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こうして、日本で1番大きなダンジョンに足を踏み入れた。
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木村「ヤベェ、ヤベェよ。何が起きたか俺にも分からなかった。」
漆原「そんなに慌ててどうしたんだよさっきから。」
木村「さっきまであそこに、ハイオークと人間の女の子がいたんだよ。」
漆原「は???そんなわけねーだろ。強敵がウヨウヨしてて、近付くだけでも恐ろしいわ。まあ俺たちなら、一対一ならなんとかなるけどな。」
木村「そうだろ、そう思うよな。だから、みんなを集めて救出に行くべきかどうか考えていたんだ。救出だけならおそらく出来ると思った。あの三体は、あの付近から動こうとしないからな。」
漆原「ダンジョンに入ってみたいけど入れない。その原因があいつらが動いてくれないからなんだよなぁ。で、その子達はどうなったわけ?」
木村「ヤベェことが起こったんだよ。最初は、ただ逃げ回っていた。少なくとも俺にはそう見えた。でもな、突然、炎の柱が出現したんだよ。時間にして、1分だ。1分もの間、巨大な炎の柱が魔物を焼いていた。」
漆原「はっ。幻覚だろそんなん。この間のランキング見ただろ?世界1位でさえまだあのレベルだ。仮に世界1位のやつでも、そんなスキル?魔法?よくわかんねぇけどとにかく不可能だろ。」
木村「いや、ほんとなんだよ。お前って、マジで自分の目で見ないと信じねぇよな。
でもまあ聞けよ。その炎の柱のあとには、何も残らなかった。つまりあいつらは、強敵をまとめて二体倒したということだ。」
漆原「はは。お前そこまで言ったら才能あるよ。もし仮にだ、お前がさっき言っていた巨大な炎の話が真実だとする。でもな、殺し切るのは不可能だ。理由その1。デビルスコーピオンには、耐性がある。弱点が無い。それは他でも無い、俺たちが調査したことだ。理由その2。グリフォンなら、余裕で逃げられる。そして完璧なタイミングで戻ってきて返り討ちにされるだろうよ。」
木村「俺にも、そんな常識くらい分かっている。それでもその常識が破られたからヤベェって言ってるんだよ。その証拠に、三匹いた強敵が、今では一匹も見当たらない。」
漆原「俺は【視力強化】もってねぇからな。双眼鏡を持ってくるか。」
どうやら漆原も、少しずつこのあり得ない出来事を信じる気持ちが出てきたようだ。
俺たちのグループは、東京最大の最前線集団だ。
確定では無いが、俺たちの情報網は広い。もしも俺たちよりもデカイグループがあったなら、さすがにわかる。
最低でも15レベル。ジョブも、メインジョブのレベルはカンストしている人がほとんどで、サブのジョブも2つ3つ習得している人が珍しくない。
加えて言えば、【アイテムボックス】持ちが2人もいる。食料問題に悩むことが無いというのも俺たちの強み。
そいつらは、いわゆるファーストスターター。俺は呑気に仕事をしていたが、そいつらは夢のお告げを信じて、愚直に言うことを聞いた結果、ボーナスとして強力なスキルを選ぶことが出来たらしい。
あと、俺たちの知らない知識もそいつらから教わった。それが無かったら俺たちの攻略スピードはもっと遅かっただろう。
とにかくその2人は、このグループのトップに位置している。その2人のおかげで助かっていると言えるのだが、ストレスなのは、その2人が威張り散らしているところだ。
【アイテムボックス】を持っているやつには逆らえない。それは分かっているのだが。
まあそんなわけで、全部で30人近くもいる最前線グループの1人が、俺ってこと。
交代で近くを見張ったり、情報を集めたりするわけだが、【視力強化】を持つ俺にはとくにその役目が回ってくる。
現在は、ダンジョンを守っている三体の強敵を見張っていたところだ。




