名探偵の血 その3
だが。
探偵の称号のレベルが伸びない以上は学問のレベルを上げて少しでも収入の足しにするしかないのだ。
と、思っていたところに扉が開いた。
「…これ学校?」
校庭はだだっ広いのに酷い校舎だよね
へー、とボヤキながら妻越ハルヒが中に入り颯希の前に立った。
「いらーい」
探偵のお仕事見つけてきた
「モバイル授業より優先度高いと思うよ?」
颯希は驚いて
「え!?本当に仕事見つけてきたの?」
と立ち上がった。
ハルヒはにっこり笑って
「もちろん」
と言うと
「場所は出雲市駅南町で出雲駅南町マンションの305号室の住人の坂田治人さんが案件の依頼者」
と告げた。
颯希は天井に向かって両手を組むと
「おおおお」
初めての依頼!
と感動した。
ハルヒはそれを見て
「…初めての依頼って…マジ初めてなんだ」
と心で突っ込んだ。
ハルヒはふっと笑むと腰に手を当てて
「じゃあ、探偵としての心得を一つ」
先ず案件を詳しく聞くことだね
「事件解決の糸口はやはり情報だから出来るだけ質問をするように」
と告げた。
颯希はハッとすると
「…メモとった方がいいよね」
と告げた。
ハルヒは肩を竦めて
「取り敢えず家に戻ってからだね」
と告げた。
颯希は頷いて
「了解!」
と答えた。
それを見ながらハルヒは心の中で
「これは、探偵教育からだな」
一色君の末裔だから探偵の素養があると信じたい
「まじ、一色君……頼むよ」
と呟いたのである。
分校の掘っ立て小屋を後に2人は30分ほどかけて歩き、海岸の松林と道路を挟んで向かい側にポツンとある二人が生活するボロッタの鷹取アパートの中へと入っていった。
颯希は机からノートパッドを取り出しペンを構えた。
「じゃあ、案件の内容をお願いします」
そう告げた。
ハルヒは頷くとパソコンを立ち上げて画面を見せると
「依頼者は先にも言ったけど出雲市駅南町で出雲駅南町マンションの305号室の住人の坂田治人さん」
内容は彼の会社の従業員がここ数か月で3人ほど行方不明になっているということで調べてほしいということ
と告げた。
彼はちらりと颯希を見た。
颯希はムンと息を飲み込んだ。
恐らく試されているのだろう。
探偵としての素養だ。




