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その探偵、問題児につき  作者: 白沼 雄作
第一章 狂気があたりまえの世界
1/11

プロローグ

 探偵と言ってますが、全く推理要素がありません。

 恋愛やアクションなど色々混ざり合っています。

 それでも読んで下さると幸いです。


 これは、普段の何気ない日常の話――


 街が一望できる高台に少女が一人、呆然と立っていた。

 少女の目の前には、男が数人、ニヤニヤとしていた。

 今にも襲おうとしている男たちに、少女はただ怯え立つしかなかった・・・・・・




 ・・・・・・・・・・・・という場面ではなかった。




「サッカーしようぜ! こいつらボールな!」



赤髪の明るさが目立ちすぎる男――ラムダ



「待て、サッカーならボールは一個で十分だ」



黒髪のクールで粋な男――カイ



「いやまず人をボール扱いしないでください!」



 金髪の優しい顔を持つ、唯一まともな青年――シグマ。



 この三人の少年の前には、彼らより年上の男三人が全身痣だらけで倒れていた。

「別にいいだろー、こいつらはお前の彼女襲おうとしてたんだしっ!」

 ラムダは言い終えると同時に、男三人をまとめて一蹴りで遠くに飛ばした。カイは男達が飛んでいく様子を双眼鏡で見ていた。

「・・・・・・確認。警察署に落ちた」

「ちょ、何やってんですか!?」

「何って、わざわざ警察呼ぶよりこっちの方が早いじゃん」

「いやいや、そしたら死にますよ」

「安心しろ、ピクピク動いている」

「それ死にかかってるって事ですよ!」

「ったくー、相変わらずシグマは文句が多いな。俺らの方が一つ上なんだからわきまえ・・・・・・」

 ラムダが話している中、ある人物を放置していることに気づいた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 汚物を見るような呆れた目をしている少女が、三人の方を向いていた。

「おっ、ウイッス尚紀ひさきさん!」

 前々からいる事を把握しているにも関わらず、ラムダは今初めて会ったように挨拶をした。

「・・・・・・あなたたち、朝っぱらから何してんの?」

「ん、そうだな・・・・・・悪者退――ぶふぉあ!!」

「だはぁ!!」

 ラムダが最後まで答える前に、尚紀は彼の腹に正拳突きを喰らわせた。そのついでのように、カイの腹も殴った。

「ひでぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「俺は・・・・・・まだ何も・・・・・・・・・・・・」

 二人は倒れ、気を失う。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「っ!?」

 二人を見たシグマは覚悟する。自分も殴られると。

 尚紀はシグマに近づく。彼女の鋭い目付きに恐怖を感じたシグマは思わず目を瞑る。

「・・・・・・・・・・・・・・・?」

 シグマは左手に不思議な感触を覚え、目を開く。

 尚紀は、シグマの手を優しく握っていた。シグマは顔を赤くした。

「行こ! 遅刻しちゃう!」

 尚紀はさっきまでの険しい表情がなかったかのように優しい表情、口調で言った。

「っ! はいっ!」

 シグマは戸惑いながらも返事すると、尚紀はシグマの手を引っ張り、この場を走り去る。尚紀の眩しい笑顔は、健気な女子高生そのものだった。



 茶髪のポニーテールが印象の少女――尚紀

 ラムダ、カイの幼馴染みにして、シグマの彼女。




 そう、この物語はシグマと尚紀の純愛物語――




「・・・・・・・・・・・・カイ、生きてるか?」

「あぁ・・・・・・なんとかな・・・・・・・・・・・・」




 ――になるはずだった・・・・・・この二人がいなければ。





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