皆勤賞。
「俺はテストが終わるまで、絶対に病院に行かない!」
翔兵の学年末テストが始まった頃に、学年末テストを終えたばかりの、妹の璃子がインフルエンザにかかった。翔兵はなんとなく不調を感じつつもそう言った。高熱が出たら、無理やりにでも病院に連れていくつもりでいたが、発熱もなく過ぎ、感染らずに済んだようだ。
こうしてテスト期間が終わり、進級に関しては何も心配することなく修了式を迎えることができた。中3の時とは少し違うヒヤヒヤの一年間だったが、ずいぶんと成長したことを実感した一年間でもあった。
「もらった。」
その夜、通知表と一緒に一枚の賞状を渡された。皆勤賞である。なかなかの好戦と言える通知表の内容にホッとしたが、これにも驚いた。
「やったね!目標達成じゃないの!」
「おう。」
照れ臭そうに返事をする翔兵。一年生の間だけでも休まないようにする、という目標を立てて、本当に休まなかったのだから、皆勤には違いないのだが、本当に達成したことに感動した。
不登校になる以前でも、風邪などで欠席することはあったので、皆勤賞は幼稚園の年中以来のことだった。
良かった。立ち上がれたんだね。頑張れたね。
また受験を終えた時みたいに涙がにじみそうになった。
翔兵や私たち家族を常に気にかけてくれる身内や友人がいたから、こんな日が迎えられたことに感謝である。
不登校のことも冗談めかして話題にできるようになり、本人も学校の友達に「俺さぁ、中学校ほとんど行ってなかったんだ~。」と話せるようになっている。
長い道のりの間のほんの数年間のことだったと、笑って話せる時間が続きますようにと、心からエールを送った春の夜。
二年生はどんな一年間になるかな。楽しく過ごしてね。




