第二十一話
一通り集めるとノニウスが閣下から渡された紙片を私から取り上げる。
「キケロ、あと、これ」
受けとったものをしばらく眺め、真ん中あたりから破って片方を渡される。
「それはそこの棚の中」
私の立っているそばの書棚を指さす。
「残りは、ノニウスじゃないと取れないからついてきて」
紙をひらひらさせながらキケロは歩き出す。
急な事態に動揺しているとノニウスが紙片をのぞき込む。
「取り出したらその辺にいてくれれば、拾いにくるから」
拾われるの?それまでに見つけないと。
ノニウスの私に対する扱いとそれまでに見つけないといけないという使命感で一気に余裕がなくなる。
「それ、一冊の題名だから」
ひらりと手を振って彼は歩き出す。
言い残されたセリフに改めて紙片を見ると明らかに長い文章のようなものが3行、書き記されている。
長いミミズが3匹。
しばらくそれを眺める。
何だか日が暮れそうな気がしてきた。
きっとあれだ。
最近はやりの長い題名で、略すると4文字くらいになるやつだ。
キケロに指定された書棚の前に仁王立ちする。
手元の文字、書棚に並ぶ文字、どちらも読めず、意味も分からない。
しかし、二人が戻ってくる前に見つけ出さないといけない。
なんだろうこれ、神経衰弱?かるた?百人一首?
似たような遊びが頭をよぎる。
違うな、私の初仕事。やり遂げるか否かで、私の価値も決まる。
やりましょう、これでも社会人20年弱。ここでは全くの素人。明らかに年下の彼らに少しは役に立つところをお見せしようではありませんか。
気合を入れて、一冊ずつ題名を確認する作業に没頭することにした。




