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短編読み切りSF小説『人を導くもの 24 Apr 2055 Japan』

 ジャーナリストと名のった彼は僕に同意を得ると、録音を始めた。

 関係なんてかけらもないと思っていたことに巻き込まれた僕は警察に任意同行を求められ、警察署で事情を話された中で初めてその事情を知り、少し疑われはしたが、一応は潔白が証明され、解放された。

 解放された中で、僕が事情を聞かれるほどとはと思い情報を集めて見ると、僕と言うよりも、世の中が思った以上にまずいことが起きているようだった。


『SNSサイトに破防法適用 日本人登録者数最低3000万人以上が容疑者』


『過激派勢力残存、不明確な分別で誤認逮捕300万人突破 警察官逮捕者も』


『被害地は『聖地』、国民意識変化、過激派支持者の中には政治家も』


 取材を求められた僕はと言えば同意し、彼はと言えば机の上に事件に関係した記事や雑誌、関係した書物をおいていて、僕はと言えば、本当に恐ろしいことに巻き込まれたと言うか、すごいことになったと思った。

「じゃあ君はLineみたいに普通に登録して、普通に使っていて、ある日警察が来て任意同行を求められたんですね?」

「そうですね。まあ、だけど? なんていうか、そのサイトから、事件に関係するような、そうかはわからないんですけど手伝いと言うか、管理みたいなことをしていましてね? 生半可な知識でそれなりで、あー?」

「そりゃ混乱しますよね?」

 彼はと言えばあらためましてと言うように聞き、僕も録音するならばと言うように少し明確な受け答えで返すが、少し言葉に詰まるで、彼もそれはわかりますと言うように返した。

「でも、そう言えば、あなたも使っていたんでしょう? たしか、えっと―――」

「『journalist2000』です。『Captain3』さん。」

「その名で呼ばないでくださいよ?」

 返す中で僕は彼もあのSNSサイトを使っていたことを思い出し、聞くと彼は改めてと言うように名乗り、僕のサイトでの名前を口にしたが、僕はと言えばここではまずいですよと言うように返すしかなかった。

「でも警察もおどろいたでしょうね? サイト内の実質上のナンバー3が未成年な上、まだ当時中学生で、証拠不十分で潔白で釈放となるなんてね。」

「僕もおどろいたけど、警察の人もこれから大変でしょうね? 僕みたいな人もいれば、『敬道一審』、本当の名前は池崎義夫でしたっけ? あんな人もいるんですからね?」

「警察はもう魔女狩り状態みたいだね。登録者全員調べてるみたいだ。冤罪も少なからず出るだろうし、罪を免れる人間も多かれでる。ナンバー5の『Patriot555』、中田幸生さんは海外に逃亡中だ。」

 彼は気持ちはわかるけどと言うように続け、僕はだけどそれよりもと言うように返すと、彼は関係してと言うように言葉を続けた。

「だけど、本当に信じられませんよ。テロの片棒担がされかけてたなんて―――」

「テロなんて海外の物だって思っちゃうからね? 破防法だって適用はこれで2回目、できたのも100年ぐらい前、それに君は片棒担がされかけたって言うよりも、濡れ衣着せられたって言うのが正解だね。」

 僕はと言えば疑われたのがまだ信じられない状況で、彼はと言えば仕方ないよと言うように返してくれた。

「―――そう言えば、言ってましたね? いつでしたっけ?」

「法制定が自衛隊ができた当時と同じ時だからさっきも言った通り100年ほど前、適用されたのが半世紀、いや60年ほど前かな? 平成一ケタの先輩が教えてくれたよ。事件に関係して。」

「平成一ケタって、もうおじいさんじゃないですか? どれだけ昔なんですか?」

 正確には破壊活動防止法と呼ばれる法律だが、破防法と言われ、先ほど彼が僕に言った『Captain3』の名前で登録していたSNSサイトに適用されたのだが、他にも適用された話を聞かなかった。

 聞いて見ればで、彼もそんな法律があったんだよねと言うように返し、僕はと言えば話を聞き、そんな昔の法律を話されても困ると言うように返すしかなかった。

「だけど、適用されて、よかったんでしょうね? 現状を踏まえると―――」

「そうだね? 東京はほぼ壊滅、他の都市部も一部が内戦や紛争、テロ多発地帯になっている。警察もお手上げで自衛隊もてんやわんやでアメリカも軍事的援助を表明したそうだ。僕が取材ができたのも君がここに、四国いたおかげだ。」

「ニュースとかですごいことが起きてるって聞きますけど、ここは何も変化がないですからね?」

 昔のことだとは言ったが、無ければまずい状況で僕が思い返して見ればと言うように言う中で、彼も同意すると言うように返し、僕は改めて起きたことを頭の中で整理していた。

 事件以来日本は大きく変わり、彼の言う通りで日本は現在内戦やテロが多発している。

 発端は僕の登録していたSNSサイトだが、啓発された人間たちが大きく動き出し、警察や自衛隊の中にもそう言った動きに加担する場合も多いそうで、僕の住んでいる場所はひどくないが、かなりひどくなっているそうだった。

「まあ、でも、警察にも連れていかれたが潔白は証明された。退会はした。ここは安全で、君への取材でこのことは終わりだね?」

「そうですね。」

 整理している中で彼は問題は多いけど、君は問題ないねと言うように言い、僕はよかったですと言うように返した。

 警察も現状的には危険だが、僕の住んでいる場所はと言えば、外を見ると交通整備や検問、パトカーの走り回る姿が増えたなど、多少警備する人間は増えてはいるが平常通りだった。

「だけど、これからも気を付けないといけないんだよね?」

「?」

「同じことが起きないようにね。」

 返す中で彼は本当に終わらないと言うように返し、僕がどういう事ですかと言う反応の中で、彼はここで終っては困ると言うように返した。

「―――まさか?」

「まさかなんて言えないよ。君を信奉していた人間は数多く存在する。誇大妄想を膨らませて逮捕された君を偽物や偽装と思う人間もいるかもしれない。そしてそれは敬道一審だって同じだ。」

 僕が2度とないですよと言うように返す中で、彼は油断したらダメだよと言うように返した。

 一時的なもので、長くて数か月だろうと考えていたが、彼はそうは問屋が許さないと言う表情もしていた。

「―――キリストって知ってる?」

「神さま、でしょう?」

「違うよ。本来は人だ。2000年以上前に実在した人物だ。」

 彼は少し間をおくと僕に質問し、それならと言うように答えると、彼は少し違うと言うように答えた。

「あ、そうなんですか―――?」

「キリスト教は世界3大宗教の1つって言うのは知ってる? 世界で最も宗教人口が多いトップ3、彼はその創設に関わってる1人なんだよ。」

「―――何が言いたいんですか?」

 聞かれるとそうなのかと返すしかないが、彼はと言えば話を続けるが、僕は意図が読めず聞いた意図を聞くことにした。

「最初は1人だったんだ。だれでもね。だけどね。人を導いた。そして数多くの人間が導かれた。これは君にも似た部分がある。そして、君がキリストを神と言ったように、普通の人間として見なくなる。」

「―――?」

「よく言えば尊敬、悪く言えば妄信、そして洗脳、理想化、神格化だね。」

 聞かれるならと言うように答え、僕が余計にわからないと言う表情の中で彼はさらに続けた。

「敬道一審だってその1人だよ。彼は罪状を踏まえて死刑は避けられない。そして良くも悪くも歴史に名を残した。」

「―――何が言いたいんですか?」

「本人や本物、本来と言う垣根を超えて人間は理想像を造りだすんだよ。同じことがまた起きるかもしれない。君ではないかもしれない、だけど、君の知っているだれかかもしれない。はたまた赤の他人でも君の知っている人間の知っている人間かもしれない。」

 続ける中で余計にわからず整理させてくださいと言うに聞くと、彼は少し考えればわかることだよと言うように返した。

「それと、キリストを話に出したけど、キリストが本来犯罪者だって言うのは知ってる?」

「犯罪者?」

「―――と言うよりも当時はと言う方が正解かな?」

 同じことが起きると言いたのかと思っていると彼は質問し、僕がどう言うことかと聞くと、彼はこの言い方は少し違うかと言うように言った。

「キリストって言うと十字架を想像するだろう? はりつけられた絵、あれは処刑されているんだ。そうは言っても、現在の基準で言うと言うか、当時の基準で現在であれば罪であるかと言う領域だけどね。」

「あの―――」

「ごめん。むずしすぎるけど最後まで聞いてほしい。」

 彼はと言えば待てよと言うように言い、僕はと言えば長くなりそうだなと言うように聞くと、彼は待ってもうすこしと言うように続けた。

「まあ、戦前で言う思想犯ってやつかな。歴史を調べてみて? だけどね。そんな人が時を超えれば神として扱われる。犯罪者が神さまになるなんておかしいだろう?」

「確かに、そうですね。」

「もう少し深く踏み入ろうか? アドルフ ヒトラー知ってる?」

 彼は続け、僕に対して考えても見てと言うように聞き、確かにそうだけどと言うように返す中で彼は理解していないからと言うように僕に質問してきた。

「第2次世界大戦のドイツで―――」

「そう。あのヒトラーだ。戦前ドイツのナチスナチズムゲシュタポで悪名高いね。だけど、彼だって最初は1人だ。そして何十と言う人間を超えて、1つの国家を導くことができた。そして死んだ。」

 聞かれたならと言うように僕が答えると、彼はそれで間違いないよと言うように返した。

「キリストと何の関係があるんですか?」

「人にはそこまでできると言う見本とも言える。キリスト同様にね? それと、君ぐらいの年齢だ。興味を持っている子はいないかい? ハイルヒトラー、なんてね?」

 話しが違う気がすると思うと言うように僕が返すが、彼はと言えばそうでもないかもと言うように返し、返す途中で片手を上げ軽く笑った。

 学校などの資料で見たことがあるが、確かあの動作はヒトラーが見せる動作だと気付いた。

「いますけど―――」

「最初は1人だったって言ったけど、興味本位だって同じだよ。そして看過されて行くんだよ。そして仲間を求める。そして同じような人間たちが増えていくんだ。」

「類は友を呼ぶと言うことですか?」

 言われたら確かにと言うように僕は返し、学校の同級生の中で一部変りものの人間たちが話していたことを思い出している中で彼はその後はと言うように言い、僕はそれはこう考えていいですかと言うように聞いた。

「そう言えばいいかもしれないけど。考えて欲しいんだ。君はそれに導く人間なりかけた。そして導かれた人間たちは数多く存在する。そして、彼らの中で君と言う偶像は生き続けている。」

「―――」

「人を導くものはね、どんなものかは結局わからないんだよ。だけどね。だれしもが人を導くものになれる可能性を秘めている。」

 彼はと言えば少し違うと言うように返し、僕が聞いている中で、道理はえていると思うと言うように言った。

「―――それに、この時代では、とも言うかもしれないけどね。」

「この時代?」

「キリストもヒトラーも、そして前回の破防法の適用もだけど、SNSサイトなんてなかった時代みたいなんだよ。携帯やPCもね? そんな時代だからこそすごいけど、そう言った人間がこれまで表舞台に出られる機会がなかったとしたら?」

 彼は言い終えた後で考えたが、これはもと言うように言い、僕がどういう事かと聞くと、彼は考えても見欲しいんだけどと言うように言い、最後に質問した。

「自分の言葉や姿、技術を世界中に発信できる時代だ。人を導くものが、名言、格言、思想や外見、それに能力でないとしたら? 偶然? 奇跡? 幸運? 君はどうしてあのサイトでNo3になれて現状にいたったんだい?」

「―――――」

「君が適合しただけと言うか、第2、第3の君は生まれる可能性はあるよ? 同じ事件も起きるかもしれない。だけど、君がもう1度ならないように祈ることしか僕にはできないからね。これに気を付けてと言いたかったんだけど理解できる?」

 質問したが答える間もなく彼は考えても見て欲しいんだけどと言うように続け、僕はと言えば確かにそれはと言うように考えている中で、締めくくりにと言うように質問し、僕は首を軽く縦に動かした。

 彼はと言えば君は危なかったんだよと言うような表情で、僕はと言えば真剣に考えていないと言うわけではないが、こうやって教えられると、恐ろしいことにあっていたのだなと再認識した。

 言葉が思い浮かばず、僕は再度彼に向かって頭を下げていた。

 

 彼とはその後2、3言葉を交わした中で取材は終わり、僕は帰路につく中で改めて自分の身に起きたことを考えていた。

 手違いや勘違い、因縁とも思い、潔白も証明され、警察を基本に世の中の人たちが大変だなと他人事のように考えていたが、僕は改めて問題の渦中にいることを再認識して、帰路の途中のコンビニで事件に関することが書かれた雑誌を買っていた。

 歩きながら読むのは携帯と言いよくないと思い、帰ってからも読みながら考えてみようと思いながら、僕は家の玄関の扉を開けていた。

「ただいま。」

「―――お帰り。」

 玄関の扉を開け、中に入り帰ったと言うように言うと、少し遅れて母が姿をあらわし、僕によく帰って来たと言うような表情をしていた。

「どうだった?」

「うん。大丈夫だった。軽く話聞かれただけ。」

 母はと言えば取材のことは無論聞いていて、心配したと言うように聞く中で、僕は問題はなかったと言うように返した。

 実際問題何もなかったとは言えないのかもしれないが、これは僕の問題だと思ったし、僕はと言えばコンビニで買った雑誌は服の中に隠していた。

「そう。それならよかった。」

「うん。ごめんね。母さん?」

「いいのよ? もうやめたんでしょう? 警察の人もいいって言ったんだし、この話はもうおしまい。ご飯にしましょう?」

 僕の言葉を聞いた母は安心したと言う表情をみせ、僕はと言えば事件のことと、雑誌を隠していることもふくめあやまる中で母はもういいからと言うように言い、キッチンへと戻って行った。

「―――そう言えば、おなかすいたな―――」

 帰る途中まではと言うか、言われて見ればで、時間的にも夕食で、僕はおなかがすいていることに気が付いた。

「―――あ―――」

「あ、どうも―――」

「どうも―――」

 ご飯なんだろうなと思いながら靴を脱いでいると玄関の扉が開き、お客かなと思い眼を向けると、母の恋人で、僕と眼が合うと不味いと言う表情で、僕はと言えば普通にあいさつをして、彼も遅ればせながらと言うようにあいさつした。

「あ、きてくれたの?」

「あ、お邪魔します―――」

「お邪魔だなんて―――」

 彼はと言えば僕の父親ではなく、表向きには母の仕事の同僚で、仕事の関係で幼い時からよく家に来ていたと言うか、小学校中学年ごろにはそう言った関係になっていることには気づいていた。

 声を聞いた母はと言えば普段通りで、仕事の時と同じ表情と言うような反応で対応し、彼はと言えば家族水入らずの中で申し訳ないと言うように母に言うと、母はとんでもないと言うように返した。

「母さん? ご飯なに? あ? 食べて帰りますよね?」

「ああ、そうだね―――?」

 靴を脱いでいる途中だったことを思い出し、脱いで玄関に上がる中で僕は彼に聞くと、そうするよと言うように返した。

 僕はと言えば、母との関係はもう知っていますから遠慮しなくていいとも思って対応しているが、彼はと言えば僕と顔をあわし話すと完全な他人行儀で、関係上か後ろめたいと言う表情をしていた。

 ご飯も時折食べているで、家族ぐるみの付き合いと言うのが幼い時から暗黙の了解だった。

「―――なんかおいしそうなにおいするけどって―――」

「―――ああ、ごちそう。だね?」

「そうですね?」

 僕の父親はと言えば僕が物覚えつく前になくなり、母はと言えば女手一つで僕を育て上げ、感謝もしていて、僕がいなければ母はこの人の幸せになっていたんだろうかと考えることがある。

 考えるとは言え僕は存在するで、彼が来るとだが、僕は邪魔な子かなと少し思いながらキッチンに行くと、おいしそうなにおいがただよっている上、テーブルには大量な上少し凝った料理が用意されていた。

 僕がこれはと言うように反応する中で彼も同意するように言い、僕もそうだと言うように返した。

「どしたの、母さん? これ―――」

 祝うようなことは特に無いで、聞こうとする中で母が僕を抱きしめた。

「あなたの子よ。」

「?」

「え?」

 抱きしめる中で彼に対してだと思うが母は口を開き、僕が何か言ったかと思っている中で、彼も何のことだと言う反応をしていた。

「え? 母さん?」

「ごめんなさいね? 突然? だけど、どうしてもうれしくって―――」

「?」

 意図が読み込めず僕がどうしたのと聞く中で、母はと言えば悲し気だがうれしそうな表情で言い、僕は余計に意味が理解できなかった。

「あのね。実はね。死んだお父さんね。実はひどいろくでなしだったの。」

「―――へ?」

「それでね。わたし不倫してたの。この人と―――」

 意味が理解できない中で母は説明を始め、僕が突然それどういう意味と言うように反応する中で、母は彼に眼を向けた。

「あなたは生まれてたんだけど。時期的にあの人の子か、彼の子かわからなくって、DNA鑑定する勇気がなくって、認知もされた後でばれたんだけど突然交通事故で死んじゃって―――」

「―――母さん。待ってよ? それって―――」

「―――――」

 簡単に言えばと言うように話すが、聞いている僕はと言えばそれはと言う反応をするしかなく、彼も同様の表情をしていた。

「それで、ずっとあの人との子だって言ってたんだけど、DNA鑑定して―――」

「母さん。事情はわかったから―――」

「それに、できちゃった。」

 母はと言えば続け、僕も彼と言うか、父と言うべきかもしれないがもういいですからと言うようなことを言いかける中で、母は笑顔で言い、自分の手をおなかに当てた。

「―――――」

「―――――」

「―――3か月目―――」

 僕と彼はと言えば聞きましたよねと言うように顔をあわす中で、母はと言えば2人ともそんな顔しないでよと言うように言った。

「―――えっと。どうしましょうか?」

「あの、これ―――」

「え?」

 母はと言えば運でもいいよねと言いそうな幸せそうな表情で、僕たちはと言えば度を越して逆に落ち着き、どうしますかと聞くと、彼は不意にポケットに手を入れ、握りこぶし小の大きさのきれいな小箱を取出し、母の前にひざまずいた。

「いつまでもこのままでいけないと思っていました。あの事件のことで息子のことを、これからの人生を、あなたのことを一緒に考えて生きる覚悟を決めました。」

「ちょっと、こんな時に―――」

「後はあなたと、あなたの息子の選択に任せます。あなた次第です。いつまでもこのようなことはしたくないです。ダメなら、僕はあなたとも息子とも2度と会いません。」

 ドラマでもあるまいし婚約指やなんてこんな時に出すわけないと思ったが、彼はと言えば母の前で見せプロポーズした。

僕はなんと言えばいいかわからない中で彼はと言えば真剣なんですと言うように母に言った。

「どうしよっか? あなたへの潔白記念だったんだけど、妊娠記念もする? それと結婚してもいい?」

「―――――」

「君の手にゆだねる。君にも父親として責任を取りたいと考えている。君とは血縁が無くてもその気だった。」

 母はと言えば笑顔で、僕はと言えばいいとは思っているが突然すぎる事ばかりで言葉が出ず、彼はと言えば真剣な表情で僕に声をかけた。

「―――これからもきちんと面倒見てくださいよ? おめでたくてうれしいけどその子もだけど、これからが―――」

「―――――?」

 死んだ父親よりも長い付き合いな上血縁上の父で、母も認めた相手で、僕も悪くはないと考えていたが、いいと思い答えは無論決まっていた。

 言えなかったのは突然すぎて心の準備ができないと言うか、おどろきすぎて混乱しかけたで、僕は少し落ち着いたのでいいよと思う中で、突然先ほど取材の話の最後の部分を思い出した。

「―――どうしたの?」

「あ、その、いや―――」

 肝心なことはこれからだと言いたかったのだが、僕の身に起きたことやこれからの人生、そして母や彼の人生、それにこれから生まれる弟か妹のことを僕が決めていいのかと思ったのだ。

 導き、そして導かれると言えば大げさだが、僕は確かにそれをしたのではないかと考え、母が声をかける中で僕は帰りに買った本を落としていた。

「あら? なに?」

「―――ま、漫画だよ? 帰りにコンビニよって買ったんだ。」

 母はと言えば突然のことで本を手に取ろうとして僕は何とか平然を装って本をひろった。

「勉強もしなさいよ? 受験も近いんだから?」

「うん。」

 幸いだったのは紙袋の中に入っていて本の中味がわからなかったことで、母はと言えば僕ぐらいの年齢の人間に対して決まり文句を言い、僕はと言えば同じように勉強もしていますと言うように返した。

「やけに素直ね?」

「―――そうかな?」

 母は反応が妙だと言うように聞くが僕はそんなこともないと言うように返したが、感づかれないかと内心肝が冷えていると言うよりも、燃え上がっていた。

「ま、一段落したからちょっと忘れよっか? さ、食べよう?」

「そうだよ。ありがとう。」

「うん―――」

 母はと言えば見抜いているぞと言いそうな表情にも見えたが、少し間をおくと、むずかしい話は一度やめようと言うように言って食卓に向かい、彼もそうしようと言うように声をかけ、僕もそれに従うことにした。

「名前、考えないとね?」

「そうだな?」

「そうね?」

 従うことにして、いすに座る中で僕は2人に笑顔を向けて言い、彼と母はよろこぶ中で、僕は内心考えていた。

 僕が同じことに巻き込まれるとは普通は考えられないが、確率で言えば全くないと言えず、記者の話した人を導くものと、人に導かれるものは確実に存在している。

 似たようなことが別の場所でまったく起きない確証はないとも言えず、ここは安全だが、危険は間違いなく眼に見えないが眼の前に存在していると思った。

 思ったがどう対処すればいいかわからないで、僕ができるのは食卓に座る中でまず笑顔を2人に向け話すことだと思ったのだ。

 忘れるわけにはいかないが、忘れたように見せ、そして、僕はこれから生まれる弟か妹を導くものとして、同じようなことを起こさない人間として育てるため、最善の行動を尽くさないといけないと思った。


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