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『星屑の軌道 — 記憶を巡る夜行列車』  作者: 天ヶ瀬 彗燦
第二章:幻影を映す車窓と過去の影
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深まる絆と、どこまでも続く線路

ガタガタガタン、と車体が心地よく揺れた。


機関炉の『高純度記憶結晶』は完全に燃焼を終え、列車は再び安定した巡航速度へと乗った。


カタコト、カタコト、カタコト……。


外は相変わらず、色も音も奪われた静寂の荒野が広がっている。 けれど、この夜行列車『星屑の軌道』の居間の中には、揺るぎない温もりと光が満ちていた。


テーブルの上には、二人の定着した役割——料理を作るルカと、最高のお茶を淹れるヴィンセントの絆がある。 手帳の中には、失われゆく世界の「愛おしい記憶」と「現在の熱」が刻まれている。


「……さて、ルカ」


ヴィンセントが立ち上がり、居間の棚からあの秘蔵の茶葉の缶を取り出した。


「昼にはまだ早いが……最高の対比画を完成させた優秀な弟子に、約束通り特別なお茶を淹れてやろう。手伝いなさい」


「はいっ! お湯、すぐに沸かしますね!」


ルカは弾んだ声で返事をし、エプロンを締め直して厨房へと駆け寄った。


車内中に、香ばしい茶葉の甘い香りが広がり始める。 窓の外の闇を切り裂きながら、列車はどこまでも静かに、力強く走り続ける。


過去のすべての記憶をその肩に背負う、誇り高き不器用な師匠と、 未来の光をその手で描き出し、成長していく幼き弟子を乗せて。


世界の果てへと続く線路の先には、まだ二人しか知らない新しいページが、どこまでもどこまでも広がっていた。

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