡が話していると、別の場所から――――、


「あ、ねえねえ、たかしくん!」

「なんだ?」


俺を呼びながら手招きしている未来のほうへ寄ると、バッと目の前に突き出された黒い布と黒のサングラス。

恐らく隊員たちの空いていたロッカーから出したのだろう。


「・・・・・・なんだそれ?」

「これをつければ人目を気にしなくて済むんじゃないかな?」

「あー、そうか。このままじゃマズいか」


手足の露出は控えているが、俺のゾンビフェイスは丸出しだ。このままでは生存者に普通のゾンビと勘違いされて排除しようと攻撃してくるはずだ。それを避けるためには顔を隠す必要がある。


俺は未来からそれを受け取り、ネックウォーマーのようなモノを顔を覆うように被り、スポーツ用メガネの上からサングラスをかける。


つけたあとの俺の顔を見ると、未来は小さく笑った。


「・・・・・なんだよ」

「なんかたかしくん、悪い人みたい」

「これ付けろって言ったのお前だろ」

「ごめんね笑って、ゆるしてー」


そう言って両手を合わせて謝られれば、許さないわけにもいかない。というか、許さないわけがない。


「ったく、そろそろ行くぞ」

「はぁーい」


あきれた俺に間延びした返事をした未来はやはりニコニコと笑っている。

まあ、ずっと疲れた表情をしていた未来に笑顔が戻っただけ、良しとするか。


これから行く先にある『ホテル』という名の地獄のオアシスを目指し、俺たちは駐屯地を後にした。

14話を読んでくださり、ありがとうございます。

久しぶりに貴士たちが移動し、そして銃を手に入れました!クエストクリア!

銃にはあまり詳しくないので、もし間違っている点がございましたらごめんなさい!

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