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死に戻り魔王の「強くてニューゲーム」 ~未来の知識と圧倒的戦力で、人類ごと世界を救います~  作者: Chris Tartan


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第66話:その職人は未来(ロマン)を語る。~未来兵器(オーバーテクノロジー)のプレゼン大会~

【前回までのあらすじ】

 機械生命体の驚異的な「進化」能力が明かされ、戦慄する円卓会議。


 しかし、四天王ウルスヌスの挑発により、ディネルースが【絶対零度アブソリュート・ゼロ】を発動。


 あわや全滅という寸前、マクマリスは【時間停止魔法クロノ・スタシス】でその因果を断ち切り、力技で場を鎮圧した。


 物理的に黙らされた王たちは、再び席につき、マクマリスの次なる策を待つ――。

 ヘギルが立ち上がり、大量の資料を円卓に広げた。

「俺から説明させてもらう。まずは、予め魔力を満たした『カートリッジ交換式』の新型魔導砲だ」


 ヘギルは図面を指差す。

「白亜の巨塔に設置した試作の魔導砲は連射ができないことが欠点だったが、こいつなら解消できる。撃ちまくれるぜ」


 彼は次の資料をめくる。

「次は一般兵の主力装備の一つ、魔導突撃銃だ。装弾数三十発、バナナ型マガジン式のライフル風の杖になる。素早くマガジンを交換できれば、毎分六百発のサンダーボールをばら撒ける。銃身下部には冷却用の水冷ユニットを備えることで、オーバーヒート対策もばっちりさ」


「ほー。詠唱して撃つ魔法戦の常識を根底から覆すの」

 ザルティムが感心して髭を揺らす。


 ヘギルが満足げに頷く。

「だろ? だがこれで終わりじゃないぜ」


 次の資料には、禍々(まがまが)しくも美しい剣が描かれていた。

「これは近距離戦になったとき用の、高周波振動剣だ。見た目はごく普通のロングソードだが、(つか)に小型のカートリッジと起動スイッチが増設されてる。スイッチを入れると、刀身の周囲に、目に見えないミクロの雷の刃が高速循環するって代物よ。カートリッジ一本につき三分しか稼働できないのが欠点だが、どんなものも抵抗なく切断できるぞ」


「かっけー! 俺、これ使いたいぜ!」

 ウルスヌスが身を乗り出して喜ぶ。


 ヘギルは更に資料を見せる。

「次は防具だ。複合装甲服。この鎧はな、従来の鋼鉄の間にスライム質のゲルシートと、四天王が駆るドラゴンの鱗を粉末加工した板を挟み込む三層構造になる」


「ドラゴンの鱗を使うだと!?」

 ガエサルが顔をしかめる。


「少しくらいいいだろ? 一撃耐えられるという安心感が、兵士の士気をどれだけ上げられると思うんだ? お前らの竜の鱗なら、剥がれ落ちたやつでも十分な強度がある」


「……くっ」

 ガエサルは黙り込んだ。


「この鎧は、『対水流偏向外套(ロータス・コート)』を(まと)えるアタッチメントがあるのも特徴だ」

 ヘギルはマントの図面を示した。


「一見するとただの薄手のマントだが、表面に特殊な『撥水魔術紋様(もんよう)』がナノレベルで刻まれていてな。敵の高圧水流カッターが直撃しても、水流を物理的に受け止めるのではなく、左右に『滑らせて』逸らせるんだ」


「確かに……流してしまえばただの水になるか」

 マクマリスが頷く。


「ご名答。ハスの葉が水を弾く原理を魔法的に強化したものだな」

 ララノアが眼鏡の位置を直しながら尋ねる。

「この設計図、すべて貴方が考えたというの?」


「マントは俺のオリジナルだ。他は未来の俺が考えたようだがな」

 ヘギルはニヤリと笑った。


 マクマリスは皆を見渡した。

「連邦の協力、そしてこれだけの装備があれば、勝てると思えないか?」


「待ってくれ」

 ヘギルが手を挙げた。

「あともう一つだけいいか? 設計図はまだ用意できてないんだが……俺の頭の中で考えている案があるんだ。名付けて、『魔導鎧(パワードスーツ)』」


魔導鎧(パワードスーツ)! 強そうな名前じゃねーか!」

 ウルスヌスが再び興奮する。


「落ち着いて、ウルスヌス」

 カーラがたしなめる。


 ヘギルは二人を見た。

「そこのお二人さん、いいか? 今紹介した複合装甲服は一般兵に支給する。そしてこれから説明する魔導鎧(パワードスーツ)は、お前たち上級兵用だ」


 彼は拳を握った。

「複合装甲服の装甲に、出力強化の新技術を導入するんだ。スピード、パワーの飛躍的な向上が期待できる。機械には機械で対抗よ」


 マクマリスがすかさず突っ込む。

「新技術がどんなものなのか知らないが、鎧に出力強化装置をつけたら、重量増加により動けたものではない。身体に直接つけた方が、まだマシだ」


「ここのみんなを人体実験するつもりかよ! 失敗したらどうするんだ!」

 ヘギルが即座に反対する。


 そこへ、ララノアが口を挟んだ。

「確かに、身体に機械を組み込むのはリスクが高いわ。でも、鎧ならば神経接続の負担は少なくなる」


 彼女は計算するように目を細めた。

「重量の問題さえ解決できれば……」


 ヘギルがララノアを見る。

「重量の問題は、空気中に漂う魔力を取り込むことで解決できる」


「……外部魔力駆動」

 ララノアが即答する。技術者同士の思考がリンクした瞬間だった。


「なるほど……考えたな」

 マクマリスは満足げに頷いた。

「よかろう。魔界より魔導工学に精通した部下を応援に回す。その案を完成させてみせろ」


 ディネルースも扇子を閉じた。

「ララノア……貴方の知能も役立つはずよ。手伝ってあげなさい」


(よし、食いついたな……)

 マクマリスは内心で拳を握った。これでララノアとヘギルの協力ラインが出来た。


「承知いたしました」

 ララノアが一礼する。


「助かるぜ。必ず、やってやるよ」

 ヘギルが力強く請け負った。


    ◇


 場の空気が、敵対から協力へと変わりつつあった。


 マクマリスは立ち上がり、最後の仕上げにかかった。

「武装についてはこんなところだ。あとは作戦だが……奴らが上陸するのを待つのではなく、こちらから挨拶に行く」


 覇王が聞く。

「奴らはどこに潜んでいるんだ?」

「海の底に沈む母船にいると考えている」


「海の底だと!?」

 覇王が驚愕する。


「そうだ」

 マクマリスは地図の海域を指差した。

「潜水艇を開発し、奴らが動き出す前に、海の底に沈む母船を叩く」

【次回の予告】

「あの場所は、俺の妹の墓標だ。」


 潜水艇の素材を求め、禁断の地「ガスピ湖」への侵入を提案するマクマリス。

 しかし、そこは覇王アンドレアの妹・エレノアの愛竜シャヴォンヌが守る聖域だった。


「人間ごときが近づけば、塵も残らんぞ」


 激昂げっこうする覇王に対し、マクマリスが指名したのは、まさかの人物――アレフ王国の若き王子ロイ。


「彼なら契約できる。……未来の貴様がそう言った」


 時を超えた信頼が、最強の竜騎士誕生の扉を開く。

 そしてついに結ばれる、歴史的な休戦協定。


 ガスピ湖の白竜と、円卓協定の夜明け。

 第67話は、明日の21時40分更新です!


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