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―浪漫飛行―

 セレーナが落ち着いた後、スミレは自身が龍である事を話した。

 惣一郎の活躍により呪いから解かれて一緒に旅をする事になったという感じで詳細は省いたが、龍というだけで情報の質が大きい為かセレーナ、ダリア、メリッサの3人は、しばらく思考がおいつかなかった様子だった。


「と言うわけだ、これからもよろしく頼むぞ」


「はい、もう何が何やらですが、確かに武器への魔法付与とかリネットで空中を飛んでいた事とか、思い返してみれば確かにそうなんだよな」

 ダリアが慌てながらも必死に自分を落ち着かせるように呟いている。


「スミレ様が伝説の龍・・・」


「家にあった本に書いてあった龍の古いお話は本当だったんですね」


 メリッサもセレーナもかなり動揺している。

 たぶん普通の反応はこうなんだろうなと3人を見ながら思ったが、俺自身はやはり異世界人なので受け入れるのも速いのだろう。

 既に異世界への転生という事実を受け入れているので、今さら龍が出ようが鬼が出ようが大した問題ではないのだ。

 鬼どころかアンデッドだっているんだ。そのうち実体の無いゴースト系のモンスターも出るだろう。

 

「龍に関しては皆も知っての通り、知るだけで命に係わる情報だから今まで黙っていましたが、この辺りはスミレとも話し合った結果、力業でねじ伏せる事にしたから安心して欲しい。

 そもそも龍であるスミレが同行を望んでる訳だし、それに3国と言えどティアマット様やファフニール様に意見するほど愚かでは無いと思う」


「この国際法に関してはティアマットが作ったのだろう。龍が作った法ならば同じ龍が許可をすれば問題は無い。そもそも人に適応される法など有ったところで我が守る義務など無いがな」


 龍や聖霊に人の法など無意味だという最もな理屈である。

 実際にすることは無いだろうが、ファフニールが本気になれば国の3つや4つを滅ぼす事など造作もないのだ。人間一人や二人の為にわざわざ龍が暴れる原因を作る国もないだろう。


 強引だが色々な問題が解決に至り、これで目下の国落としに集中できる。

 この地域の地図や南側の敵国【 ディアパス王国 】周辺地図も貰い作戦会議に入る。


 ディアパス王国は小国の中でも比較的広大な領土を所有する国であり、鉱物資源以外は辺境国のクロイツェルよりも遥かに豊かな国である。


 クロイツェルからは陸続きだが、赤の国とは大河を隔てて分かれており、首都の手前には山脈もあるので赤の国からは攻めにくい地形となっている。


 ここ100年程度は特に戦争もなく冷戦状態だったのだがここ数カ月の間にディアパス王国からの侵攻が始まったとの事だった。


 ヘカテーから聞いた内容によると、時期的にはゴーレム襲撃の頃と被っていた。


 まだ世界に対する侵攻の目的はハッキリしないが世界征服だろうと推測できる。

 ただ、この世界の魔族との関係は分からないが、緑の国のエルフたちが観測したゴーレム転送時の大規模な魔力を見るに、無関係では無いだろう。


 それと未だに敵の数も不明だ。

 今回のディアパス王国攻めで他のワンダラーに関する情報がつかめれば良いのだが。


 一休みしてから作戦会議へと移った。


「今回の作戦に関してはその目的と都合上、夜間に行います

 出来る限り民間人への影響を減らし、ターゲットの暗殺のみを目的として遂行する予定ですが、敵にもワンダラーが居る以上、全てが上手くいくとは思いません。また敵地では極力一人にならないように行動して下さい」


「それとスミレに使い捨てのスクロールとエンチャントアイテムを作っってもらったので渡しておきます。ワイバーン等と戦闘になった場合はケチらずにガンガン使って下さい」


「敵について判明してる事ですが今の所フォルスは何かしらの能力で自身の分身体を作り出せることが分かっています。

 今回もどこかしらで奴の分身体との戦闘があると仮定して動きますが、分身体と本体の強さやその他の違いなどが不明の為、もしも1対1の戦闘になったり状況が不利だと判断した場合はすぐに撤退や仲間との合流を優先する様にお願いします」


「「「了解」」」

「ワン!」



 今回に限って移動は日が落ちてから、ファフニールに乗って一気にディアパス王国付近の高台まで行き、そこで偵察を兼ねて1日過ごし、翌日の夜間に行動を開始する。


「龍の背中に乗れるなんて夢見たいです!」


「夢かもしれないぜ。なんせ夢物語にしか出て来ない伝説の龍だからな。ロマンだぞ」 


「高いのは怖いですが、暗いしここまで上がってしまうとそれほどでも無いですね。月明かりも綺麗ですし、雲の上ってこんなふうになってるんですね」


 飛行機や富士登山等で雲の上を見た事のある俺からしてみたら知ってる風景だが龍の背中に乗って見ているというのは自分でも信じられない位の体験で、彼女達とは違った感慨深さがあった。


(惣一郎、そろそろ目的の場所に着くぞ)

 時間にして2時間といった所だろうか。ファフニールのお陰で快適な空の旅を楽しんで目的地に到着した。


「ありがとう、スミレ。お疲れ様」

「「スミレ様ありがとうございます!」」

「姉さんありがとうございます!」

「ワン!」


「しかしもう着いたのか。夜明けまでかなり時間あるぞ。早すぎるだろ」

「馬車で7日前後という話でしたが、ファフニール様の飛翔速度は凄まじいですね」

 ダリアもメリッサも苦笑いを浮かべている。


「風圧に対する結界が無ければ全員吹き飛ばされている筈ですよ」

 ファフニールの飛翔速度は初速から時速百キロ以上は出て居るはずなので、飛び立った瞬間の勢いは結界無しでは掴まってる事すら難しいだろう。


「ここで野営をしながら偵察だな。火は焚かないように」


 敵国が一望できる高台の少し奥にテントを張り交代で見張りと観察を続ける。


 スミレとの見張りの時間に彼女から異変を告げられる。


「惣一郎、気が付いているか?」


「ええ、何かおかしいですね」


 距離が離れてるとはいえ、城にも城下町にも明かりが見えず城壁や見張り台も人の気配が無かった。


「もしかして、既に魔族やワンダラーの手に落ちてる・・・・」


「可能性はあるな。だが魔族とは違う妙な気配が多数ある」


「フォルスの分身体でしょうか?」


「わからぬが、恐らくはその類だろう。皆にも用心するように伝えねばな」


 スミレの見立てでは夜間でも煙や篝火などが見えない王国は恐らく民間人は残っていない可能性が高いとのことだった。

 ただ、兵士所かワイバーンの姿も見えない現状はとても不気味で、王が既にいないとするならばこの計画自体も無駄に終わってしまう。


「夜が明けたら姿を消して偵察に行って来ます」


「惣一郎、城壁の中には入ってはならんぞ」


「はい、城壁外にも何かしらの罠があるかもしれませんから用心します」







いつもお読み頂き、ありがとうございます。


10月も出来るだけ頑張って投稿したいと思います。


読みに来て頂いてる方々、感想頂いた方、評価頂いた方々、ブックマーク登録頂いた方々、ありがとうございます!


少しずつ見てくれる方が増え、嬉しい限りです。

これからも頑張って続けて参りますので、応援よろしくお願い致します。


読み辛い所もあるかと思いますが、気に入って頂けたらブックマークや評価、感想を頂けると嬉しいです。


栞代わりのブックマークでも構いません。(言葉の意味は同じですが)


誤字報告なども頂ければ即対応させて頂きます。


更新時間は通常、朝8時に致します。

今月も頑張ります!

宜しくお願いします!



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