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森を抜けて

「ユーフェリアの王城には、神に隠されたはずの『禁断の魔導書』が眠っているはずだわ。

そこに、あなたたちが元の姿に戻るヒントも……」

スノウがそこまで言いかけた時、ピクンと長い耳を立てた。

「――静かに! 誰か来るわ!」その直後、森の奥からガサガサと草を分ける不穏な音と、金属が擦れる音が響いてきた。



『おい、こっちだ! 子供の小さな足跡があるぞ!』『マレビトは二人足りないんだ。不完全な転移で弾き出された「失敗作」のガキどもを、一匹残らず回収しろ!』

(失敗作……!? 私たちのこと!?)心臓がドクンと跳ね上がる。

見つかったら、あの恐ろしい国に連れ戻されてしまう。

「琥珀くん、どうしよう……!」「……クソ、この体じゃ逃げ切れないぞ」

絶体絶命の瞬間、スノウが私たちの前に飛び出した。「二人とも、じっとしてて! とりあえず、その目立つ服を変装させるわよ!」


スノウがクルリと空中で回転すると、キラキラとした光の粉が私たちを包み込んだ。

現代の高校の制服がみるみる形を変えていく。私の服は、フリルとリボンがついた可愛らしい町娘風のワンピースに。琥珀くんは、動きやすそうなサスペンダー付きの半ズボン姿。

頭には、目立つ髪色を隠すための小さなキャスケット帽まで被せられていた。

「これなら、どこにでもいる『迷子の子供』に見えるはずよ。

……急いで、あっちの茂みから街を目指すわよ!」「……恩に着る。雪乃、行くぞ。絶対に手を離すなよ!」



琥珀くんが私の小さな手を、壊れ物を扱うみたいに、でも力強く握りしめた。背後からは兵士たちの怒鳴り声が近づいてくる。

私たちは息を殺し、五歳の短い足を必死に動かして、光の漏れる森の出口へと駆け出した。

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