25.依頼
村の依頼を受注してきたカウルが帰って来た。ポイズングリズリーの討伐依頼のことだ。これはチャンスか? 気になっていた村のことだ。どうにか同行とかできないだろうか?
「あら、受注できたのね。じゃあ、私も参加するわ」
「俺も参加でオーケーだ。シルエラはどうする?」
「ああ、私も参加しよう。シンと関わりがあるんだったな?」
「俺が最初に世話になった村だ。俺も参加したいんだが……」
「うーん。ダメだぞ? この依頼は『女神の園』が受注したんだ。クラン員以外の参加は認められない」
やっぱりそう来るよな。何も討伐まで参加する気はサラサラない。俺の手に負えるような相手じゃない事は分かり切ってるんだからな。
一緒に行きたいだけだ。そうすれば安全に連れて行ってくれるんだろうと言う目論見だ。そうするとお泊りは受け入れるしかないか……。
このままズルズルと保護され続けることだけ注意しておけばいいだろう。今日は我慢だ。
「いや、依頼を一緒にやりたい訳じゃないんだ。世話になった村が気になるだけだ。同行と言っても村まで連れて行ってくれれば、特に討伐の邪魔はしない」
何やらシルエラが考え込んでいるが、最終的に許可が下りた。明日の出発だから今日はこのまま泊って行きなさいとのお言葉と一緒にだ。想定内だがやはりお泊りは確定らしい。
「仕方ないな。無理を言って連れて行って貰うんだ。今日はお世話になる。よろしくお願いします」
「おう、お願いされたぞ。ふふ。じゃあ、早速これも食べろ! 育ち盛りには必要な栄養分が入っている食材だぞ。ちょっと苦いけどな。アーン」
暫く食事を楽し……楽しめるほど美味しくないけど、あれは体に良いとか、これは結構いけるだの何やかやと理由を付けて食べさせようとする。
俺の背後から、カウルが腕を回して、しな垂れ掛ってきている。両肩に乗った胸部装甲が以外と重い。
「じゃあ、シン。あたしがカウルだぞ。明日は気を付けるんだぞ。ポイズングリズリーにちょっかい掛けようなって思っちゃダメだぞ!」
同行が決まったので軽く自己紹介をして来る。さらに周辺にも声を掛けているようだ。今回のポイズングリズリー討伐依頼の参加者を集める気だ。
「ねぇ! 他に参加する人~? 今回はスペルユーザーが3人も居るから余裕あるよ~。前衛こなせる人かスカウト居ないかな~」
人集めはカウルに任せておけばいい。それより魔法について聞いておきたい。今の俺は魔法を使えないからな。でもきっとエルフだから得意な筈なんだ。
「なあ、魔法ってどうやって使うんだ? まだ洗礼を受けていないから何が得意か分からないんだが、洗礼を受ける前に一応知っておきたいんだ」
「ほう。勉強熱心じゃないか、シン。良いだろう基本的な事は説明してやろう。まず、元素魔法は地、水、火、風がある。それに聖と無の六種類だ」
「ふふ。エルフですと大抵、元素魔法の素養は持っています。聖魔法は持っている人は少ないですね。無魔法に関してはさらに少ないです」
「聖魔法ってのは、信仰心が高くないといけないと言われているぞ。無魔法はなにが必要かすら分かっていないんだぞ」
シルエラの説明にミーシャとシャーラが被せて説明をして来る。やはりこの3人がスペルユーザーか。
「冒険者の中でもスペルユーザーは優遇されるぞ。数が少ないからな!」
掻い摘んで今、聞いた魔王の基本をまとめると魔法は6種類あり、スペルユーザーは貴重と言う事。それぞれに特性が必要で特性の無い魔法は覚えられない。
魔法に特化した冒険者も居れば肉弾戦までこなせる冒険者も居る。当然魔法に特化した方が色々な魔法を使えるたり、魔法を早く発動したり出来る。
反面接近されたらカモになってしまう。もちろんスペルユーザーでも体を鍛えられるので肉弾戦も出来る人は居る。しかし魔法の練習や開発が疎かになるので発動や新魔法が少ない。
重要なのは魔法の威力だが習得してしまえばい力や効果範囲など誰が唱えようと同じであると言う事。そうなんだ、ここでは魔法は固定なんだ。自分なりにアレンジとか出来ない。
出来たとすればそれは新魔法なんだ。それと魔法は必中だ。回避は出来ない。出来るのは防御だけだ。魔法は魔法でしか防御出来ないんだって。
「魔法って結構怖いな。なら魔法が使えない奴がスペルユーザーに狙われたら、必ずやられちゃうじゃないか!」
「そうだ。だからスペルユーザーは貴重なんだ。種族で言えばエルフ、魔人、妖魔族なんかのメスに多い傾向にある。これらの種族でも魔力量が少なかったり、制御能力が無かったりで使えない者も結構居るんだ」
「すると俺も使えない可能性もあるのか……」
「いや、お前は使える筈だ。その髪色からすると過去使えなかった奴は居ない」
なるほどね。神様から無理やり落とされた奴は優遇されてるのか。そのくらいの特典はあっても許容範囲なんだろう。
「シンはもう魔力は認識出来るようになっていますか? 特性が確認できるまでは魔力制御とか魔力感知、魔力量増加の練習をしていると良いですよ」
そうなんだよ。そこが問題なんだよ。魔力を認識ってどうやるんだよ。俺は魔力なんかない世界から来たんだ認識なんか出来ないに決まっている。
「いや、まだ認識できていない。どうやったら認識出来るんだ?」
「あれ? お風呂での行為の時とか熱い迸りみたいな感じで認識できてないか? 普通それで認識するんだぞ?」
エロフ! エロフと認識した!
「仕方ないな。食事も終わったことだし、早速練習と行こうか」
ニヤッと笑いながら、シルエラが立ち上がった。長い夜になりそうだ。




