4 人類、AIに迷う
2025年2月くらいのはなしです。現実の、公的機関がAIを嬉々として導入したのがこれです。
他にもファミレスでは当たり前のように稼動している配膳ロボ並みのマシンを、未だに「賢い」などと評しているあたり、程度の低さがじわじわ染みてくる香ばしさ。てゆーか、AIってなによ? の話。
AI接客対応機の「AIさくらさん」(https://www.tifana.ai/)という端末がある。
私がみたのは、陸運局の片隅に設置されてたのですけど、どうやら申請の仕方などを質問すると当該の申請用紙が一式出てくるらしい。
ふと思うのだけど、これにAI載せる必要が何処にあるのかよくわからない。
こんなものより、煩雑な手続きを要する自動車登録の構造を改革する方がよほど効果的で有り、マイナンバーなんてものを作った時点で人員はカット出来たはずだし、手続きも早くなったはずです。
ですが驚くべき事に全て手書き手作業で行っていたような30年前よりも、今は格段に処理が遅くなっており、自動車登録に行くと四半日は帰られないという途方もなさだったりします。
なので、自動車屋さんとか法務関係の書類申請手数料ってのは、専門知識もそうですが、実際にものすごい時間をかけてもいるので、「ただ持ってゆくだけなのに高い」とか言ってはいけません。
ま、それはさておきこの、「さくらさん」。人手が足りないときに、人間の代わりに対応してくれるという親切丁寧で、どんなカスハラにも折れることのない強靱な論理エンジンを積んでいる、最近いわれる企業のDX化推進の旗手みたいな存在になっているAIです。
私この手のAI端末って、音声ガイダンス機に、それこそ陰毛が生えてちょっと生々しくなったようなものだと思ってたりします。そのくらい驚くようなことではないというか。
それらとさくらさんのようなAIの違いは、画像認識と音声認識と言語認識の確度が格段に進歩した結果ではあると思うのですが、学習範囲が限られる、または意図的に(収集した情報などを)学習しないことで、端末として平滑性を保つというのは機械として正常動作なんですが、それならやっぱり音声ガイダンスマシン、もしくは単なるデジタルサイネージじゃねぇのかと、私は思ったりするんです。
AI=人工知能、なんて名称ついてるならウィットに富んだ冗談の一つくらい言えなきゃだめじゃないかと。
例えば大阪に納品したさくらさんは、数ヶ月でやや、もしくは、かなり、関西なまりになり、ボケ、ツッコミを自在に操るように「学習」する、とかないのだろうか。
AIにそんな必要はないだろうといわれるかも知れないけれど、だからといって、工業製品のように画一的に規格ものになると、やはり機械のワク、つまりAIではなく、単なるデジタルサイネージから抜けられないんじゃないかと思うのですよ。
やはり設置された土地の風俗や慣習や企業の社風、あるいはその地方に住まう人々の性質などにもある程度精通しているというのが基本としてあり、なんならちゃんと性別も設定してAI自身が、女性である、男性であるという認識をしており、プロフィールが構築されているというのが好ましい。
より人間に近い自然な感じに、人に寄り添うほうがよいと、業界的にもAIの最終形態は自律型人型稼動筐体=アンドロイドを目指しているようなところがどこかにあるのだと思います。私もSFは好きですから、その側面からは興味ありますし、阪大の石黒先生の研究は頑張ってもらいたいと思っています。
しかし世間では、高輪ゲートウェイ駅での「さくらさん炎上事件」という、ちょっとした事件がありました。その事件では、実はAIに過剰な人間性を付与すると、セクハラに繋がるという結果が示されたのです。
そもそも、さくらさんのアバターは可愛げなアニメ調女性になっているが、これはジェンダーロールや、ルッキズム問題に引っかかってくるんじゃないだろうかという点。
この高輪の件は、山手線の新駅誕生という大きなニュースと共に、二台のAIサイネージが(JRいわく実験的に)設置されたことによります。一台はJR東日本情報システムが男性モデルを作成し、もう一台はソフト会社のティファナが女性モデルのさくらさんを作成した。それにより外部から見たときに、同じサイネージ筐体にありながら、通常対称性を自然とする男女アバターのモデリングに、大きな差違が認められたことに端を発している。
というのも、男性は写実的というかほぼ実写といっていいようなモデリングで、当然ながら3D動画で動いたりデジタル音声で話したりもする。まあ、自然体ではあるもののいわゆる不気味さというか、それはそれで機械らしく味気ない、といっていい体だった。
かたや女性モデルの方は、いわゆる「さくらさん」そのものなので二次元絵のアニメ調、当然動きもするし話もするのだけど、対に成って並べられている二台の中身が違いすぎるのと、さくらさんはキャラクター性を付与したばかりに、仕事と関係のない質問(好きな男性のタイプとか、生年月日とか、訊いたら答えるらしい)には答えるわ、髪を触る仕草が無意味にセッティングされているなど、仕草が扇情的であるだとかで問題になった。(実際に女性の行動として、会話中に髪を触るのは、異性を意識している心理だといわれている)。
まあひとによっては気を悪くするというか、こういう時代なので男女でモデリングが違い過ぎるのと、女性モデルにだけ何故パーソナリティが付与されているのかとか、設定した仕草に偏見を感じるだとか、別に一つ一つを見れば大した問題ではないのだけど、総合的に情況と状態に鑑みれば、JR東日本という会社、はジェンダーバイアス、セクハラ容認、ともとられかねない状況に陥ったというわけです。無論、「作成を依頼した会社が違うから」、という説明をしましたが、人は経過なんてものは見てくれませんから。
私的には、AIってのは「人の容姿」をしていない方が、有用性が高いような気がしています。
それはAI端末を扱うのは常に人である限り、人の代用として視ざるをえないからです。そうなると、なまじアバターが人の姿にほど近かったり、人のように振る舞ったり、自律型稼動筐体端末そのものの外見が人に近くなったりすると、「動きも自然だし、見た目は美しいし、仕事も出来るし知識もあるけれども、人ではない」という、一種の蔑視感、すなわち差別のようなものが起きる可能性が高く、高輪の件のように無用な心理錯綜がおきる。まだ今の時代ではAIをどう定義して位置づけるか、それについて人の心が追いつかないのではないか、という気はします。
なのでAI端末は、動物などを模したり、そもそも生き物ですらない非人間的なアバターや、自律型稼動筐体の端末であってもスターウォーズのR2-D2のような容姿の方が(C3-POは現実にいると、なんかイラッとすると思うけど)自然に受け入れられる気がします。
未だ世の中というのは、見た目の印象で物事を決めてかかることが殆どで有り、有史以前より人は見た目9割から脱出できていないわけですけど、まあそれでも、美人の定格が数年から十数年くらいで更新されていく事を考えてみれば、AIに対する見た目の印象なんかも、人間が「慣れちゃう」ほうが早いかも知れません。
携帯電話普及の黎明期は、「誰かが道端で電話で話している」だけで苛ついたりしてたわけですし、親や兄弟に関知されずに友人と連絡を取り合うなどというのはけしからん事だったり、電話は元よりメールやラインで業務連絡すること、あるいは挨拶をするなどといった日常コミュニケーションが社会人としてなっていない、などと非難されてたわけですけど、30年も経てばみんな普通になっちゃったわけでして、いまAIや、ジェンダーに対してなんやらいっている声というのも、過渡期ならではの声なのかも知れないと思うと、微笑ましいというか。
現時点でもアニメキャラや架空の3D画像のキャラクターと「結婚」する人もいるくらいですから、もう少ししたら、AIと結婚する人も当然現れるだろうし、そこから自分の遺伝子情報とAIを掛け合わせてAIベビーなんてのも作る可能性はある。まあその後は、脳がデジタル化されてメタバースの中だけで生きるような人も出てくる可能性もあるンですが、そんなことして何になるという気もします。
というのも、冷静になってみたらこの世界こそメタバース(仮想空間)なんだから何も驚くことではないんです。そもそも肉体に寿命があるなど、物理限界が設定されてる時点で、この世界はゲームなのだろうと思わないほうがおかしい、と私は思ってます。
じゃあ、世界はリアルではないのか? というとそういうことではない。
スポーツなんかでもみんな真剣にやって勝ったら笑うし喜ぶし、負けたら泣いたり、悔しがったりするじゃないですか、あれと同じで、ゲームだからといって適当にやってるやつなんてのは、そもそもそのゲームに参加する資格がない奴なんですよ。(別に世にはびこる悪人や犯罪者をさしてそういっているわけではありません。クズでもゴミでもプレイヤーです)
それにこれは認識の違いだけで、現実か仮想かなんて論じたところで何の意味もない。その感情や身体感覚が本物なのか偽物なのかもどうだっていいし、あなたの親や子供や恋人が現実には存在しないかもしれないし、お金や資産の価値なんてものは無意味だってことです。なぜならそれらは「現象」でしかないのだから。
この世界は、「そこ」で「自分」が「何をどう考え感じる」か、だけが「現実」なのですよ。
と、いうところまで考えると、そもそも家族とか恋人とか人間関係も、AIに置き換えること出来ちゃうよな、と思ったりしますが。
ま、あれなんでしょう。AIみたいに正確な行動だけする存在を相手にしてたら、それこそこの世界のゲーム性が削がれてつまんねぇクソゲーになるんでしょうなぁ。




