表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
77/77

77 茜の迷宮攻略記 5


 奏さんとお涼さんは食事をし、くつろぎ、周りを見渡しながら、感想を述べる。


 「あー、これだけ揃っていると迷宮内も快適だね。」


 「もう元の迷宮生活に戻れないよね。」


 「うん、料理も温かい新鮮なものが食べれるしね。」


 「そう言えば、味気なかったですね。九重さんがいろいろ用意して下さった甘い物がなかったら、寂しい食事でしたよね。」


 奏さんとお涼さんに会話に前回の迷宮では九重さんが気を使っていろいろ気を使って持って来てくれたのを思い出したお妙ちゃんが加わります。


 「そうなのよ。迷宮内では基本寂しい食事なの。それが一週間、二週間と続くのよ。それなのにこの新鮮な食材を使った料理は何?」


 お妙ちゃんの寂しい食事という言葉を聞いて、普段の迷宮内の食事を思い出した奏さんがそう言って、食事を口に運びながら、非難します。


 「そればかりでなく、ふかふかのお布団やお風呂、何から何まで揃ってるのおかしいわよ。」


 お涼さんも再びそれに同意し、声を荒げます。

 いろいろ満足してくれてるみたいではあるけど、なんか非難めいてるし、あまり大声を出すと周りにこのことが知られるので、困るんだけどな。

 私がそう思っていても、なんか口を開いたら、更なる口撃に会いそうなので、黙っていると、九重さんが注意をしてくれました。


 「あまり騒ぐと周りに知られるぞ。少しは静かにしろ。」


 「ですけど、師匠。師匠は、今回の遠征が終わって、またいつもの迷宮生活に耐えられるのです?」


 九重さんの言葉に奏さんはそう聞き返します。

 うん、あまり便利過ぎるとその反動もあるのか。

 そう考えると、これはやり過ぎた?

 九重さんはどう思っているのだろう?


 「俺か?俺は大丈夫だぞ。それに今回は途中から別行動になるのだからな。それに普段街でもこんな生活しているだろ?それでも迷宮に入りたくないと思わんだろ?」


 九重さんはそんなこと問題ないだろうと言った感じでそう答える。、


 「そんなものですかねぇ。でも、今回は迷宮で味わっちゃうんですよ。次回もって思っちゃうじゃないですか?」


 奏さんはそう言って反論を試みる。

 

 「だよねぇ。奏も覚えて使ってよ。」


 奏さんのその言葉を聞いて、お涼さんが奏さんにこの魔法を使うようにねだっている。


 「無理無理、私も二、三回なら使えるようになったけど、それだと戦闘で役立たずになっちゃうよ。」


 「奏の役立たず。」


 お涼さんは奏さんの言葉を聞いてそう無慈悲に言い放つ。

 この辺はずっと迷宮に一緒に潜っている仲間であるから言える言葉なのだろう。


 「ほら、奏。あまり騒ぐと、自分の身に降りかかるぞ。」


 お涼さんの言葉を受けて、九重さんが奏さんに向けてそう言う。


 「はーい。そうですね。反省してます。」


 奏さんはそう言って、反省したそぶりを見せるが、実際にはあまり反省してなさそう。

 でも、そんな奏さんには構わず、九重さんは言葉を続けます。


 「要は切り替えをいかにうまくするかだ。過酷な迷宮の深層に行くとそれが上手くできないとやって行けないぞ。」


 なるほど、それくらい図太くないと過酷な迷宮を踏破するのは大変なのですね。


 「私達は今回こそ十八層まで行きますけど、まだ徒党も組んでいませんし、そこまでがっつりやるつもりは今はないんですよね。」


 「そー、そー、まだそこまで考えてないですよ。」


 「お前らは、また若いんだ。ゆっくりどこまでやるか考えればいいさ。でも、薬師も魔法使いも需要はあるぞ。」


 「そうなのですかね。」


 「だと、いいんだけどね。」


 「でも、師匠も若いのに単独で二十層攻略目指しているんだから、凄いよね。」


 「うん。うちの筆頭だってそれは難しいって言ってたものね。」


 ええ、仁藤さんより九重さんの方が強いの?

 なんか、あんまりそんな風には見えないけどな。


 「まぁ、仁藤殿は剣術一辺倒だからな。その点俺は魔法の素養もあるのでそれなりに使えるから、その違いだな。剣術だけなら仁藤殿の足元にも及ばない。」


 なるほど、戦い方の違いですか。

 でも、仁藤さんはあまり知らないけど九重さんの剣捌きは凄いから、本当にそこまで違う差があるほど凄いの?


 「またまた、筆頭は真面目に剣だけで遣り合ってもいい勝負じゃないかと言ってましたよ。」


 「うん、剣では誰にも後れを取らないと豪語している筆頭にああも言わせるなんて、師匠は凄いです。」 


 奏さん達二人も私と同じに思ったのか、それとも媚を売ろうとしたのか、そう言って九重さんを持ち上げます。


 「では、これが終わったら、俺の弟子の名に恥じぬようみっちり鍛えてやろう。」


 「そこはお手柔らかにお願いします。」


 「わ、私はほら、魔法使いだし、鍛えるなら、私を守る役目のお涼をみっちり鍛えてやってください。」


 「何を言う。守られるものもそれなりに強くなければ、守るに守れんだろう。」


 「ぐぇぇ。」


 奏さんは、女の子とは思えないような声を上げ、抗議をの意を示しています。

 でも、九重さんにそんなことしても効果ないと思うよ。

 そんな風に私が楽しくその様子を見ていると、隣にいたお妙ちゃんが言葉をこぼします。


 「うふ、なんか、皆さん楽しそうでいいですよね。」


 「だねぇ。」


 そうだね。こんな楽しい雰囲気もいいよね。


 「なんだ、今日は茜殿は静かだな。」


 私達のつぶやきを聞いたのか、九重さんが私にそう話しかけます。

 なんか私がいつも騒がしいみたいな言い方ですね。

 私は田舎育ちだから、それほど騒がし屋さんじゃないですよ。


 「いやぁ、戦闘や魔道具について、現役の探索者の考えを聞くのはためになるなぁと思いまして。」


 「ん?戦闘はわかるが、魔道具について意見はなんでだ?魔道具職人にでもなるのか?」


 「えーと、今後旅をするのに魔道具の改良をしてもらうなどの参考にですね。」


 「まだ、便利さを追求する気か、お前は。」


 私の言葉に、呆れながら九重さんはそう呟いた。


 「もちろんです。」


 私はそれにそう力強く、言い切った。 

よろしければブックマーク、評価、ご意見、感想などよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ