EPISODE5-22【伝説の神話】
部屋全体が静かな光に包まれ、誰もが息を潜めてツヴェルフの言葉を待つ——。ツヴェルフは背筋を正し、凛とした声で語り始める。
「さてと——それでは二つの世界、クリプトンとクラリトンの伝説の神話を、今ここに明らかにしましょう」
一同は一斉に身を乗り出す。これまで断片的にしか語られることのなかった、全ての始まりの物語が、いよいよ紡がれる時が来た。キクリは柔らかく頷き、ツヴェルフの隣に立つ。
「長い間、隠され続けてきた真実よ。でも今、17の歯車が揃ったから——話す準備ができたの」ツヴェルフは静かに語り始める。
「そもそも最初は一つの世界だったのです。光も闇も、クリプトンもクラリトンも、全部が同じ大地に根を張り、同じ空の下で生きていました。誰もが誰かと繋がり、分かち合い、過ちを犯しても許し合う——そんな世界でした。」クロノレイトは瞳を細め、その光景を思い描くように囁く。
「一つの世界… 今は遠く離れているけれど、元は同じ場所から始まったんだな」
「はい」ツヴェルフは続ける。
「だがある時、大きな過ちが起きました。
力を持った者たちが、『秩序』と『自由』を対立させ、互いに譲らなくなったのです。そして争いはついに——世界そのものを二つに引き裂いてしまいました。」
アザミは拳を握り締める。
「分断が始まった瞬間か… それが今も続いているわけだ」
「ええ。一方はクリプトン——力と絆、生きる営みを中心に育った世界。もう一方はクラリトン——知識と技術、秩序と調和を求めて発展した世界。同じ源から生まれながら、互いの姿を忘れ、遠く離れて存在するようになりました。」星玲奈は蒼銀の瞳を輝かせる。
「だから交流しようとするたびに、衝突してしまったのね。本来は同じなのに、形が違うだけで…」ツヴェルフは真っ直ぐに告げる。
「そしてこの二つの世界を再び繋げるために創られたのが——歯車たちであり、正規品たちだったのです。
分かれた道を一つに戻すため、それぞれの世界の想いを背負って生まれてきた。だが長い時の中で、その意味も忘れ去られ、歯車はただの力の象徴となり、争いの道具にされるようになってしまいました。」キクリが静かに言葉を継ぐ。
「それが今までの歴史。奪い、支配し、壊すことでしか前に進めないと思っていた時代。でも——あなたたちは違った。戦うことではなく、手を繋ぐことを選んでくれた。それこそが、神話が願っていた本当の姿なのよ」ツヴェルフは全員を見回し、力強く締めくくる。
「二つの世界はもう、引き裂かれたままではない。あなたたちが紡いだ絆が、その亀裂を埋めてくれたのです。さあ——真の再会の時は近づいています。」こうして——神話の真実が明かされる! 二つの世界は元々一つだった! 分断の歴史と、今それを繋ぐ君たちの絆! 物語、いよいよ終章へ——!クロノレイトは赤みがかった黄金の瞳を輝かせ、確かめるように力強く言う。
「ってことは——クリプトンが幾つものレイヤーで構成されてるのも、その繋がりの名残りみたいなものなのか!」
ツヴェルフは嬉しそうに頷き、真っ直ぐ応える。
「まさにその通りです! 鋭いですね!」
一同が息を飲む中、ツヴェルフは続ける。
「元は一つだった世界が引き裂かれたとき、完全に分かれることはなかったんです。
幾重にも重なり、互いに重なり、行き来できる層——レイヤーとして、その名残が今も残っている。
だからクリプトンには、悪魔界も、夢幻の層も、その他多くの世界が内包されている。
全部が全部、元の一つの世界の一部だったものたちなのです」
星玲奈は蒼銀の瞳を震わせる。
「離れているように見えて、実はどれも同じ根っこで繋がっている… だからレイヤーを行き来できるし、どこかで響き合っているのね」
アザミは深く頷く。
「俺が感じた闇も、悪魔界の気配も、全部切り離せない一部だったということか。否定するんじゃなく、受け入れて繋ぐことが本当の道なんだな」
クロノレイトは胸を張り、はっきりと告げる。
「なら俺たちのやることは変わらない。どのレイヤーも、どの世界も、全部を繋いで一つにする! 分かれたままじゃなく、みんなが笑って過ごせる場所を作るんだ!」キクリが優しく笑みを浮かべる。
「そうよ。レイヤーが幾つもあるのは、複雑で壊れやすいからじゃない。それだけ多くの可能性と、多くの絆が宿っている証拠なの」こうして——レイヤーの真の意味が明らかに! 幾重もの層は分断の痕跡であり、同時に繋がりの可能性! 物語、全てを一つにする決意を新たに——!キクリはクロノレイトの手にあるメモリーに視線を落とし、穏やかながら確かな口調で告げる。
「そのメモリーはどうやらクリプトン由来のようだね。クラリトンをクリプトンのレイヤーの一つとして安定させるなら——クラリトン由来のメモリーも同じように必要になるわ」
クロノレイトはメモリーを握りしめ、瞳を鋭くする。
「片方だけじゃダメなのか… どちらかを吸収するんじゃなく、対等に重ねるためには、両方の礎が必要なんだな」
ツヴェルフは頷いて補足する。
「はい。クリプトンのメモリーが『受け入れる器』なら、クラリトンのメモリーは『調和させる鍵』。どちらが欠けても、レイヤーは不安定になり、いずれまた分かれてしまいます」
星玲奈は蒼銀の瞳を輝かせる。
「つまり、私たちはもう一つのメモリーを探しに行かなきゃならないってことね… クラリトンの本拠地——バビロン、それともグラナート?」アザミは前を見据え、決意を込める。
「どちらにしても、向かう先は決まってる。俺たちは二つの世界を一つにする。そのために必要なものを、手に入れるだけだ」キクリは真っ直ぐに全員を見つめ、告げる。
「その通り。クラリトンのメモリーは、その世界の人々の想いそのもの。奪うんじゃなく、分けてもらう心構えで向かいなさい。対等な絆だからこそ、重ねられるのだから」クロノレイトはメモリーを胸に抱き、力強く宣言する。
「わかった。俺たちはクラリトンへ行く。そして、その想いを受け止め、二つを繋ぐ!」こうして——クラリトンのメモリーが鍵となる! 次なる旅はグラナートへ! 物語、最終章へとさらに進む——クロノレイトは眉を寄せ、慎重な面持ちで言葉を紡ぐ。
「グラナートか… 衆生解放戦線の本拠点だよな。あいつらがすんなり渡すとは思えないんだよな。なんせ、人間と与する亜人の皆殺しまで企んでる連中だからな」
アザミも深く頷き、状況を見据える。
「そうだ。そもそもどんな種族が、どんな思想で動いているのか——まだ全貌が見えていない。だが一つだけ確かなのは… おそらく彼らはクリプトン側の出自でありながら、クラリトンとも深く繋がっているってことだ」
ツヴェルフは真剣な面持ちで言葉を補う。
「その通りです。だからこそ彼らは二つの世界の狭間に立ち、一方を拒絶し、もう一方にも染まりきれない——その葛藤が、今の過激な姿になっているのかもしれません」星玲奈は蒼銀の瞳を引き締める。
「敵対する相手だけど、単純な悪とは言い切れないのね。分断された世界で、自分たちの居場所を探し続けてきたのかもしれない」キクリは静かに告げる。
「だからこそ、力で奪いに行くのではなく、話を聞くことを諦めないで。彼らの怒りや悲しみにも、理由があるはずだから」クロノレイトはメモリーを強く握りしめ、前を見据える。
「わかってる。簡単じゃない。だが俺たちは行く。刃を向けられても、それでも想いを届けるんだ。奪うんじゃない、分かり合うために——グラナートへ!」こうして——グラナートの真の位置が明らかに! 両世界に通じるその地で、衆生解放戦線との対話が始まる! 物語、新たな試練へ——!クロノレイトは赤みがかった黄金の瞳を鋭く輝かせ、はっきりと告げる。
「確かこの施設には——衆生解放戦線のデータが全て残ってるんだろう? それ、全部手に入れたほうがいい。向こうの思想、構成、そして何より——彼らが何を求め、何に傷ついているのか、その本当の姿を知るために」ツヴェルフは即座に頷き、端末を調べ始める。
「ええ。この施設の記憶装置には、創設から今日までの記録が暗号化されて保管されています。解読すれば、彼らの歩んできた道が全て見えてくるはずです」星玲奈は蒼銀の瞳を引き締める。
「ただ戦うだけじゃなく、相手を知る… それが本当の対話の第一歩ね。どうして皆殺しなんて考えるようになったのか、その根源を探らなきゃ」
アザミは拳を握りしめ、真剣に言う。
「俺もそう思う。憎む前に、理解する。それが俺たちの選んだ道だ。データが教えてくれる真実があるはずだ」キクリは静かに告げる。
「そうね。記録は嘘をつかない。彼らが何を失い、何を願っているのか——全てがそこに記されているわ」
クロノレイトはメモリーを胸に、力強く宣言する。
「さあ、回収するぞ! 俺たちは戦いに行くんじゃない。分かり合いに行くんだ! そのための一歩を、今ここで踏み出す!」こうして——衆生解放戦線の全記録を入手! 相手の真実を知り、対話の糸口を掴め! 物語、グラナートへ向けて準備完了——!




