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待ち構えるモノ

「それでは開くぞ!」

アリスさんは門の中央に歩み寄ると、両腕に魔力を集中させた。

そして扉に両手のひらを押し当てると、一気に魔力を流し込んだ!


ゴゴゴ……‼︎‼︎

耳障りな轟音をあげ、錆びついた歯車が火花を立てて回る。

絡み付いた蔦をぶちぶちと裁断しながら、ゆっくりと扉が開いていく。


扉の隙間から埃混じりの乾いた風が吹いて、私とアリスさんの長い髪がバサバサとたなびく。

私は耐え切れずに、思わず目を閉じてしまう。


やがて風が収まり、私はゆっくりと瞼を開いた。

どうやら扉は完全に開いたらしい。


扉の中にあったもの。

それは真っ暗で幅が広く、天井の高い通路だった。

大型のモンスターでも楽々通れそうなほど巨大な通路。

目を凝らすと、奥の方から微かに光が見える。

あれが出口だろうか?


私たちは持参したランタンで足元を照らしながら、ゆっくりと慎重に通路を進んだ。


……歩き続けてもう十数分たっただろうか?

真っ暗で平坦な道をまっすぐ歩き続け、ようやく出口の光が見えてきた。


私たちは用心しながら通路の出口を抜ける。

視界が開け、眩い陽射しが暗闇に慣れた私たちの眼を苛む。


しばらくして、強烈な陽射しにようやく目が慣れてきた。

私は眼前に広がる広大な景色に思わず声を失った。


通路を抜けた先にあったもの。

それはとてつもなく巨大な古代の闘技場だった。


城下町がまるごとすっぽり収まりそうなほど巨大な円形の広場。

それを見渡せるように外縁部に配置された観客席。

あちこちに散らばる、損壊した機械部品の数々。


「ここはおそらくドワーフの闘技場じゃな。古い文献によると、ドワーフたちはこの闘技場で機械人形たちを戦わせ、それを見世物にしていたらしい。」

「闘技場……。」

「さっきの通路は、おそらく大型機械人形の搬入口じゃろうな。」

「なるほど。」


私たちは周囲を警戒しつつ、闘技場の探索を始めた。

「ステラ、ロボ丸!索敵お願い!」

「了解ロボ!」

「りょーかい、マスター!」

ステラとロボ丸が私の胸ポケットから飛び降り、武器を構えつつ警戒を始める。


さて、何から調べようか?

私は周囲をキョロキョロと見渡す。

まず目についたのは、辺り一面に散らばった巨大なスクラップだ。


まるで天を掴むかのように突き出された、巨大な機械の腕。

地面から半分顔を出した、ドラゴンの頭の様なもの。

ねじ曲がった大砲の砲身。

首のない歯車仕かけの巨人。

ひび割れた巨大なレンズ……。


どうやら相当な年月が経過しているらしく、どれもこれも錆や植物に覆われている。


「兵どもが夢の跡……か。」

いったいこの場所で、どのような闘いが繰り広げられていたのだろうか?

私は鋼鉄の巨人たちが繰り広げる壮絶な闘いを脳裏に描きながら、何か目ぼしいお宝はないかと目を皿の様にして探し回っていた。


「う〜む、特に目ぼしいものはないみたいね……。」

何かお宝でも見つかるかと思ったけど、どうやら期待外れみたいだ。


「もう少し奥まで行ってみようか?」

私たちは荒涼とした景色を眺めつつ、闘技場の中心部まで歩いて行った。


途中、行く手を遮るスクラップを迂回しながら進み、闘技場の中心部にたどり着いた時にはすでに一時間以上過ぎていた。


闘技場の中心部。

様々なスクラップに囲まれる様に、漆黒のモノリスが浮遊している。

そこには私たちが見慣れたものがあった。

「ダンジョンメダル……!」


モノリスの中央に、虹色に光るダンジョンメダルが嵌め込まれているのだ!

思わず手を伸ばしかけたが、一瞬躊躇してしまう。


おそらくこのメダルを取ると、何かが起こるような気がする。

またあの時の蜘蛛の様な強敵と闘う羽目になるかも知れない。


しかし、今の私はあの時とは違う。

パワーアップしたロボ丸にアリスさん。

そして何より、ステラという強力な相棒がいるのだ。


私は後ろを振り返り、パーティーのメンバーに目配せする。

アリスさんは静かに頷くと、魔導書を構えた。

ステラとロボ丸は既に戦闘準備万端だ。


私はメダルに手をかけ、モノリスから引き抜いた。

カチャリという音と共にメダルはすんなりと外れた。


ゴゴゴゴゴゴ……‼︎‼︎

突如、轟音を立てて地面がグラグラと揺れる。

どうやら、メダルを取った時に何かのスイッチが入ったらしい。


「マスター、あれ見て‼︎」

私はステラが指差す方を見た。

砂煙を上げ、巨大な煙突の様なものが地面から生え出ている。


それも一本や二本ではない。

何本もの煙突が、闘技場のあちこちから生えているのだ。


そして、煙突の側面に無数の丸い穴が空き、そこから球状の物体がポロポロと勢いよく飛び出してきた。


球状の物体は地面に落ちると、カシャカシャと音を立てて変形を始めた。


球状の胴体に、四本の尖った長い脚を生やしたその姿は、私たちが以前戦った『蜘蛛』によく似ていた。















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