捜索結果
またまた久しぶりの投稿です。
1刻後。夏殿の調査を終えた謹妙が持ち帰った報告は、頭の痛くなるものだった。
「結論から申し上げますと、夏殿には曼陀羅華がございました」
その瞬間、ガチャンと茶器の落ちる音がした。振り返ると、葉夫人が真っ青な顔で立っていた。言葉を探しているが、何も言えないようだ。
こちらには聞こえないとでも思っているのか、丁夫人の侍女たちはひそひそと話し始める。
「やはり葉夫人が毒を盛ったのかしら?」
「そうでなければ曼陀羅華などを隠し持っているはずがないわ」
「そうよね・・・・・・。そんなに丁夫人を妬んでいらしたのかしら」
侍女たちの声に勇気づけられたのか、唐宮人がくすくすと笑い出す。
「葉夫人、顔色が悪いようですね。さきほどまでの自信はどこに行ってしまいましたの?」
さすがに宋詩安も黙っていられなかった。謹妙の報告内容は、「夏殿に曼陀羅華があった」だけで、「葉夫人が隠し持っていた」訳ではなかったから。
謹妙は非常に言葉の使い方が上手い。葉夫人が本当に曼陀羅華を隠していたのであれば、だれが・どこに・どのように隠していたかをそのまま伝えるはずなのだ。にもかかわらず、夏殿に曼陀羅華があったという漠然とした報告になるということは、葉夫人が犯人である証拠がなかったのであろう。
「お黙りなさい」
その一言で、一瞬で、唐宮人も丁夫人の侍女たちも静かになった。込められた怒気に怯んだのだろうか。
そのまま謹妙に報告を続けるように促す。
「曼陀羅華は夏殿の庭園にて発見致しました。他の植物で隠れる場所ですが、鍵もなく、敦親王府に暮らしている者であればいつでも手に入れることが可能な状況です」
「なんてこと・・・・・・」
湯宮人が息を飲む。
「なぜ毒になる植物が庭に生えていたのかしら?」
宋詩安の呟きに、謹妙は申し訳ありませんと告げ、肩をすくめてみせた。
曼陀羅華の件は金医官が主導して調査を続けるということになり、ひとまずその場は解散となったのだった。
謹妙が宋詩安より仕事している・・・・・・。
次回も、有能な侍女・謹妙のターンになる予定です!