239 次の依頼
ベッドルームに戻るとウィルは昨日と同じようにクッションの上で既に寝息を立てていた。
寝ているウィルを起こさないように僕はそっとベッドに近づき布団に入る。
それにしても、僕を狙っている人物は一体誰なんだろうか?
考えを巡らせてみるけれど、僕にはさっぱり思い当たる人物がいない。
全ての貴族を知っているわけではないので当然といえば当然だろう。
全く!
どうして『王室に迎えない』という国王の言葉を素直に受け止められないのかな?
僕は軽くため息をつくと目を閉じた。
「エドアルド! お腹空いた!」
いきなり耳元で大きな声を出されて僕は飛び起きた。
するとウィルが僕の枕元にちょこんと座っている。
やれやれ。
育ち盛りのドラゴンを持つと苦労するな。
とはいえ、食事はすべてオーウェンに丸投げしているから大した苦労ではないんだけどね。
いつまでオーウェン達が僕に付き添ってくれるのかはわからないけれど、ウィルと二人(?)だけになったらちゃんと養っていけるんだろうか?
それはまた、おいおい考えるとして今はウィルの食欲を満たしてやる事が先決だな。
「わかったわかった。今起きるよ」
僕は布団から出ると手早く着替えてウィルと一緒にベッドルームを出た。
リビングではオーウェン達が既に朝食を食べているところだった。
「ああ、起きてきましたね。さあ、座って下さい」
僕はオーウェンに言われるまま向かいに腰を下ろした。
ウィルは座ると同時にお皿の上にあるお肉にかぶりついている。
お行儀もへったくれもないが、ドラゴンの姿ではそれも仕方がないだろう。
僕もカトラリーを手に取ると朝食を食べ始める。
「朝食を終えたらまた冒険者ギルドに行きましょう。ウィルは人間に姿を変えるのを忘れないで下さいね」
オーウェンに告げられ、ウィルはそっと顔を反らしている。
食事を終えて支度を整える間にウィルも人間の姿に変わった。
やはり昨日のドラゴン族の国王に顔が良く似ている。
僕の視線に気づいたウィルがちょっと小首をかしげた。
「何でもないよ。それじゃ行こうか」
オーウェン達の後に続いて宿屋を出て冒険者ギルドに向かう。
チラチラとオーウェン達に視線を向ける女性達の姿があちこちに見える。
だが、流石に声をかけてくるような強者はいないようだ。
冒険者ギルドに入って依頼書が貼ってあるボードに向かった。
「おや、珍しい依頼書がありますね」
オーウェンが一枚の依頼書を指差した。
どれどれ、と僕もその依頼書に目を通すとそこにはこう書かれていた。
『ワイルドスクワロルの生け捕り 何体でも可』
ワイルドスクワロルってなんだろう?
それに生け捕りって?
首をかしげている僕をよそにオーウェンはさっとその依頼書をはがした。
「たまにはこんな依頼もいいですね。それじゃ行きますよ」
そう言うなりオーウェン達は出口に向かって歩き出した。
僕とウィルは置いて行かれないように急いで二人の後を追った。




