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26.荷馬車にて

 翌朝はややゆっくりした目覚めだった。当然昨夜の練習のせいだが、俺は認識したよ。10人を超えた当りでこれかと思うものを感じたんだ。


 なるほど、雌の方がスペルユーザーが多いのも頷ける。オスは終わると賢者モードになるからな。続けて行うには無理がある。しかーし、俺はまだ若かった!


 15人ほどの所で死を予感し、20人を超えると既に抜け殻状態だった。でもお陰で一晩で魔力を認識できた。怪我の功名だろう。


「ああ、シン! 起きたのか? 昨夜は随分頑張ったじゃないか。はは、私もあそこまでは久しぶりだったぞ」


 なぜか色艶の良い『女神の園』のメンバーに囲まれて目覚めた。こいつら実は淫魔なんじゃないだろうな! 肉食系女子にも程があるだろう!


 俺が若くなかったら腹上死してたかもしれん。いや……下だったな。


「それはそうとシン。さっさとご飯を食べてしまいなさい。第3拠点村に出発するぞ。そうそう、それと魔力を感じる様になったんだから手放すんじゃないぞ。もう一度感じる様にするのは大変だろう?」


 えぇ~~。ヤバイ! あれをもう一度とか今度は死んじゃうかもしれない。魔力を常に感じる様にしてよう。練る練る練るね~魔力を練り続けるね~。


 塩味の朝食をさっさと済ませて、出発しよう。


 今回『女神の園』選抜の討伐隊は隊長にクランマスターのシルエラを筆頭としたスペルユーザーのミーシャとシャーラ、前衛に狼獣人のカウル、龍人族のリュカ、スカウトとして狐獣人のキャララ、それにお荷物の俺だ。


 これでも過剰戦力らしいぞ。クランの幹部級が揃い踏みらしい。まだ魔人族とか天人族、それに人間の幹部もいるが今回は留守番だ。


 一応バックアップ―何かあった時は駆けつけられるように待機しているらしいけど、まずあり得ない戦力らしい。


 それぞれが2流の装備に身を包んでクランハウスの前に集合している。


 そうなんだよ。この街では有力なクランだとは言え、この街自体が2流とか3流の辺境の町なんだからそこに居る冒険者も推して知るべし。


 冒険者全体から見たら、クランの幹部級と言えど2流の冒険者んんだ。つまり他のメンバー達に至っては3流以下ってことだ。


 俺と同じ駆け出しの冒険者まで所属している。でもまあ、2流とは言えこの街では数少ないベテランなんだ。


 くっくっく。そうそうシルエラは子守賢者カーヤの何番目かの弟子らしいぞ。子守賢者って! 笑っちゃいけないけど、ほんとうに賢者なのかよって感じだな。


 第3拠点村までは歩いて行くのかと思ったら一応馬車で行くらしい。荷馬車だけどな! 馭者はカウルがするらしい。龍人のリュカは寡黙なご仁らしくほとんど話さない。


 夜の方は激しいけどな! 龍人族の特徴はその側頭部に後ろに向かって角が生えていることだろう。うん。日本昔話とかに出てくる龍にあるような角を短くした感じかな。


 獣人はその獣の特徴を耳としっぽとして出ているだけで外見的にはそんなに違いは無い。狐の方が耳が大きくてしっぽもふさふさしている感じか?


 キャララはそのまま狐色。特に白とか黒とかじゃない。普通に薄茶色と白だ。耳の内側としっぽの先端が白くて頭全体は薄茶色だ。まあ、こいつは良く喋る。


「それで、シンちゃん。もう回復した? 何なら時間も余ってるしやっとく?」


「いや、やらん。ミーシャ、さわさわ触るのをやめて貰っても良いか?」


「え? なぜ? 気持ち良いでしょ? まあ! 朝だものね。しょうがないわ」


 違う! だから触るのをやめろと言ってるんだ。電車が揺れても……げふんげふん。それは前世の話だ。不味いな。このままだと始まってしまいそうだ。何か話題は無いだろうか……。


「ポ、ポイズングリズリーと言う魔物はそんなに強いのか? 俺も近接遭遇したと思うんだが、凄いプレッシャーだったぞ」


「……シン。魔物と遭遇するのは初めてだろう?」


「あ、ああ。初めてだな。獣しか会ったことが無いな」


「なら仕方ないじゃんよ。下級の魔獣でも凄いプレッシャーに感じるじゃん?」


「そうだな。実はポイズングリズリーってのはそれ程強くない。毒と若干パワーがある程度の熊だ」


「……」


「え~とね。こんな浅い所で出る魔物なんて高が知れてるのよ。私達からしたら獣と変わらないわ。でも一般人からしたら大層な脅威なのよ」


「一応一般人ではないつもりなんだが、結構怖かったぞ? 実物を確認したくないくらいの脅威だった」


「えーとだな。俺達のレベルはそれなりに上がってるんだぞって、そうか洗礼がまだだからレベルとか見れていないのか! 多分今のシンはレベル1だぞ」


「そうね。一般人とかわらないと思うわ。レベルと言うのは戦ったり訓練したりしてるとゆっくり上がるのよ。そうするとちょっとずつだけど力が強くなったり早くなったり、なぜか相手の攻撃が効かなかったりするの」


「そうだな~。レベルも5を超えた当りで一般人卒業ってところだ。レベル10くらいまでだと駆けだしだぞ。レベル20くらいまでが見習いで、レベル30になってやっと下級冒険者の仲間入りくらいだぞ」


「そうじゃんそうじゃん。そんでレベルって魔物と戦って勝つと上がり易いじゃん。それ以外だとちょっとずつじゃん。一般人だと一生かかってもレベル5くらいまでしか上がらないじゃん」

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