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さてと、あらかた欲しいものはもらったし、上の階も見てみよう。


服屋に、鞄、靴、本屋。


本屋ねー。持っておけばなにかの時に役に立つかな。例えばサバイバル生活に活かせる雑誌とか。



ん??てかなんだあれ。誰もいないのに勝手に本がめくられてる。風とかじゃない。動きが不自然だ。


警戒しながらも、本屋の方に近付いた。



そして納得した。

あ、そういうことね。

本をめくっていたのは、精霊だった。青い精霊。楽しそうに本を読んでは、全身を使ってがんばってページをめくっていたのだ。



集中しているところ悪いけど、私は声をかけた。


「青い精霊さん、こんにちは。邪魔しちゃってごめんなさいね。ちょっとだけ話を聞いて欲しいの。」



青い精霊「む?なにかと思えば、人間ですか。私が見えるのですか。興味深い。」


「ええ、私は精霊さんと仲良くなるためだけにジョブとスキルを決めたわ。半端な覚悟ではないのよ。」


青い精霊「ほう。面白い思考をされていますね。それに、そこの赤い精霊と契約をなされているようだ。なんとも珍しい。あなたが無理矢理頼み込んだのですかな?」



紅「いや、違うね。むしろ俺が頼んだ。アヤは最高だからな。この人間は俺のものだ。」


青い精霊「ふむ。これほど精霊に好かれている人間がいるとは。まあ、それは一旦あとにしましょう。それでアヤさん。話したいこととは?」



「あなたは知識を欲しているわね。そして、物事を理解することに感動と興奮を覚える。私も分かるの。なぜなら同族だから。知識もそうだし、それが何故そうなのかという理由も大切だと思ってる。私と一緒に、そういう瞬間を分かち合えたら楽しいなって。」



青い精霊「それはとても魅力的な提案だ。ですがアヤさん。私はこの知識の宝庫を見つけた。この世界の人間たちが作り上げてきたものは素晴らしい。今もそれを読んで感動していたところです。これ以上に魅力的な条件があると?」



「ええ、もちろんよ。まず1つ。私はここにある本を全て回収出来るわ。このようにね。」



私は手当たり次第、たくさんの本を【アイテムボックス】に収納し、そして一瞬で取り出して見せた。



「これから私といろんな場所を回れば、こういう本屋さん、あ、あなたの言う宝庫のことよ。これからいくつも見かけるはず。私が全部確保してあげる。そのほかにも、私は理系が得意なの。興味があるならいくらでも教えるわ。根本まで遡って、徹底的に本質をレクチャーすることが可能よ。」



青い精霊「あなたは聡明で、そして世渡りも上手とみました。実際、心を動かすのがお上手です。相手の欲しいものを見抜き、どうすれば心に響くかを理解していますね。条件も良いですし、なによりアヤさんに興味がある。ぜひとも、お伴したい。では今度はこちらから聞きます。あなたが私に望むものは何ですか?」



「ありがとう。とても嬉しい褒め言葉ね。私があなたに望むことはひとつだけ。防御よ。攻撃に関しては、すでにエキスパートがいるの。あなたはその観察力と頭脳、知識を活かして私を守って欲しい。それ以外の時間は全部自由よ。」




紅「おいおい、ちょっと待ってくれよ。アヤは俺のものだからな。アヤがこいつも仲間にするって決めたならそれは文句は言わねぇ。だが、1番は俺だ。いいな、青スケ。」



青い精霊「私は、、、青スケですか、、、。まあ、いいでしょう。紅さん、あなたがアヤさんの1番最初のパートナーだ。私はそれを邪魔する気はありませんよ。バチバチせず、協力しあいましょう。それをアヤさんも望んでいるはずです。」



紅「チッ。なんか俺が子供に見えてきたぜ。俺はそんなにバカじゃねぇからな。見下しすぎると痛い目にあうから覚えとけよ。」



青スケ「はっはっは。そんなことを言わなくてもわかっていますよ。あなたの態度や口調だけを見て、馬鹿だと判断する方もいるでしょうが、わたしには分かります。地頭では私も敵わないかもしれない。それほどの方だとね。」


紅「ふん。つまらない奴だなぁお前は。」


青スケ「反省致しますね。」



「ふふふ、二人ともいい感じね。紅、勝手に話を進めちゃってごめんね。でも必要なのよ。防御も大切。より長く一緒にいたいと思っているからこそなの。不意打ちで死んだりしたくないから。」


紅「わかってるよ。さっきのは茶番みたいなもんだから気にすんな。」


「ええ、私も、実は紅が冷静であることも分かってたわよ。感情のコントロールがうまいのね。わざと周りから嫌われるような態度でいるのは、わけがあるのかな?まあ、そのうち教えてね。」


紅「敵わねーな。まったく。」


青スケ「ふむ。あなたたち二人、実に興味深いですねぇ」



そういって青スケは顎に手をやり、ゆったりとうなずくのであった。

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