11 出会い
どこに行こうかと、辺りを見回す。そこで私は周りのことを何も知らないことに気づいた。
これはあまりよろしくない。よし、真面目に探索しよう。
まず、私が今いる荒地。背の低い草ばかりが生えていて、所々に低木がぽつぽつと生えている。
おかげで身を隠すようなところはほぼない。
逆に言えば見通しがいいということで、周囲をよく見渡すことができた。
左には私が生まれた森、右には山が見える。
あ、あの山はやばそうな感じがすると、本能が訴えている。
あそこには金輪際近づかないようにしよう。
おや?私が出てきたのと同じような穴をまた見つけた。近くの茂みに身を隠し、身体を伏せて様子を窺う。
待つこと数分。やっと穴の住人が姿を現した。私の肩ぐらいの体高の獣がぞろぞろと5匹ほど出てくる。
ふさふさの毛にくりくりっとした可愛らしい瞳、とそれに不似合いな凶悪な鋭そうな爪をもっている。
迂闊に穴に入らなくてよかった。寄ってたかってあんな爪で引っ掻かれてはたまらない。
ダメもとで一匹くらいはと捕まえようとしたが、すぐに気づかれて穴の中に逃げ込まれてしまった。
やっぱここは狩りがしにくいな。しかも森の魔物より更に強そうな魔物があっちこっちにいたし。
諦めて私は森に帰ることにした。
※※
森へ戻ってきたものの、あのリスが忘れられない。是非もう一度食べたい。
未練がましくあのリスを狩る方法を考えていると、何かが上から落ちてきた。
ハッとして木の陰に隠れる。そっと様子を窺ってみると……鳥、それも南国にいそうな派手な鳥がいた。
鮮やかな緑の羽根を持っている。お腹と尾羽が鮮やかな赤なのがまた美しい。
それが暢気に地面をつついて何かを食べている。間抜けな奴だ。
しめしめと思って背後から忍び寄り、さっと取り押さえた。
スライムよりだいぶ美味しそうだなー。
私は鳥を食べようとくわっと口を開け……
「ちょ、ちょっと待ったあぁーー。」
突然叫び声が聞こえた。驚いて私はその鳥を凝視する。
「と、鳥が……魔物が喋った?!」
「うん?君も話せるのか。」
さっきまでだいぶ慌てていたが、言葉が通じるとわかって少し落ち着いたようだ。
しかし、喋れる魔物がいるなんて……。うーん、でも、背に腹は代えられない。ちょっと惜しいけど美味しく頂こう。そう結論を出して鳥にかじりつく。
「痛ッー。いきなりひどい奴だな。話ぐらい聞け。」
「暢気に地面を歩いてるのが悪い。」
「ちょっと気が抜けていただけだ。いつもはこんなへまはしない。」
何言ってるんだか。そのちょっとが命取りなのに。呆れた奴だなー。
依然として食べる気満々の私に、鳥はこう、楽しそうに話しかけてきた。
「交換条件だ」
食われかけてるのになんだか楽しそう。私はそこに不気味さを感じて少し押される。
それを敏感に感じ取った鳥は、ここぞとばかりに畳み掛けてくる。
「僕はこれでも長生きなんだよねー。だから、君が、これから、身を持って知っていく、多くの知恵を教える。これは君にとってもいいことだと思うよ。どうだい。」
一言一言強調し、言い聞かせるようにゆっくりと話してくる。
今までの立場が逆転した。まさか鳥に言いくるめられるとは。私は苦し紛れに
「じゃあ、例えば?」
と問いかけた。
「そうだなぁ。まずは魔物の性質、そして君の種族について話そう」




