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短編読み切りSF小説『意外な理由。2023 Japan』

 政治家の秘書をしている僕はあの日から大分落ち着いた後、対立する政治家の秘書と話し合っていた。

 正確には政治的な意図は存在せず、彼はと言えば幼い時からの単なる友人と言うか、親友で、昼ご飯をよく食べにいく店で5年ほど前に再会し、お互いの現状を知り、時折話し合うようになったのだ。

 僕はと言えばよく食べに来るがそれほどこの店には深く関係していないが、彼はと言えば関係し、顔と名前、それに仕事なども知られ、僕のことも知られ、この日も来ると彼が来ていると所定の場所に通された。

「よく来たな♪」

「お前な?」

「まあまあ座れよ? それとおごるよ。ゴチソウが来るぞ~?」

 顔をあわすと彼は上機嫌と言うか、イタズラっぽい子供のような笑顔でむかえ、こんな時だぞ考えろと言うように僕が返そうとすると彼は座れと言うように合図しながらそんなことよりと言うように言った。

「そっちの先生元気? と言うか、言うまでもないよな? さぞかしご立腹だろうな? 3年天下! 政権掌握して軍隊復活させたのにせっかくの徴兵制が3年で廃止だもんな?」

「逆に落ち込んでるよ。ひどくね。毎日こんなはずはないって言ってる。」

 座る途中で彼はと言えば笑顔で聞き、僕はと言えば笑顔でいられないと言うように返した。

「軍隊も自衛隊へと再編成、憲法も改正前へと戻り、後は海外にいっている自衛隊員だけだな。」

「そうだな。」

 僕と彼が話していることは言えば、2020年の大規模な法改正で、軍隊の再配備や徴兵制の復活、そして立案者と言うか、僕の雇い主の政治家の話で、現状はと言えば法改正前に戻る方向へと進んでいるのだ。

 彼はと言えばほかにも問題はあるがと言うように続けたが、僕も一段落だと言うように返す中で、食べ物が運ばれてきた。

「昼間っから豪華だな―――?」

「お前の分もあるよ? オレのおごりってさっき言ったじゃん。それに内心反対そうな顔してたじゃんお前。」

「―――反対とは言ってないよ。だけど徴兵制はやり過ぎだと思ったんだ。母さんのこと知らないとは言わせないぞ?」

 見ての通りの大量で豪華な食事で、昼間からこんなに食べるのかと思っていると僕の方にも同じようなさらば運ばれてきて、彼はと言えば上機嫌で、僕はお前の動きにあわせられないと言うように返した。

「おばさんとまだケンカ中?」

「―――法改正決定後電話あった。天罰だとさ。絶対そうとは思えないけどね。」

 僕の母は熱心なカトリック教徒で、僕の雇い主をよくは思っておらず、法改正少し前から疎遠になっていたが、このほどの法改正で母はと言えば、聞かれ、答えた通りで上機嫌で接してくるようになった。

 母に何度も止めろと言われていたが、実は母と離婚した父の後ろ盾があって就職できた仕事で断りにくく、女で1つで育ててくれた母には恩もあり言えないで、就職難の時代に手伝ってくれた父の恩義もあるで僕は板挟みになっていたのだ。

 父はと言えば離婚後時折会っていたのだが普通の人と言うか、悪いが母が少し異常と言うか、歳を重ねるに連れて理解できる以上の宗教狂いに近く、僕を牧師にする予定だったそうだ。

僕に影で父に母に注意しろと言われ育ち、母はと言えば厳しく、僕はと言えば従いながらも自らの意志を通していたが、僕は入りたかった自衛隊には入れず普通の会社員として働き、母の夢の牧師にもなれず、父の推薦で現状にいたっている。

「だけど、意外な理由だったよな?」

「?」

「まあ、とにかく食えよ?」

 現状に不満がないと言えばうそになるが一応は順風満帆と言うか、普通な人生で、2人を何とか仲よくできないかと軽く考えていると、彼は食べながら言い、僕が何かと思う中で彼は食べろと言うように勧めた。

「徴兵制の反対の原因だよ。知ってるだろう? 子供が真似するからって?」

「知ってるよ。兵役免除法で免れる人間が改正直後から存在した。合法的にサボってるから子どもたちも学校とか塾とかに合法的なサボり方を探し始めた。怠惰な人間を育てる結果になったらからだろう。」

「反対運動の署名の多くは子持ちの女性、それでも3000万人以上だ。免除法はネットにも出回りまくってるしな。」

 食べながら彼は言い、僕も食べながら返し、彼は続けた。

 無作法にも思われるがここは和食料理専門店で、敷居も設けられ、行儀などでは注意されそうにはなかった。

「軍隊って言うと規律正しい人間を強く厳しく育てるとか、武器持って戦うとか、命を賭けるなんて職場なのに徴兵制のおかげで大逆転だよな?」

「免除者は80%、その内80%以上が免除法を使って免除された。軍隊って嫌われているんだよな。憲法9条もあったから当然だろうけどな。」

「ま、これでそっちの先生が提唱していた案はおしまいだな。再考するにしても短くて半世紀、長くて100年は必要だな。」

 彼はと言えば本当に意外だと言うように続け、僕もそうだねと言うように返し、彼はまたしてもこれはと言うように返した。

「―――そういやおじさんホントいい人だよな? オレにもこんな仕事紹介してくれたし、お前とも再会できたし、給料もいいしな。」

「まあね。」

「最悪なのはお前の現状と、オレの方と対立してることと、おじさんが定年退職することだよな。そろそろ。」

 彼も実はと言えば父の推薦で働いているそうで、僕が母の話はしたくないと言う表情の中で話しを少し変えようと言うように言い、僕が答えると、彼はだけどと言うように返した。

「なあ、お前こっち来ないか? そっちヤバいだろ? 立て直すにしても悪くなるぜ? それにお前の親父さんに説得してくれって頼まれちゃってさ? もう話はこっちは通してんだ。後はお前次第なんだ。」

「―――――」

「おじさんは最後の仕事としてと言ってるんだ。将来安泰だぜ? くそまじめなお前も時には裏切るってことを知れとも言ってたよ。それにこっちいい子たくさんいるぞ?」

 返す中でそう言えばと言うように言い、僕が突然なんだと思っていると彼は迷うなよと言うように返した。

「すぐにとは言ってないよ? 潰れた後でもいいんだ。だけど親父さんの後ろ盾がないとちょっときつくてさ、定年すると。オレもそれほど世渡り上手じゃないの知ってるだろう? PCの資格あるからいられるんだ。だけどお前資格は大丈夫だろう?」

「―――まあ、そうだが―――」

「もったいないことすんなよ? 自衛隊入れなかったし徴兵制の年齢も過ぎちゃってたし、廃止されるし、これ以上悪いこと続くお前なんて見たくないんだよオレは? 親父さんとのことでオレはお前をもうある意味義兄弟だと思っている。考えても見ろよ、兄弟?」

 迷うなよと言うように彼は徹底的に続き、僕も言われた確かにそうだがと返す中で、彼はと言えば迷う意味がもうわからないと言うように返した。

「―――考えておく。自衛隊に未練が無いと言えばうそになるが、徴兵制には残念だった。前向きに―――」

「そう来なくっちゃ!?」

 熱心に働いていたこともなく誘われて見れば未練もなく、僕も夢破れた身で、彼の言葉も少し心地よく聞こえたで、僕はすぐにではないが一応は賛成だと言うように返す途中で彼はその言葉を待っていたと言うように返した。

 彼はと言えば子供のような笑顔で、僕はと言えば彼に疲れた中年の笑顔を向けていると思った。

 日本と言うか、僕と言うから、彼らもかもしれないがどうなるかわからないが、徴兵制が廃止された以上、この国を軍事政権を掌握することはないことは確かだった。


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