お留守番チーム。
部活だ補習だと登校する夏期講習期間も後半に差し掛かったところへ、夫が帰省してきた。フライトが思うように取れなかったのでこの日程となった。
夫が帰省前に「行きたい所を考えておいて。」と璃子に言ったところ、広島に行きたいというリクエストがあった。しかし帰省の期間中、翔兵は補習も部活も塾も模試ある。部活や塾なら休ませても良いが、補習や模試を休ませてまで連れていくわけにはいかないので、夫と璃子だけで行き、私は翔兵とともにお留守番チームになった。
「パパと璃子は?いないの?」
出発した日の夜になって翔兵が言い出した。
「広島に行ってるけど?」
「え?」
「璃子から聞いてない?」
知っているとばかり思っていたのでこれにはビックリした。
「二日間、いないって璃子が言ってたのは覚えてるけど、旅行だったの?」
誰も隠すわけでもなく、ずいぶん大っぴらに旅行の話をしていたのに知らなかったらしい。いや、気づいていなかったという言い方のほうが適切かもしれない。
翔兵はこのとき旅行のことを知って残念そうにしていたが、仕方あるまい。最初は「二年生のうちなら、補習を休んででも行きたかった。」とも言ったが、模試もある。進学校に入ったのだから、そうも言っていられない。かといって、休ませてまで旅行に行った末に「学校を休まされた。」などと言い出す可能性も否めない。何せあまのじゃくだから。私としても行きたい気持ちもあったが、もう家族旅行は当分おあずけだろうと思っていたので、逆にまだ家族旅行に行けれると思っている夫に驚いた。何せ、夫は自身が進学校の出身なので、今の翔兵の状態とかわらなかったはずだ。
実際、普段でも三人での外食すらままならないのが現状である。盆休みに入って、かなり久しぶりに三人で外食に行ったくらいだ。
「璃子たちさあ、おいしい物を食べているだろうね。いいなあ。」
この日は、塾の帰りにコンビニでおやつをねだられた。旅行に行けれなかった分、これで納得してくれるなら安いものである。
ちなみに私は今回の旅行に関しては「私がいずれ一人旅に行ってきてもいいって約束してくれるなら、お留守番チームでいいよ。」ということにした。まだ家族には話していないが、子供の手がもっと離れた頃に遠方に住む友人と、京都で落ち合おうと約束している。本当の一人旅も行ってみたいが、京都で落ち合うのが「やりたいことリスト」のかなり上位にランキングされているのだ。
タダでお留守番チームになんか、なりませんとも。




