243 引き渡し
冒険者ギルドに戻って生け捕りにしたスクワロル五匹を買い取ってもらう。
「五匹も生け捕りにされたのですか? 一匹でもなかなか捕まえられないというのに凄いですね」
受付の女性がカウンターに置かれたスクワロルを見て目を丸くしている。
どうやらなかなか捕まえられるような生き物ではないらしい。
確かに簡単に捕まえられるのならわざわざ冒険者ギルドに依頼なんて出さないよね。
「どのスクワロルも可愛い顔をしていますね。これならばすぐに飼い主も見つかりますよ」
受付の女性は気絶したままのスクワロルを一匹ずつ手提げの檻に入れて別の職員にどこかへ運ばせていた。
人間に飼われた方が幸せかもなんて考えは僕達人間のエゴかもしれないけれど、優しい飼い主が見つかればいいなと思う。
買い取ってもらった報酬はすべて僕が受け取った。
オーウェンとヴィンセントにせめて半分だけでも、と渡そうとしたが断られた。
「私とヴィーにお金は要りませんよ。勝手についてきただけですからね。いずれ私達がいなくなってウィルと二人だ
けになった時のために取っておきなさい」
オーウェンの言う通り、今はこうして僕の旅に付き合ってくれているけれど、いずれは僕とウィルだけの旅になる日が来る。
オーウェン達がいなくなった途端、飢え死にしたりする事がないようにしっかりと蓄えておかないとね。
こうやって放浪の旅もいいけれど、いずれはどこかに拠点を構えるべきだろうな。
ウィルにしたって成獣になれば番を見つけなければいけないだろうし…。
あれ?
ドラゴンって何歳で成獣になるんだろう?
種別によって成獣になるのには差があるだろうけど、ドラゴンの場合はどうなんだろう?
「どうしました? 何か悩み事ですか?」
考え込んでいる僕にオーウェンが問いかけてきた。
「あ、いえ。ドラゴンはどのくらいで成獣になるのかなと思って…」
オーウェンにとって予想外の答えだったらしく、ちょっと目を丸くされた。
「ドラゴンがどのくらいで成獣になるか、ですか? 特に聞いた事はありませんね。ウィルに聞いたところで『知ら
ない』と言うでしょうしね」
オーウェンが僕の横でドラゴンの姿で寝そべっているウィルに視線を這わせた。
ウィルは宿屋に戻るなり、ドラゴンの姿に戻るとすぐにソファに直行していた。
大して疲れているはずもないのだが、生まれて間もないから成長過程の途中で眠たいのかもしれない。
すやすやと寝息を立てているウィルはこうしてみるとやはり赤ちゃんドラゴンだと実感する。
人型になっている時は僕と背恰好が同じくらいだから、そんなに小さいとは思わないからね。
ウィルの寝顔を見ているうちにふと眠気が襲ってきたらしく、僕もいつの間にか寝息を立てていた。




