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『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第2章 カタリナ、ついでに内乱鎮めとく  ~ イケメン海賊団編 ~

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第51話 細かいこと言ってんじゃないぞ!

ロウが目を丸くしたまま呟く。


「あのさ、カタリナ。あれ……なに?」


カタリナが軽く振り向いた後、最高のドヤ顔を披露する。


「あー、あれ。


 わ・た・し・の旗艦」


「……あれ、帝国製のオグリニウス級の弩級戦艦だよな?

 なんであれが旗艦なの?」


「ん?そりゃあ、私が超大物海賊だからでしょ」


「マジで??

 他の艦は?」


「あー、えー、まぁ、なんだ。他の艦?

 どうでもよくない?」


「どうでもよくない。今更隠し立てすんな!」


「あー。コルベット10隻」


カタリナが思いついたような顔をする。


「巡洋艦もある!」


「いや、それ俺がやった奴!

 お前らやっぱりコルベット海賊団じゃねーか!

 やっぱりなんで弩級戦艦持ってるんだよ!」


「そりゃー大物海賊……」


割り込むように通信が入る。

ミネだ。


「カタリナ様、お久しぶりです!」


「あ、ミネ!!弩級戦艦完成させたんだね!

 いいねいいね!カッコイイよ!」


「恐縮です。カタリナ様の好みは熟知しているつもりですので。

 さて、あなたがロウ様ですね?

 お初にお目にかかります。


 コルヴァ・ニャーニス家執事のミネ・シャルロットです。

 お見知りおきください」


「あぁ、これはこれはご丁寧にどうも」


ミネの雰囲気に引きずられるロウ。


「さて、カタリナ様。

 外見だけで驚いてはいけませんよ!


 ふふ、ふふふふふ!」


真面目な目つきのまま急に口元だけで笑うミネ。


(あぁ、こいつらの仲間だもんな、

 一瞬でもまともだと思っちゃ間違いかもしれん)


ロウはすぐに後悔する。


「おー!


 え?何?何?何!?

 ミネのその顔、絶対ヤバいの出すやつじゃん!!」


ミネは胸を張る。


「秘・密・兵・器です!!」


「お前の“秘密兵器”って絶対ロクなもんじゃねぇ!!」


ロウの必死な嘆きをミネは聞いていない。


艦の上部がゆっくりと開き、

巨大な砲塔がせり上がる。


通常のラージサイズレーザーをはるかに超える大きさの砲塔がせり上がる


「普通の海賊船が持つはずのない異様な存在感」


がそこにあった。


モニタごしにその威容を見て、カタリナの目が輝く。


「うおおおおおおお!!

 なにこれ!?かっけぇぇぇ!!」


「いやいやいや!!

 なんで海賊船にこんなもん積んでんだよ!!」


ミネが冷静に返す。


「弩級戦艦のサイズなら積めるからです」


「理由になってねぇ!!」


「待て待て待て待て!

 これって帝国宇宙軍の極秘兵器の一つの粒子ランスじゃねーかよ!」


「おや、ロウ様もお詳しいですね」


「っていうか、こいつは帝国軍でも一部の将官しか存在を知らん奴だぞ!」


カタリナのツッコミ。


「ん?ロウって将官だったの?」


「いやいや、俺は特別なだけだ」


ミネが不平そうに返す


「私達も特別なのです」


「あーもういい!」


ミネの顔がオタク顔に変貌する。


「粒子ランス。

 超高出力収束粒子ビームを発射する最新科学の重エネルギー兵器!

 エミッタアレイのサイズが大きいので、弩級戦艦くらいしか積み込めない。


 だーけーど!

 この子は弩級戦艦なのです!積むしかないでしょうが!!」


「おぉう!積むしかない!」


カタリナも目を輝かせる。


「粒子ランス、点火します!」


――ズオオオオオオオオッ!!


戦艦並みの太さのビームが数千キロ伸びる。

敢えて対賊艦隊の空白地点を撃ち抜く。


途中に存在した直径10kmの小惑星が巻き込まれて一瞬で蒸発・粉砕する。


それは、まるで騎槍のような形に最終的には収束した。


自艦のすぐそばをそのビームが通過した。

対賊艦隊の提督含め、幹部層がゆっくりと腰を抜かす。


「な……な……何だあれは」


カタリナですら目と口を大きく開いたまま、固まった。

少し間をおいて我に返る。


「ミネすげぇぇぇ!!

 これ私の船!?最高!!」


「ありがとうございます!!」


「いや褒めるな!!

 なんで海賊が国家抑止兵器級の武器を持ってんだよ!!」


「え?せっかく弩級戦艦手に入れたのですから積みますよね?」


「積む積む!」


ミネとカタリナのコンボにロウが全力でツッコむ


「理由が小学生!!」


カタリナが目を輝かせてアンコール!


「ミネ!もう一発!」


「無理です。リチャージに3日はかかります。

 実はもう通常航行もシールドも張れません。


 だからカタリナ様を護衛に呼んだのです」


「何だ、つまんない」


「いやいや、待て待て。

 つまらんとかの前にバカだろ!

 敵を前にして動けないとか考えなさすぎる」


ロウのツッコミに同じくツッコミたい気満々の顔でモカもため息をつく。


「でしょうね、普通はそうだ。

 今までなんか私だけがおかしいみたいな雰囲気してたけど。

 ロウがいてくれてよかった。

 敵の前で全出力放出するとかありえない」


「カタリナ様に一度お見せしたかったのです」


ミネが真面目な顔で理由を説明するが……、

モカの真面目なツッコミを受けて少しだけロウも安心する。


「ねぇ、ミネ。他には?」


「まだありますよ!」


「まだあるのかよ!」


ロウのツッコミを無視してミネは続ける。


「はい!!ついに……ついにお見せできます!!」


「おい、嫌な予感しかしねぇぞ……」


ミネが端末を叩くと、

ブリッジ中央にホログラム投影装置がせり上がる。


「なんと……!

 陽子AIです!!」


「はぁぁぁあああ!?

 なんで海賊船にそんなもん積んでんだよ!!」


「陽子AIって何!?すごいの!?」


ミネは待ってましたと言わんばかりに、

オタク特有の早口で説明を始めた。


「陽子AIとは!

 陽電子格子構造を基盤とした“物理脳”を持つ超高性能AIで、

 通常のAIの数百倍の並列処理能力、

 柔軟な意思決定、

 そして我儘といった人間の感情に近い反応を可能とする――

 帝国が極秘扱いする超危険技術です!!」


ロウが呆れ果てながらもツッコむ。


「危険って言ったよな今!!?」


「しかも!

 今回は初めて起動させます!!」


「初めて!?今!?この状況で!?」


「はい!

 今までは赤毛猫海賊団の団員たちの思考情報を元に

 自己学習させていました!」


ロウが頭を抱える。


「お前らの思考データ!?

 嫌な予感しかしねぇ!!」


「おぉ!すげえ!!

 どんな子ができるんだろ!!」


「いや絶対ロクなAIになってねぇだろ!!」


「では――起動します!!」


ホログラム装置が光り、

空中に光の粒が舞い上がる。


くるくるっと回転しながら、

少女のシルエットが形を成していく。

そして――


「リルちゃんでーす!!」


「かわいい!!」


「やっぱり可愛い系かよ!!

 絶対お前らの影響だろ!!」


「成功です……!

 これが赤毛猫海賊団専用陽子AI――

 リルちゃんです!!」


「よろしくね、カタリナ艦長!

 みんなの“わがまま”全部聞くよ!」


「聞くな!!

 その機能が一番危ないんだよ!!」


「リルちゃん最高!!

 ミネ天才!!」


「ありがとうございます!!」


リルちゃんのホログラムがくるっと回転し、

赤毛猫海賊団の制服姿に変わる。


「じゃあ、早速リルちゃんの凄いところ見せてあげるね!

 任せて!」


「おい待て、何する気だ……」


ミネがロウを安心させようとする。


「大丈夫です。リルちゃんはマスターAIですから」


「その“マスター”ってのが一番怖いんだよ!!」


リルが指をひらりと動かすと、

敵旗艦との通信回線が強制的に開かれた。

ホログラムの表情が一瞬で“軍人モード”に切り替わる。


『あー、こちら赤毛猫海賊団!対賊艦隊に告ぐ!

 次は当てる!降伏せよ!

 全乗組員はコルベットに乗り換えて本星系から離脱せよ!

 コルベット以外の巡洋戦艦ほか全艦は、

 赤毛猫海賊団によって拿捕されるか蒸発するかを選択せよ!』


ロウが頭を抱える。


「蒸発って言ったぞ今!!」


「かっけぇぇぇ!!」


リルがちょこちょこ指を動かす。

艦内モニタに表示される。


- 粒子ランス充填率:120%

- ロックオン:敵旗艦、他周辺艦船

- 命中率:93.69%ー99.9%

- 警告:“過充填です。危険です。”


「いやいやいや!!

 絶対撃てないだろこれ!!」


「撃てませんね。三日は無理です」


ロウとミネのやり取りを見てリルが通信をオフにしつつ会話に割り込む。


「リルちゃんはマスターAIなので、

 なんでも誤魔化せるんです!えっへん!」


敵対賊艦隊の提督が酷い顔色で通信に応じる。


「わ、わかった……!

 降伏する!

 コルベットに移動するまで猶予をくれ!!」


ロウが崩れ落ちる。


「えぇぇぇぇぇぇぇ!?

 ほんとに降伏した!!?」


敵艦隊の乗組員たちは、コルベットに分乗して本星系からジャンプして逃げていく。


敵影が消えてから再びリルが内部通信に切り替える。


「リルちゃんは巡洋戦艦と巡洋艦、駆逐艦、

 ぜーんぶゲットしました!

 ね、褒めて褒めて!」


「すげぇぇぇぇ!!」


「いやいやいやいや!!

 なんで戦わずに艦隊丸ごと奪ってんだよ!!」


ふと思い出したかのようにカタリナがロウに伝える。


「あー、私達コルベット海賊団じゃねーから!


 弩級戦艦の他に巡洋戦艦、巡洋艦、駆逐艦。

 立派な艦隊を持った大海賊だよ」


ロウは手で目を覆った。


「ちょうどさっき奪ったんだろうが!

 

 はいはい、もう何も驚かねーよ。

 だったら巡洋艦返せよ!」


「やだ」

挿絵(By みてみん)

…ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

執事のミネ・シャルロットです。


私の最高傑作である「エンジェルメッタメタ号」の初陣、いかがでしたでしょうか。

少々「やりすぎ」という声も聞こえてきそうですが、

技術者として、そして執事として、

主人の旗艦の門出にはこれくらいの「花火」が必要だと判断いたしました。


粒子ランスの「美学」はいかがでしょうか?

帝国宇宙軍の極秘兵器?ええ、確かにそう呼ばれている代物ですね。

ですが、弩級戦艦という巨大なキャンバスがあるのですから、

最強の筆(兵器)を載せるのは必然。

……リチャージに3日かかり、船が置物になるという小さな欠陥は、愛嬌でございます。

どうやって手に入れた?そりゃあ、お父さんの伝手をフル活用して……ごにょごにょ。


陽子AI「リルちゃん」は?

これもお父さんの伝手をフル活用して奪い取ったテクノロジーです。

いや、かなり危ない代物らしいのですが、学習元にカタリナ様が含まれてる時点で、

安心かと。きっとおバカに出来上がっ……ごほん。


さて、手に入れた巡洋戦艦に巡洋艦、駆逐艦……。これだけの艦隊を整備・維持するのは骨が折れますが、それこそが執事の悦び。リルちゃんとともに、完璧な「赤毛猫艦隊」へと作り替えてみせましょう。

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