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死に戻り魔王の「強くてニューゲーム」 ~未来の知識と圧倒的戦力で、人類ごと世界を救います~  作者: Chris Tartan


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第73話:その覇王は血塗られた罪を背負う。~白竜に重ねた追憶と、漢たちが交わす死生の盟約~

【前回までのあらすじ】

 ガスピ湖で白竜シャヴォンヌと対峙したロイは、「前の世界線」の記憶を引き継いでいた竜にその真っ直ぐな魂を認められ、見事に『真の竜契約』を結ぶことに成功する。


 一方、帝都の演習場では、帝国四天王ウルスヌスと連邦最強の剣豪・源流による異種格闘技戦が激化! オリハルコン並みの硬度を誇るウルスヌスの「金剛体」に対し、源流は必殺の一閃を見舞い、なんと剛腕の右腕を斬り落とすという衝撃の展開を迎えたのだった――。

「奥義・波紋断(はもんだ)ち」

 源流は血糊を払い、静かに桜花を鞘に収めた。硬い物体を断つことに特化した、究極の「切断」の技だった。


 鮮血が噴き出す自身の右腕の断面を見て、ウルスヌスは痛がる素振りも見せずに言った。

「やるな……。本当に、あんたが二人目だ。だがな――」


 彼は狂気に満ちた笑みを浮かべ、残った左手の鎚を振り上げようとした。

 噂は本当だったのだ。腕を落とされても殴りかかってくる狂戦士。


「そこまでだ!」

 アンドレアが鋭く制止した。

「この勝負、源流の勝ちとする!」


「ちっ、しゃーねーな。今回は勝ちを譲ってやる」

 ウルスヌスは不満そうに左の鎚を下ろした。


「ウルスヌス。すぐにその腕を持って中央病院に行け。くっつけてもらえるはずだ」

「うぃっす!」

 ウルスヌスは落ちた自分の右腕を左手で拾い上げ、鼻歌交じりに医務室へと向かっていった。


 その常軌を逸したその後ろ姿を見ながら、源流がアンドレアに聞いた。

「なぜ、奴は痛がらない?」


「あいつは痛みに対する耐性が異常に高いんだ。一種の脳の欠陥かもしれんが、戦士としては最大の武器だ。……しかし、よくあの金剛体を切れたもんだな」


「拙者に切れぬものはない」

 源流は淡々と答えた。


 観客席では、ガガンが気絶していたアレフ兵やドーザの戦士を叩き起こして叫んでいた。

「おい! 見たか!? 本当にあいつ、腕を切られたのに平然としてたぞ! 化け物だ!」


 その時、演習場に巨大な黒い影が落ちた。

 空気を震わせる巨大な羽ばたき音。

 全員が上を見上げると、そこには美しい真珠の鱗を持つ白竜と、その竜上で手を振るロイの姿があった。


「ローイ!! あいつやったな!!」

 ガガンが両手を上げて喜ぶ。


 アンドレアは、上空を優雅に旋回する白い翼を静かに目で追っていた。

 かつて、自分と並んで飛んでいた最愛の妹の姿。それが今、若きロイの姿と重なり、再び空を駆けている。


「本当に契約してくるとはな……」

 源流が感心して話しかけるが、アンドレアからの反応がない。


 ふと横顔を見ると、常に厳格な覇王の瞳に、キラリと光る涙が浮かんでいるのを、源流は見逃さなかった。

(この漢が、あの虐殺の指示をするというのか……?)


 源流の心に、強烈な違和感が走る。

(晩餐会の時の不器用な振る舞い、そして今の涙……。オウカの『常凪とこなぎの里』を焼き討ちにするような残虐な血が通っているとは、とても信じられぬ)


「ん? 今、何か言ったか?」

 アンドレアが涙を拭い、源流に視線を向けた。


 源流は、胸の内にくすぶっていた最大の疑念を口にした。

「覇王。……常凪とこなぎの里の虐殺は、お主の指示によるものなのか? それとも、部下の独断か?」


 遠ざかる白い翼に視線を戻すと、アンドレアは表情を消して言った。

「仮に部下の独断だとしても、あるいは帝国と関わりのない奴らの仕業だとしても……帝国の『赤い旗』が使われた以上、上に立つ俺の責任だ。……確か、オウカと常凪とこなぎの里とは不可侵の同盟国だったな」


「……知っておったのか」

「ああ。俺が憎いか?」

「お主が戦争を始めなければ、あんなことは起きなかった。……拙者は、お主を許す気にはなれぬ」

 源流は冷ややかに告げた。


 アンドレアはフッと笑った。

「機械生命体を倒した後なら、いつでも受けて立つぞ。だから、それまで勝手に死ぬなよ」


「その言葉、そっくりそのまま返そう」

 源流が刀の柄を親指で弾く。

「お主は拙者が斬る。だから、機械生命体なぞに斬られるな」


「努力しよう」

 アンドレアは肩をすくめ、背を向けた。

「どうだ、一杯付き合わんか?」


「晩餐会で付き合わされたばかりだ。遠慮しておく」

「そう言うな。報道陣がこっちに向かって走ってきてる。俺はああいうのが苦手でな。……逃げるぞ、来い!」

 アンドレアはそう言うと、少年のように走り出した。


「やれやれ……」

 源流は呆れたようにため息をついたが、その足は自然と覇王の後を追っていた。

【次回の予告】

「帝都の森で勃発! 連邦女王vs帝国の大魔導師!」


 帝都郊外の『紅葉の森』で、シルフが雷属性のエンチャント特訓に励む平和な午後。

 純情なエルフ青年サイロスの不器用な恋模様にほっこりしていたのも束の間、退屈しのぎに森を訪れたディネルースと、四天王であり帝国魔法部隊総隊長のザルティムが遭遇してしまう!


「あの会議での魔法、わしらで防げたわい」

「あら、腰が砕けるわよ? 爺」


 休戦協定を結んだばかりだというのに、笑顔で相手を煽り合う二人の大魔法使い。

 そして、ザルティムの放った禁断の一言「婆や」が、氷の女王の逆鱗に触れる――!


 紅葉の森の魔法演習。

 第74話は、明日の21時40分更新です!


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