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おっさん異世界でフグをさばいていたら伝説になる  作者: 北真っ暗
1つ目の伝説

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第46話 採掘中

 まずは、3人は手慣れているゲイルにお手本を見せてもらう。

「見て覚えろ。岩肌の層によって石の出方は違う。力任せじゃなく、響きを感じて割るんだ」


 そう言って軽く振りかぶり、ピッケルを岩に叩きつけ、岩肌を割ると、ゴロリと石の塊が転がり落ちた。

「まずは、こうやって岩肌を削っていけ。それぞれ持ち場は距離をとったほうがいい。どこに価値のある鉱石が多く含まれる層があるかは、削ってみないとわからんからな」


 調べたところ、石の価値は黒色や白色は価値が低く、黄色、紅色の順に価値が上がっていき、蒼色や紫色は非常に価値が高い。ある程度削った後にそれぞれで鉱石が含まれているかを確認していく作業のようだ。そこだけをずっと掘ればいいわけでもないようで、ある程度掘ったらもう出てこなくなったこともあると聞き、4人はバラバラになって、ピッケルを振るい始めた。

 

 最初は要領が掴めず、岩に弾かれて腕がしびれることもあったが、慣れるにつれ削り方も滑らかになっていく。特にコリーとリンは女性としては腕力がある方で、リズムよく岩を砕いていた。


「こうしてると、ちょっと職人になった気分ですねぇ」

 額に汗を浮かべながら、コリーが楽しそうに笑う。


 ゲイルに洞窟内の危険について確認をすると、大抵は、コウモリやトカゲのため、そこまで気にしなくても意図的には襲ってこないという。注意すべき生き物をあげるならば、甲冑ムカデという生き物。鉱石を捕食する習性があることから、歯がするどく、外皮も硬い。ただ滅多に出会う事がなく、それ自体が価値のある鉱石と同等のため、大きいものはむしろ出会えたら幸運とも言われている。

 そんな話をしていくうちに、4人の足元にはごろごろとした石の塊がたまりはじめる。一旦、休憩をかねて、それぞれの石を1つ1つ色を確認していく。


 ナカムラは石を一つ拾い上げて確認する。黒ずんだ表面は鈍く光るだけで、価値は低い。

「黒か……外れだな」

「おなじ」

 リンも同じく、白っぽい石を軽く弾いて見せる。


 ゲイルは自分の収穫を掲げた。

「ふむ、黄色っぽいな。まぁまぁってところだな」


 それぞれの成果を見比べていると、コリーが突如声を上げた。

「ん~っんん!? ゲイルさんゲイルさん、これ紅っぽくないです?」


 差し出した石をゲイルが覗き込み、目を細める。

「ほぉ……嬢ちゃん、やるな。これは紅鉱石じゃ。掘ってた場所に同じやつが眠ってる可能性が高い」


「ほんとですか! やったぁ!」

 コリーは飛び跳ねんばかりに喜び、すぐに自分の持ち場へ戻ろうとした。


 だが、その肩をリンが押さえる。

「待って」


「え、なんですかぁ? 一緒に掘ってもいいですよ~」

 首をかしげるコリーに、リンは答えず耳を澄ませた。

「……這ってる。大きい」


 ナカムラが息を呑む。

「さっき言っていた甲冑ムカデか?」


 洞窟の上部、結晶体の隙間から響く金属音。四人が一斉に見上げる。

 そこにいたのは、全長2メートルを超える巨大なムカデだった。赤く輝く外殻は金属めいて硬質で、動くたびにぎらりと反射する。無数の脚が岩肌を這い、洞窟全体を不気味に揺らす。


「うわぁ……!」

 コリーが嫌悪感から身を震わせた。


 ゲイルは逆に口角を上げる。

「嬢ちゃん残念だったな。こっちの方が運がいい!滅多に出会えるもんじゃない。売れば鉱石一山分の価値があるぞ!」


 斧を構え、臨戦態勢に入る。

 リンはナイフを抜き、瞳を細めた。ナカムラは即座に仲間へ声を飛ばす。


「牙と分泌液に気をつけろ!毒だ!」

 ちょうどその言葉を裏付けるように、甲冑ムカデの口から黒緑色の液体が滴り、岩を焦がした。ジュッと煙が立ちのぼる。

 次の瞬間、ムカデが天井から飛び降りた。無数の脚が地面にあたり、金属音を鳴らす。


「来るぞ!」

 ナカムラが叫んだ。


 狭い洞窟の中、逃げ場は少ない。だが彼らは迷わず武器を構えた。

 結晶体の光を浴びて赤く光る甲殻。黒緑の牙から滴る毒液。

 こうして、予期せぬ遭遇戦が幕を開けたのだった。


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