表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
154/1021

坂東大評定 ― 新たなる国の礎 ―

鎌倉・鶴岡八幡宮にて「武家の都の盟約」を結び、小田城へ帰還した氏治は、間を置くことなく坂東諸将を集め、大評定を開いた。

静まり返った評定の間で、氏治はゆっくりと立ち上がる。

「盟約は成った。」

「されど、坂東はここで歩みを止めぬ。」

「まずは戦功を定める。」

家臣一同は深く頭を垂れた。

最初に名を呼ばれたのは宇都宮尚綱であった。

「宇都宮。」

「佐竹との一連の戦、その働きは勝敗を決した。」

「よって館林を預ける。」

評定の間に小さなどよめきが広がる。

氏治は続けて渡良瀬川流域の絵図を指した。

「さらに渡良瀬川流域を下野へ編入する。」

「今後、この地は上杉と向き合う最前線となる。」

「其方は館林を要として守りを固めよ。」

「また、那須より白河へ至る街道には、兵の宿営と狼煙を兼ねる陣所を整備せよ。」

宇都宮は深く頭を下げた。

「命に代えましても。」

氏治は静かに頷き、次に三人を前へ呼ぶ。

「水戸頼治、宍戸政繁、鹿島政道。」

三人が進み出る。

「那珂湊城築城の功、誠に見事であった。」

「海はこれより坂東の命脈となる。」

「その働きを賞し、感状を与える。」

三人は揃って平伏した。

続いて氏治は大掾家へ視線を向ける。

「大掾。」

「嫡子を大洗へ配す。」

「今日より小田家直臣とする。」

「大洗を守り、那珂湊を支えよ。」

大掾は深く礼をした。

最後に氏治は真壁兄弟を見た。

「真壁幹久。」

「笠間領を正式に編入し、真壁・笠間を一つの領国として治めよ。」

幹久が静かに頭を下げる。

氏治は弟・幹永へ向き直った。

「幹永。」

「盾の整備に尽力し、北浦にて温泉の源泉を見出した功。」

「そして前橋の戦では兄とともに身を挺して余を守り、対上杉戦勝利の表と裏を支えた。」

「その忠義と功績を高く賞する。」

氏治は北浦の絵図へ手を置いた。

「これまで預けていた北浦一帯を正式に其方へ与える。」

「行方郡をはじめ、竹原、堅倉、羽鳥、鉾田へ至る北浦西岸一帯を大幅に加増する。」

評定の間は静まり返る。

氏治は穏やかな口調で続けた。

「ただし、この地はなお荒れ地が多く、人も少ない。」

「余が与えるのは豊かな領国ではない。」

「未来である。」

「己の力で村を興し、街道を開き、港を築き、牛を育て、盾を造れ。」

「北浦を坂東の宝へと育てよ。」

幹永は深く平伏した。

「必ずや、ご期待にお応えいたします。」

氏治は家臣たちを見渡した。

「以上をもって論功を終える。」

「これより坂東の新たな国造りについて評定を始める。」

その一言により、戦の恩賞は終わりを告げ、新たな時代を築くための坂東大評定が静かに幕を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ