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8.初めての狩り

 翌朝は姉さんの胸に顔を埋めて目覚めた。朝食が遅くなったのは大人の諸事情による。


「じゃあ、オルタ姉さん言ってくるよ」


「気を付けて行っておいで。野鳥でも捕ってきたら今晩もサービスしてあげるよ♪」


 姉さんの檄を受けて僕は……いや、俺は狩りに出かける。まずは試し打ちをして作ったばかりの弓、そして何の工夫も無い鉛筆のような矢でどれくらいの事が出来るのか確認しなくては始まらない。


 開拓地の脇で、適当な的を置いて試し打ちだ。第1射……足元に矢が落ちた。あれ? 結構難しい。知識の泉カモーン。えーと前世の記憶では観光地で洋弓で遊んだりしたけど、結構簡単に打てたよな?


 和弓はテレビで見たり漫画で読んだりしただけだ。今回作った弓は和弓に近い。エルフンボウモドキだ。本当は複数の木を使って弓を作るんだけどそこまで都合良く弓に適した木を発見出来ていない。


 ああ、そっかそっか。矢の方に縦筋が要るんだ。弦を嵌めるところだ。ちょっと加工して、ムムム。中心じゃないと不味いよな? 結構難しいかも。


 よしこんなものか。では第2射。おお、飛んだ。けどまだ威力、命中精度共に足りない。弓はもっと上半身全体で引いて、狙いは落ちるのを計算して第3射。よし!


 この後練習を重ねて、直径20cmの範囲くらいには矢を射る事が出来たけど、これもエルフの特性ゆえだと思う。だって矢を射る度にどんどん体が馴染んで行くのが分かるんだ。


 もう少し練習すればこの半分くらいの命中精度になると思う。でも練習用の矢が壊れちゃったからここまでだ。いざ出陣!


 今日は森に入ってから北上してみようと思う。この近在は結構獲物が濃いんだけど、北の方には飛べない鳥ドゥードゥーがいるらしい。体長は40cmほどでやや大きめだ。これなら俺の弓の腕でも当たる可能性が高い。


 ……えーと、どうやって獲物を見つければいいんだろう? さっきからずーっと森の中をウロウロしているんだ。木の上に小鳥程度は見かけるけど獲物としては小さ過ぎる。


 待ち伏せかな? ガサガサ音を立てながら歩くのがいけない気がする。でも都合良くこの辺に来るかな? 気配を消して獲物の痕跡を見つけるそして追跡する。


 知識の泉さんはそう言ってるけど、そんなことやったこと無いしどうやるんだって言う話。徐々には音を出さないようにはなってきてるけど、今日中に出来るかな~。


 ちょいちょいルカとマカは採取しているし、ヤク茸も見つけた。それも2つ。ちょっと嬉しいけど今日の目的は野鳥なんだよ。


 あんまりうろ付くのも怖いから遠くには行って無いんだけど、この辺アタックボアが出るんだよね。こいつはこの辺では最強のブラウンベアにも突っかかるくらい攻撃的。


 縄張りに入って来た者は容赦なく攻撃する。時にはブラウンベアさえも斃すって言うから怖いことこの上なし。


 あ、マカみっけ。俺がマカを採取していると、後ろでガサッてな音がする。恐る恐る振り返るとドゥードゥーだ!


 こっちに気付いてるのに逃げない? 眼中にないってか! 素早く弓を構える。矢は2本抜き出し1本をつがえ、もう1本を引き手に持ったまま第2射が素早く射れるようにする。


 地面をつついてるドゥードゥーに狙いを付けて、十分矢を引き絞る。発射、続けて第2射。命中したかどうかなんて確かめずに第2射まで発射して第3射を構えてから確認する。


 2本ともドゥードゥーの体を貫いていた。弓を降ろしてドゥードゥーを拾い上げる。ナイフで首を切りつけて血抜きはしておこう。


ダバダバと流れ出る血が気持ち悪い。ドゥードゥーの首を切りつけた感触も気持ち悪かった。グロ耐性は付いてなかったみたい。


 こうして初の狩りを成功させる。ラッキーだったのもあるけどこれってエルフ特性だよね? いきなり獲物取れるなんて普通は無いって。


 やった。じわじわと実感が湧いてきて嬉しさがこみ上げてくる。やった! 俺やったよ。思わず小さくガッツポーズ。これで肉が食える。久しぶりだよ。


 でもこれ捌くんだよな~。羽を毟るのもきついんだけど。でもやるしか食うすべがないんだよね。壺抜きだっけ? 出来るかなどうか。姉さんに教えて貰おう。


 血が出なくなったところで、獲物を腰に吊るして狩り再開だ。まだまだ取る気満々です。獲物さえ見つけられれば狩れる事が分かったからね。


 もうちょっと奥に入ってみようかな。たぶんなんだけどもう少し奥じゃなきゃ獲物が居ないんじゃないかと思ってるんだ。


 まだ人間の活動範囲で獣とかがあまり近づいて来ないんだと思う。なのでもう少しだけ奥に入ってみる事にする。


 なるほど。やっぱり藪が深くなって、移動が制限される。人間の手が入ってたんだな。この辺からが本当の森なのかもしれない。


 鳥の声が聞こえる。いた! カラカラだ。真っ黒な鳥でカラスみたいだ。でも食べられるらしい。枝の上にとまっている。出来る限り静かに接近して、弓を構え発射、第2射を構えたところで確認した。


 翼に当たったようでそのまま落ちて来た。仕留めていない。地面でバタバタと暴れている。接近してナイフで止めを刺した。


 血抜きをしてまた腰に吊るす。幸先がいい。これで2つ目の獲物だ。もう一匹取れたら戻ってもいいかもしれない。カラカラは村長に報酬として渡そう。


 調子に乗っていたのかもしれない。後ろでまたガサッと音がした。またドゥードゥーかと思って素早く振りかえると違ったよ。

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