― i will follow you ―
「音無君、こんばんは」
「アンダンテさん、こんばんは」
「うむ」
「早速セレーナの事なんですが、どうしたら良いですかね。切った張ったの世界には引き込みたくは無いのですが・・・」
「音無君、それは彼女が決める事よ。彼女に選択させなさい。元々アナタに着いて行きたいと言ったのはセレーナであって、それ位の覚悟が無いなら村へ帰った方があの子の為だわ」
アンダンテは突き放すように言うが、もっともな意見だとも思う。
「・・・・確かに・・・」
「貴方がトンファーを作った理由もそれなんでしょ? セレーナに対しては十分なくらいに気を使っているわ。それに敵対する異世界人がどこから来てどんな奴でそんなのが何人いるのか分からない状況で、そんな甘い事は言ってられなくなるわよ。例えば好戦的なヘカテークラスのワンダラーが多数いたらこの世界は大きく荒れる。そんな中で襲ってくる魔物は殺せるけど、襲ってくる人間は殺せないなんてのは足手まといでしかないわ」
「・・・・」
俺はアンダンテの正論に言葉が出なかった。
「いつにもまして荒れているな」
スミレが言葉を挟む。
「ええ、誰かさんの気まぐれで問題が表面化したからね。その尻拭いをしてあげてるのよ」
アンダンテはスミレを睨む。
「そうだな。それについてはその通りだ。面目ない」
「まったく・・・この世界で武器を握り、戦う覚悟を決めたなら誰だって避けて通れない道なのよ。あの子は自分で選ばなければいけない。そしてこれを伝えるのは音無君、貴方の役目よ。しっかりしなさい」
アンダンテは厳しい言葉をかけながらも惣一郎の手をとって励ます。
「そうですね。私自身も覚悟が足りなかったみたいです。どのみち次にやる事は少なくとも人を手にかける覚悟が無ければ出来ない事ですからね。明日、意思確認をします」
アンダンテに背中を押して貰い踏ん切りがついた。
まったく、自分でも情けないと思う。
だが選んだのは自分自身だ。
彼女に背中を押して貰ったからと言っても、その後の行動は自分の責任だ。
何が起こってもアンダンテのせいではない。
彼女には俺に出来ない事を代わってもらっただけだ。
自分に出来ない事は誰かにやって貰えばいい。
そう、これはただそれだけだ。
次の日の朝、朝食後の部屋にて
「みんな、聞いてくれ。これから例のワイバーンを使って各地を襲っている犯人である南側の小国、ディアパス王国を叩き潰しに向かいます」
スミレに頼み部屋に静寂の魔法を付与して貰い、話をはじめる。
「マジかよ・・・ソウイチロウさん、国を叩き潰すってのはこの人数でやるのか? 正気か?」
目の前には俺を含めて6人しかいない。
「ああ、正気だし、全部でこの人数だ。だが国と正面切って戦争するって事じゃない」
「戦争しないで国を潰すってのは・・・・もしかして・・・」
「ああ、その通りだ。私が刺客となって国のトップを暗殺する。他のみんなにはサポートをお願いしたい」
「暗殺・・・」
「「・・・・」」
ダリアとのやり取りでスミレ以外は息を飲み、表情が暗くなる。
「今回は人を殺す事になる。だからもし抜けたいならそうして貰って構わない。進んで人殺しに加担する事は無い。抜けても咎める事も無いから安心してくれ」
「・・・なあ、ソウイチロウさん。ワイバーンを操って色んな場所を襲ってるのは確かなんだよな? 今回の敵はリネットで倒したアイツの仲間ってことだろ?」
「間違いない。それと今回の戦闘はこの国の魔女と王の3人で話した結果だ。それと当たり前の話だが、事が済めばこの国からの恩賞も各個人に出る」
「恩賞の話はどうでもいいです。なぜ私達がそのような事をしなければならないのですか?」
メリッサが確信を突いてくる。
「その事については改めてみんなに話しをしなければならない」
そう、事実を知らずに付いて来てくれなんてのはやはり虫が良すぎる話だ。
覚悟を決めなければならないのは俺も同じだ。
「どんな話なんだ?」
「俺自身の事と敵についての話だ」
「ソウイチロウ様と敵について何か関係がある話なのですか?」
メリッサは怪訝そうな表情を浮かべている。
「そこは正直確定では無いが多分ある。それを聞いた上で判断してほしい」
「「わかりました」」
「ワン!」
「わかった」
「うむ」
「セレーナとルーナ、あとはスミレには訳があって少しだけ話しているが、俺はこの世界の人間じゃない」
「「え!?」」
「この世界の人間じゃないってのは、東の大陸出身じゃないって意味か?」
「違う。この世界のどの大陸でもない、異なる世界、異世界から来たという意味だ」
「異なる世界・・・」
そこから俺はこの世界に来た所から話を始め、惑星という概念や異世界について、そしてヘカテーがワンダラーと呼ぶ存在のことと敵についての話をした。
「はは・・・惑星とか異世界ってのはオレには難しい話だが言ってる事は何となくわかるよ。ソウイチロウさんは色々おかしいからな。そんな経験をしていれば少しくらい変でも納得が出来る。うん」
ダリアはダリアなりに理解したと言った所だろうか。
人を変呼ばわりするのはちょっと悲しいが、理解しようとしてくれている事が俺にとっては嬉しいしありがたい。
「ソウイチロウ様の黒髪にはそんな秘密があったんですね。でも確かにおいそれと簡単に人に言える内容ではありませんよね。それに会う人それぞれに言ったところで誰にも信じて貰えないですよね・・・。私はソウイチロウ様とは異なりますが、一度は自分を捨てた身ですから隠していた事は何となくは理解できます。」
「二人共、まずは話を理解しようとしてくれてありがとう。それだけでも嬉しいよ。それとセレーナ、君にもここまでの詳細を話していなかった事はすまなかった。そんな状態でも今まで私の事を信頼して付いて来てくれた事にたいしては感謝しかない、本当にありがとう」
「いいえ!そんな。私は・・・・・・・
私がソウイチロウ様について行きたいと言ったワガママを聞いて下さったことは感謝しかありません。
それに沢山、沢山良くして頂きました! こんなに強くなれたのも、こんなに遠くまで来れた事も、あの時ソウイチロウ様が私を連れて行ってくれなければ成し得なかった事です!
私は! 私は! 何があっても! 何をしてでも! どこまでもアナタについて行きたいです!」
セレーナは真っすぐに惣一郎を見つめ、涙を流しながらも力強く言い放った。
「セレーナちゃん・・・」
「セレーナ・・・」
ダリアとメリッサがセレーナを見つめながら何故か目を潤ませて顔を赤らめている。
「惣一郎は果報者だな」
スミレは優しくセレーナの肩を抱くとセレーナはスミレに抱きつき彼女の胸にうずくまって嗚咽をもらす。
ルーナはセレーナに寄り添ってセレーナの身体を撫でるように自分の頭を軽くこすりつけている。
セレーナは幼いながらも惣一郎の言葉の意味をしっかりと理解していた。
それは前日の話を鑑みれば、今回の話が自分の為に用意された物だと理解するのには十分な内容だったからだ。
人を殺すという事をあれだけ避けようとしていた惣一郎が、人を、敵国の国王を暗殺すると言い出したのだから、ずっと隣で見ていたセレーナにはその覚悟もセレーナ自身に対する逃げ道の事もしっかりと伝わっていた。
その上で彼女が出した答え、「何があっても、何をしてでも、どこまでもアナタについて行きたい」それは16才の少女が言葉以上の想いを詰めた精一杯の告白である事は誰の目にも明らかだった。
いつもお読み頂き、ありがとうございます。
10月も出来るだけ頑張って投稿したいと思います。
読みに来て頂いてる方々、感想頂いた方、評価頂いた方々、ブックマーク登録頂いた方々、ありがとうございます!
少しずつ見てくれる方が増え、嬉しい限りです。
これからも頑張って続けて参りますので、応援よろしくお願い致します。
読み辛い所もあるかと思いますが、気に入って頂けたらブックマークや評価、感想を頂けると嬉しいです。
栞代わりのブックマークでも構いません。(言葉の意味は同じですが)
誤字報告なども頂ければ即対応させて頂きます。
更新時間は通常、朝8時に致します。
今月も頑張ります!
宜しくお願いします!
コロナワクチン2回目接種の副反応も無事に終わりました。
副反応は熱と頭痛と注射した左腕の筋肉痛と、腕全体のかすかな痺れでした。
病気にかかった訳では無いモノなので耐えるだけという安心感があり特に不安はありませんでしたが、ワクチンをこれから注射する方で、もしも熱や頭痛などでかなり辛い類の副反応が3日以上続く様なら早目に医者にかかる事をお勧め致します。
ワクチンの副反応であれば対応してくれる病院は多いと思います。
皆様も健康には十分にお気をつけてお過ごしくださいませ。




