読み切り短編SF小説 『徴兵制にはならなかったけれども April 1 2022 Japan』
突然ですが、書いてみましたが、
あくまでフィクションであり未来予想の1つにしかすぎませんので、
深く考えない方がいいです。
発端はと言えば映像越しに見た映像だった。
ほかのだれもが口をそろえて言うがまるで映画のコマーシャルや撮影の一場面、ジオラマのようにも見えたが、テレビのニュースは紛れもない事実だとして伝達していた。
インターネットも同様で、発端の出来事が起きて半日も経過した時には情報は世界中に拡散している状態だった。
『国会議事堂爆破により全壊! テロか?』
『議事堂内に持ち込まれた爆発物を持ち込んだ人間は全員派遣社員や配達業者!? 「爆弾だと知らなかった。」「大規模な工事をするための器材と聞かされていた。」「たくさんの荷物の中に紛れ込んでいたのかもしれません。」などと全員供述する。』
『犯行声明なし、金銭などの要求なし、捜査難航を極める!』
探せば切がないが簡単に言うと国会議事堂が全壊した上テロの可能性があるようで警察などが調査を始めたが調査がそれほど進んでいないようだった。
事件から1週間ほどが経過したが、僕はと言えば気にしている場合ではなく仕事に手を焼いていた。
多くの政治家が死んだとか、国の先行きがどうなるかとか、政権の再構成と言ったむずかしい問題が存在するが、その日1日を何とか暮らして行く努力をしなければならない僕には関係ないことだと思った。
ブラックとまでは言えないが現在働いている会社は忙しく残業も多く上給料も生活するには赤字寸前で、副業もして派遣にも登録して時折働いているが、交通費などの経費で逆に赤字になる場合もあった。
文句も言いたいが現実は厳しく働いて給料が出ているだけいいもので、僕の会社には雇用保険などの支払いも整っており、雇用条件以前に働けていない人間も多いのが現状だ。
経営も厳しくて人も入れられず、その場しのぎの人材なども入れられず、労働時間は増え、失業率や外国人をふくむ労働者人口、それに将来働く人間こと、出生率も減少傾向だそうで、これからの未来は暗そうだった。
「―――――?」
幸いと言えば同僚や上司が人格者と言うか、社長も経営が厳しいからと伝え副業や派遣登録を許可し、半場社員から承認を受けていることで、僕はこの時勢だし仕方ないよなと思って仕事をしていると電話が鳴った。
正確にはメールで、登録している派遣会社の1つからだとわかり、新しい仕事が来たのだなと思い僕はメールを見た。
『高額支給保障現金払い!』
『説明会(無料)に参加して研修を受けていただきます。』
『だれにでもできる簡単な仕事です。』
派遣会社からのメールでなければ100%詐欺だろうがと思われる内容の文章がほかにも並んでいるが、僕はと言えば中身をある程度調べてできそうな仕事だと思い、その仕事に登録をした。
派遣会社に登録しているのは僕だけではないのは当然で、電話は1時間に1人2回以上はなっており、僕のメールもその1つにしか過ぎず、僕が参加しますと言うメールを返信する中で少し遠くで別の人間の携帯の着信が鳴った。
着信音が少し前に話題になったテレビアニメの歌で、僕は少し懐かしいなと思った。
登録した派遣会社と言うか、登録した会社の人間たちがする説明会なんて何度も体験している出来事で、僕は数時間後仕事中に登録した派遣会社の説明会に来ていた。
場所はと言えば会社を出て十数分ほどの場所の雑居ビルの1つで会社や支社があるようには見えず、説明会用に一時的に借用したのがまるわかりだった。
僕は説明をする会社の空き部屋でも使えばいいのにとも思ったが、僕は働きに来たよそ者であり口を出すものでもないと思いながら何にしても説明会用の室内に入って説明を聞いていた。
説明はと言えばメールに書かれていた内容とほぼ同一で、後は現地集合給料現地支給あり現地解散とだけ伝えられ、当日まで解散となった。
説明会に参加した人間の中には僕のような少しくたびれてスーツ姿の男だけでなく薄汚れた私服姿や高そうなスーツ姿に身を包んだ女性にどう見ても外国人と思われる人間など、多種多様な人間が見られた。
誘拐されたことなんて生きたことで1度もないから表現がむずかしいと言うか、僕は説明会の帰りに不意に後ろから縛られ、何事かと思う間もなく2人でだと思われるがどこかに運ばれていた。
目隠しをされ身体を縛られ、声も出せずどこかもわからない中で5、6分ほどして運ぶ足音が落ち着いたのを僕は感じた。
大通りでも歩けば大騒ぎになるような運ばれ方だったが周囲は静かで、丁寧に下される中でパトカーなどのサイレン音も聞こえず、僕はどうなるのかと少し不安になった。
「すまんな。もう少し辛抱してな?」
「―――」
「殺したりせんけん内臓とかも売ったりせんけん。話ししたいだけなんよ。少し待っといて?」
不安になっている中で運んで来た人間なのか耳元に語りかけられ、僕が答えられない中で心配しなくていいと言うように返した。
話し方に少し普通と違う部分と言うか、なまりと言うか、方言が感じられた。
「―――それで? 強引に連れて来たって言うの?!」
「すまん。だれでもいいって言うたんで―――」
「まあ、そうだけど―――」
関西弁とは少し違うなと考えている中で少し遠くで少し慌てた男の声が聞こえると、僕に話しかけた声が申し訳ないと言うように返し、彼は確かにそう言ったけどと言うような声で返した。
「―――とにかく、早いこと話して返しましょう。」
「そうだね―――」
返す中で僕は身体を起こされると目隠しをはずされた。
「ごめんな。だけど話聞いたらもう帰っていいからな。」
目隠しをはずしたのは話し方に少しなまりのある男のようで、眼の前に立っている男女が見える中で男の声が聞こえるのにあわせて縛られていた手足が自由になった感触を覚えた。
縛りを解いた男の顔を見るとそんな怖い顔をしてみないでくれと言う表情だった。
年齢はと言えば僕よりも少し年上ほどの少し細身の男で、話しを聞いてほしいと言ったが聞いてほしいのはこっちではなくてあっちだと言うように2人の方に目配せし、僕は2人の方に眼を向けた。
男は少し長く伸びた髪以外はフライトジャケットにカーゴパンツ、ジャングルブーツ、ペンダント、それにごつい外見の時計と言う典型的なミリタリースタイルだが、2人の男女はと言えば対照的に清楚で好印象なスーツ姿だった。
室内の照明が薄暗くてわかりにくいが色合いがよく、繊維も繊細で、素人目に見てもわかる高級品で、状況を踏まえれば2人が誘拐を男に指示したと推測されるがとてもそうには見えなかった。
2人に案内され後ろに僕を連れて来た男がついて来て別の部屋に入る中で僕はソファーに座るように指示され座ると男女も向かい合わせのソファーに座り僕と向き合った。
「―――ああ? そうやけど? 知らんて? だから言うたやろ? 調べ直してや?」
方言で話す男は部屋に入ると窓際に立つと独り言と言うか、携帯でだれかと話しているようだった。
「―――まず、突然すまないね。」
「あの―――」
「悪い人じゃない、と言っても信用されないだろうね?」
携帯で話しているのかと見ていたが、話す相手はと言えば向かいにいる男女で、男の方が不意に深くあたまを下げ、女性もあわせるように頭を下げた。
僕はと言えば何が起きているかと思う状況で、聞こうとする中で、男は言う通りに申し訳ないと言うように返した。
「そうは言っても正義とも言えないか―――」
「あの、本当にいったい何なんですか?」
返す中で続けてそうは言ってもと言うように言い、僕はと言えば突然こんなことされて意味が解らないので説明してくれませんかと言うように聞いた。
「国会議事堂の爆破事件。知ってるか?」
「―――ああ? ありましたね?」
男はと言えばなんと言えばいいかと言う表情の中で聞いてきたのは電話で話し終えたなまりのある男で、向かい合わせのソファーの中央にあるテーブルに手をつくとまずこれが前提と言うように聞き、僕は知ってはいると言うように答えた。
「ナカマ君―――」
「黙っといても始まらんやろ? サエさん。あれに関係して日本で偉いことが起きようとしとるんやけん。」
男に反応して女性が待ってと言うように呼ぶが、男は話が進まないと言うように返した。
「いや、発端と言うべきだろうな?」
「―――――?」
「ノギ、お前が一番解っとるんやろ?」
ナカマと呼ばれた男は身体を起こすと背を向ける中で答えは出ていると言うように言い、僕が意味が解らないと言うように聞く中で男の方に声をかけた。
「オレを呼んだ意味考えてくれん? こう言うのを金のむだと言うんやと思うんやけどどうなん?」
「わかった。」
ナカマは少しいら立ったような口調で言うと、ノギと言われた男は仕方ないと言うように返した。
「僕たちはね。その犯人を追っているんだ。」
「警察?」
「いや、だけど、追っていると言うよりも、歯止めをかけようとしていると言う方が正解だ。」
返す中でノギと呼ばれた男は本題はと言うように口を開き、僕はこの人たち警官なんだ身分証でも見せればいいのにと思っている中で否定したが、追っていることは間違いないと言うように返した。
「犯人がいないと言うのが正解なのかもしれないし、口裏を合わされる可能性も高いし、証拠の無い中で僕たちは少しでも歯止めをかけるために奮闘していると言うべきだ。」
「―――?」
ノギは続けるがどう言えばいいかと言う表情で話、僕はと言えば犯人がわかっているのではないかと言う反応をするしかなかった。
「まず最初に、国会議事堂の爆破事件で、爆弾の設置を任されたのは派遣社員や配達業者だと言うことを知っているかい?」
「言ってましたね?」
「ここからが本題なんだがね。派遣会社は請け負った会社から、請け負った会社からは社員数名から、彼らもほかの会社の人に頼まれたと言ってこれが続いている。爆弾の運搬も制作も同様だった。」
考えていても仕方ないと言うようにノギは切りだす中で僕はそれは知っていると言うように返すと、ノギはそれならこれはと言うように続けた。
「―――?」
「いずれは末端と言うか、発端にいたると思うが、複雑に絡み合って答えが出るのは時間がかかる。彼らはそれを利用している。そして日常生活に溶け込ませ、最後の最後で見事に目的を達成したんだ。同じことは十二分に可能だ。」
理解できない中でノギは余計に理解できない話を続けた。
「簡単に言うとテロのリレーなんよ。」
「―――リレー?」
「いや、分業化、細分化、最悪カーストとも言うべきやろうね。」
理解できない中で口を開いたのはナカマで、僕が聞くとナカマは話しを続ける中で、不意にポケットに手を入れると、手に持っている何かを手のひらに出して僕に見せた。
「―――?」
ナカマの手にのっていたのは小さい金属片と言うか、何かの部品みたいだった。
「拳銃の部品なんよ? そうは言ってもおもちゃやけどね。」
見てもわからないと言うように見ているとナカマは答えを言った。
「そう。それと同じだ。部品1つでは意味を持たないんだ。いや、意味の解る人間にしか意味を持っていないと言うべきだ。」
「意味?」
「たとえば拳銃を造るなんて言えばこの国では違法だと言われるけど、その部品を造るのは拳銃の部品だと知らなければ違法と気づかないままだ。知っているのは造れと命令したどこかのだれかだけだ。そして組み立てた時だけ意味を全員が理解できる。」
僕がこれがとみている中でノギが口を開き、僕がどういう事かと聞く中でノギは話しを続けた。
「議事堂を爆破した爆弾も爆薬や起爆装置、組み立て、運搬、そして最後の起爆に置いてまで全部違う人間がやりよった。やりよったけど議事堂を爆破するなんて知らんかった。」
「知らなかった?」
「知らんうちに全員犯罪の片棒担がされたんよ。始めたのはだれかもわからんし見つからん。それでもってできる人間はそこかしこにおるけん困ったもんよ。」
続ける中でナカマも話しに加わり、僕がどう言う事かと聞く中で、ナカマ少し考えればわかることだと言うように言った。
「さっきも言った通りのテロの分業化よ? 細断化、カースト化とも言ったけど、どこかのだれかが始めてなにごともないように思て暮らしとったらあの有様よ? そうやろ? サエさん? 派遣会社の社員のあなたがはじめに気付いたんやけん―――」
「―――そう。わたしたちは警察でもなければ探偵でもないの。わたしは派遣会社の社員で、ノギさんはわたしの上司、ナカマ君はノギさん自衛隊時代の同僚―――」
「―――どういうことですか?」
ナカマはサエにどうなんだと言うように言うと、サエと呼ばれた女性はそれで間違いないと言うように返したが、僕はと言えば何が言いたいのかよく理解できなかった。
「僕の会社もあの事件に関係していて、警察の調査が入る中で、サエさんがもしかしてと言うように言ったのが始まりだ。だけど推測としては悪くないと思ったんだ。それに容疑者を絞ることは不可能だ。容疑者は日本国民すべてだとも言える。」
「すべて?」
「どこかのだれかが始めたことは事実だ。だがそれよりも、示唆すべきは知らない内に仲間に入れられている可能性がこれから起きうることだ。派遣が代表例だ。」
理解はできないが話しは続けられ、僕がそんなと言う反応の中で、ノギは話しを続けた。
「派遣で?」
「国会の爆破とおんなじよ? どこかのだれかが考えて仕事を分担して最後までテロだと思わせないようにした。そして最後にテロとなった時でさえかかわった人間もテロと気づかんかった人もおる場合がある。」
派遣と言う聞きなれた言葉を聞く中でナカマが話を続けた。
「警備会社や派遣会社の間接的なPMC化及び社員のPO化、国家としてのシステムの破壊、そして、犯人はどこかのだれかもわからないが、どこかのだれでもある可能性が存在している嫌疑を国民全員に向けさせると言うのがサエさんの考えた推論なんよ。」
「PMC? PO?」
「プライベートミリタリーカンパニー、民間軍事会社、アメリカとかにある軍事代行業者。戦争代理人。軍人のアルバイトやパートタイマー、そして派遣。POはプライベートオペレーターでその社員な。」
ナカマは細かい話を続けるがと言うように言い、僕が意味が解らないと言うように聞く中で丁寧に説明した。
「軍隊。昔言っていた徴兵制とか戦前みたいになるってことですか?」
「違うよ。PMCは軍隊にふくまれないんだ。これは海外でも同様だ。武装した民間人にふくまれ認識されていて日本の派遣社員や警備会社の社員が軍人なんて言えないだろう? 憲法9条には違反していないんだ。それに日本人以外の人間もいるしね。」
話しを続けるん中で僕は5年以上前に自衛隊関係の法律が変わったことを思い出し、ノギに聞くが、ノギは即座にそれを否定すると、不意にナカマが携帯の画面を見せた。
『日本国憲法
第二章 戦争の放棄
第九条 [戦争の放棄、戦力及び交戦権の否認]
➀ 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。』
読んでみると日本国憲法の一部だった。
「自衛隊は専守防衛組織だ。国権を国外から侵害されないように守る組織で、軍隊に酷似しているが、攻撃するための組織ではないんよ。」
「ナカマがさっき言った通りだ。警備会社と派遣会社が軍隊としての色彩を持ち始めるが、あくまで民間組織であって国家の軍隊としては認識されないんだ。そして間接的に内戦や地域紛争、それにテロが公然と言うか、秘密裡とも言うがビジネスとして売り買いされるようになる。」
見ているとナカマは僕に対して勘違いするなと言うように言うとノギが考えても見てくれと言うように言った。
「売り買い―――」
「だけどそこにはあさま山荘事件を起こした連合赤軍のような国家的イデオロギーや地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教のような宗教的道徳観、そして格差貧困、差別解消と言った人道的理想なども存在しないんよ。」
「理想? 道徳? イデオロギー?」
僕がテロが物みたいに売られるのかと言うように言っている中でナカマがよく考えろと言うように言うが、僕は単語がむずかしくてうまく言葉が返せなかった。
「あるのはその1日や明日これからの毎日を生きられるだけの必要最低限の活動力を与えうる労働と賃金、そして人生の存在意義の付与だけよ。外国人にもふくまれるがな。」
「人間としてのささやかな願いだ。だけど現在の日本はと言えばそれさえもかなえられない人間が数多く存在する。テロの片棒を担がされていると気付いても参加しない人間がいないとは言い切れないんだ。それに金のためなら何でもする人間は必ずいる。」
ナカマは結論としてはと言うように言うとノギはこれがつらいと言うように続けた。
「―――それは殺人も同様だ。頼む人間が存在し、求める人間が存在し、相応の支払いをする人間も絶対に存在する。」
ノギは少し間を置いたがこれが一番重要だと言うように言った。
「君が先ほど参加した派遣の説明会もそのテロの可能性があるんだ。だけどあくまで可能性だ。根拠はないし止めろと言う気はないが、1人でもこのことを知ってほしかったんだ。僕たちはそのために活動している。」
「―――――」
「ナカマが言ったみたいに、必要最低限の生きる権利を与えようとしていると言う部分もあるかもしれないが、テロの売り買いを企む人間が裏で存在するなんて信じらないだろうが、可能性はないとは言い切れないんだ。」
ノギは少し間をおくと僕に対して聞いてほしいと言うように言い、僕がそんなこと言われてもと言うような表情の中でノギはこれが言いたかったと言うように言った。
「裏で糸を引いてるだれかがおることは確かなんやけど、見つからせん。だけどそいつは確かに人をひきつけ導き、とんでもないことを実行に移せるカリスマ性を持っとる。1人とは言えんのかもしれんけどな。そしてどこにでいる可能性がある。」
「―――――」
「ブログとかの人気やシェア、それに炎上と同じよ。始まりは本当に大した事でもない可能性がある。飛び火して大火事になる。原爆並になる可能性もある。」
ナカマはこれだけはと言うように話すと少し大きくため息を吐きだし、少し間をあける中でこれがいいなと言うように言った。
「投票率も30%切ったし政治家もだれがなってもおんなじとも言われて信用されとらん。徴兵制になった方がましだったかもな?」
「ナカマ!?」
「間接的に国家公務員になるから正規労働者人口が増えて所得も増えて消費も増える。不正規労働者も減る。消費が増えるから税も集まり国が潤う。養える金は入る。それに日本の人口は減少傾向だ。十分だろう。」
考えてみればと言うように不意にナカマが言い、ノギが冗談はやめろと言うように返す中でナカマは冗談で済まさない方がいいと言うように返した。
「それに戦前教育なんて間違いだらけだ。侵略に植民地支配に正義の連合国と対立なんて大ウソだ。アジア諸国を近代化し、欧米の植民地支配から解放し、国際連盟に対抗しうる組織の創世が大東亜共栄圏の狙いだった。」
「―――――」
「連合国側が悪党なんて1か月も歴史を真剣に調べればわかることだ。右翼の人間が生まれるわけだ。だが自虐史観からの解放も必要だ。戦前の日本にも数多くのいい部分がある。」
ナカマはいい加減にしろと言うように言い、ノギがそれはと言うように聞いている中で言いきったと言うように言った。
「愛国心を、パトリオティズムを持ち直させる必要があるかもだ。戦争が起きれば命惜しさに逃げ出して裏切って金欲しさに国を売る奴なんて平気で出る。自衛隊にもういるかもな。」
「―――」
「―――言うだけのことは言ったし、もう解放しよう。ノギ―――」
考えてみればと言うようにナカマは続け、ノギはそれはと言う反応の中でナカマは言う通りに本当に開放すると言うような表情を見せた。
言われたとおりに僕は解放された。
解放された後は特にほかに用事があるわけではなく、明日も少し早い上、彼らと話しあったこともあって少し遅くなったので少し足早に帰ることにした。
足早とは言え少し遅くなって帰ると玄関には現在同棲している彼女の靴が置いてあり、室内の方から何かをしているのか物音が聞こえ、僕は先に帰って何かしているのだなと思いながら部屋の中に入っていった。
帰る途中に一騒動が起きたと言えるが、この中はと言えば平穏で、僕は帰って一安心した中で彼女が帰って来たのを確認するためか顔を出し、僕も笑顔を返すと、彼女も笑顔を返した。
おかえりと言う言葉が待っていて、ただいまと返す日常がここに存在した。
「おかえり。」
「うん。ただいま。」
同棲してすでに3年以上と言う月日が経過し、2人の給料で何とか生活し、結婚して子供でも生まれたら大変だろうなと言う生活で、僕は彼女との結婚も切りだせず、彼女も切りだせず、僕たちは半塲惰性で同棲を続けていた。
惰性とは言え関係は円満と言うか、彼女の方が年上で大人びていて、堅実なおかげでこの生活があると言うもので、彼女の方が僕よりも給料がよく、半場面倒を見られていて、僕は常日頃から彼女のためにがんばりたいと考えている。
彼らは説明会に言った派遣の仕事が危ないと言っていたが、ほかに仕事もなく一度参加すると決めた以上断れず、この生活を続けてよりよいものにするためにももう少しがんばりたいと言う思いも強く、僕は彼らの言葉や事件のことを忘れ聞き流すことにした。