表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うちの宮廷は複雑怪奇にて  作者: 夏林
建平25年 秋~冬
6/6

捜索結果

またまた久しぶりの投稿です。


1刻後。夏殿の調査を終えた謹妙(ジンミャオ)が持ち帰った報告は、頭の痛くなるものだった。

「結論から申し上げますと、夏殿には曼陀羅華がございました」

 その瞬間、ガチャンと茶器の落ちる音がした。振り返ると、(イェ)夫人が真っ青な顔で立っていた。言葉を探しているが、何も言えないようだ。

 こちらには聞こえないとでも思っているのか、(ディン)夫人の侍女たちはひそひそと話し始める。

「やはり(イェ)夫人が毒を盛ったのかしら?」

「そうでなければ曼陀羅華などを隠し持っているはずがないわ」

「そうよね・・・・・・。そんなに(ディン)夫人を妬んでいらしたのかしら」

 侍女たちの声に勇気づけられたのか、(タン)宮人がくすくすと笑い出す。

(イェ)夫人、顔色が悪いようですね。さきほどまでの自信はどこに行ってしまいましたの?」

 さすがに宋詩安(ソン・シアン)も黙っていられなかった。謹妙(ジンミャオ)の報告内容は、「夏殿に曼陀羅華があった」だけで、「(イェ)夫人が隠し持っていた」訳ではなかったから。

 謹妙(ジンミャオ)は非常に言葉の使い方が上手い。(イェ)夫人が本当に曼陀羅華を隠していたのであれば、だれが・どこに・どのように隠していたかをそのまま伝えるはずなのだ。にもかかわらず、夏殿に曼陀羅華があったという漠然とした報告になるということは、(イェ)夫人が犯人である証拠がなかったのであろう。

「お黙りなさい」

 その一言で、一瞬で、(タン)宮人も(ディン)夫人の侍女たちも静かになった。込められた怒気に怯んだのだろうか。

 そのまま謹妙(ジンミャオ)に報告を続けるように促す。

「曼陀羅華は夏殿の庭園にて発見致しました。他の植物で隠れる場所ですが、鍵もなく、敦親王府に暮らしている者であればいつでも手に入れることが可能な状況です」

「なんてこと・・・・・・」

 (タン)宮人が息を飲む。

「なぜ毒になる植物が庭に生えていたのかしら?」

 宋詩安ソン・シアンの呟きに、謹妙(ジンミャオ)は申し訳ありませんと告げ、肩をすくめてみせた。


 曼陀羅華の件は(チン)医官が主導して調査を続けるということになり、ひとまずその場は解散となったのだった。


謹妙が宋詩安より仕事している・・・・・・。

次回も、有能な侍女・謹妙のターンになる予定です!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ