306 婚約者候補決定
クリフトンとアーサーが退出していき、後にはエドワード王子とブライアンだけが残された。
「それにしても、王宮で情報収集だなんて…。犯人は王宮に出入りしている人物だとお考えなんですか?」
隣に座るブライアンに視線を向けられ、エドワード王子は軽く頷いた。
「王宮に出入りしない末端の貴族達にとっては誰が次の国王になろうと関係ないと思うんだ。だから国政に関わっている貴族の関与が濃厚かな、と」
「まあ、それは言えてますね。…ところで、エドアルド様の事はともかく、婚約者選びの方はどうされますか? 今日の交流会に参加された令嬢の中からどなたをお選びになりますか?」
ブライアンに尋ねられ、エドワード王子はギクリと身体を強張らせる。
「決めてないとは言わせませんよ。婚約者を決めるために交流会を開いたんですからね。それとも、また交流会を開くおつもりですか? その場合はまた、どこからか予算をやりくりしないといけなくなりますよ? 王族は国民の税金で生活をしている事をお忘れですか!?」
ブライアンに正論で詰め寄られ、エドワード王子はタジタジとなる。
確かにブライアンの言う通りだった。
国民から集めた税金によって王族の生活は成り立っている。
他国の王族の中には自分で商売をしたりして稼いでいる人もいるらしいが、このアルズベリー王国ではそんな事はしていない。
今日の交流会も出来るだけ予算は抑えたといっても、それなりに費用がかかっているのは明白だ。
だが、今ここで誰か一人に絞るのは少しばかり躊躇われた。
エドワード王子はしばらく考えた後、ブライアンに告げた。
「流石に今すぐには決められないが、三人候補を決めてその中から選ぶ事にする」
「わかりました。それで、その御三方のお名前を聞かせてください」
ブライアンが名前を書き留める準備をして、エドワード王子の答えを待った。
「アリシア・ベックリー侯爵令嬢、キャサリン・コーニッシュ侯爵令嬢、ダイアナ・フォックス侯爵令嬢の三人だ」
ブライアンはエドワード王子から語られた三人の名前を書き留めた。
「すべて侯爵令嬢の方ですね。何か理由でも?」
ブライアンに聞かれてエドワード王子は軽く肩をすくめた。
「特に意味はないさ。強いて言えば、同じ身分の方が令嬢達にとって他の候補者を貶めたりしないかなと思ってね」
エドワード王子の答えにブライアンは納得したように頷く。
「確かにそうですね。伯爵家の令嬢ではエドワード王子の婚約者候補の身分は負担が大きいでしょうからね。わかりました」
ブライアンはやおら立ち上がるとエドワード王子を見下ろした。
「それでは、この御三方の家に婚約者候補の通知を出します。それから、王宮でお一人ずつお話をされる場を設けますから、なるべく早く決めてくださいよ」
ブライアンがそうやって圧をかけてくるのは、自分の姉のミカエラの事を考えての事だろう。
「わかった。なるべく早く決めるよ」
エドアルドの事を優先して自分の婚約者選びを後回しにしようと考えていたエドワード王子だったが、そうは問屋が卸さなかったようだ。
エドワード王子は立ち上がると、自分の執務室へとブライアンを連れて戻るのだった。




