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制服。

夏休みならぬ「夏季学習期間」の初日のこと。

「制服のズボンに穴が開いた。直して~。」

翔兵が部活から帰って来るなり、そう言った。

「どれ…。」

見るとお尻の部分に一箇所、穴が開いている。その部分の周辺は、生地が擦れて薄くなっていて、もう一箇所、まさに穴が開く寸前のものも発見。

制服って破れるものなんだ…。初めてのことにびっくり。しかし、こんなものを目立たないように直せるものなのか。

思えば使用頻度が中学生の時とは格段に違う。中学のときは不登校の期間があるので、夏服は一年生のときはほとんど着ず。二年生は一度も着ず。まともに着たのは三年生のときだけ。しかも部活で休日に登校することもなかった。

今の高校生活では、休まずに行っている。土曜日も補習や部活でほとんど登校している。部活に関しては運動部であっても往復は制服を着用しているので、かなりの使用頻度だ。


買い替えか、修理で済むのか?何にしてもまだ二年生半ば。まだ1.5シーズン使う。このズボンを持って制服店に相談に行った。

「夏服は生地が薄いし、この部分は、かなり擦れているので、もし修理してもすぐにまた破れると思いますよ。買い換えたほうが良いと思います。」

「では注文でお願いします。あと、納品までこれを使えるように応急処置をしたいので、教えてもらえますか?」

納品まで10日間ほど要するということだったので、応急処置の方法を教えてもらうことにした。幸い、穴が小さいのでなんとかもたせられるだろうということだった。


制服店の店員さんが言うには、夏の制服は生地が薄いので男の子の制服には珍しくないことだとか。特に自転車通学の場合はもっと傷みが激しい場合が多いらしい。


家に帰ってからさっそく、針と糸を手にした。そーっと穴が広がらないように生地の糸をすくうように、そして糸が目立たないように傷口をふさぐ。思ったよりもスムーズに作業ができた。仕上げは裏からアイロン式のつぎ当てで補強。

出来栄えはなかなかで、ちょっと生地が擦れているようにしか見えない。


「注文しておいたから、新しいのが届くまで、コレを着てね。」

「わかった!ありがとう!」

直した部分を見せると翔兵が笑顔を見せた。


制服が傷むほどに学校に通えていることへの感謝をした夏の日だった。

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