304 アーサーとの話し合い
「まずはそこに座ろうか」
エドワード王子が指差した先には、侍従達によって整えられたテーブルセットがあった。
エドワード王子とブライアンが並んで腰を下ろすと、その向かいにアーサーとクリフトンの二人が座った。
エドワード王子は改めて向かい側に座るアーサーの様子を窺う。
以前よりも痩せて見えるが、それが成長期だからか、心痛のせいなのかは測り知れない。
エドワード王子を直視せずにやや俯いているのも、今までのアーサーからは考えられない事だった。
「アーサー。君とエドアルドがパーティーを解消したという噂を聞いたんだけど、本当かい?」
エドワード王子がストレートに問いかけると、アーサーはピクリと肩を震わせた。
しばらく沈黙が続いた後、消え入りそうな声で「…本当です」とだけ答える。
噂は本当だったのかと考える一方で、一体二人に何があったのかが気になった。
「一体何があったんだ? あれだけ仲が良かった二人が冒険者を始めて早々にパーティーを解消するなんて…。ケンカでもしたのか? それならば、私達が間に入ってそれぞれの言い分を聞いてもいいんだよ」
エドワード王子がやんわりとアーサーに申し出たが、アーサーは俯いたまま、ゆっくりと首を横に振った。
「…そんなんじゃないんです…。…エドは誰かに命を狙われているみたいで…。『僕の側にいると危険だから』って、パーティーを解消してエルガー家を出ていってしまいました…」
「なんだって!」
「まさか!」
アーサーの告白はエドワード王子だけでなく、ブライアンとクリフトンにも衝撃を与えた。
椅子にゆったりと腰掛けていたエドワード王子は思わず身を乗り出した。
「エドアルドが命を狙われている!? 一体何故だ! エドアルドには王位継承権を与えていないと父上が公言した
はずだ! なのにどうして命を狙われなければならないんだ!」
アーサーを問い詰めたところで、答えを得られるはずもないのだが、それでもエドワード王子は問わずにはいられなかった。
「わかりません。エド自身もどうして命を狙われるのかわかっていないようでした」
少しだけ顔を上げて答えるアーサーの目は涙を堪えているため赤くなっている。
(エドアルドの事だから、誰も巻き込みたくないから、皆と距離を置く事にしたんだろう。私に何も言わずに行ったのも、私を巻き込まないために違いない。兄弟だというのに何の手助けもしてやれないなんて…)
エドワード王子は深いため息をついたが、すぐに「いや」と頭を振った。
(私は私で出来る事があるはずだ。私のために王位継承権を捨てたエドアルドを今度は私が助ける番だ!)
エドワード王子はそう決意を固めるのだった。




